令和4年度 京都大編入試験(法の継受のメリット・デメリット問題) 講師解答例

ある社会が別の社会に法体系を導入することを一般に「法の継受」という。ある社会が法 の継受を行う際のメリットとデメリットについて、具体的な例を挙げて多角的に論じなさ い。  京都大学令和4年度 合格者再現(61点)

以下の合格者の合格者再現答案構成とヒアリングを元に講師が書きました。
合格者再現答案構成+合格者の答案への感想+答案が付きます。

合格者答案構成 
1.はじめに 
・大日本帝国憲法…ドイツを参考、立憲君主制を採用 
・日本国憲法…アメリカの影響、自由と民主主義 
・刑事と民事の峻別=大陸法の影響 
2.メリット 
①先進事例が参考になる→予測可能性の向上に資する 
(例)日本では導入されていない懲罰的損害賠償 
②自治体間の格差減 
(例)・オンブズマン制度は川崎市が先駆け 
・条例ベースでしか禁止していないもの(歩きたばこ等)は、規制が広がらない と不平等 
③より高みを目指すことができる 
(例)日本国憲法では、閣僚の過半数が国会議員 
=閣僚の全てを国会議員とする英国と、全てを非国会議員とする米国の折衷 
3.デメリット 
①国民性になじまない恐れ 
(例)天皇制とアメリカ型の自由主義と完全に合致するものではない 
②既存の制度との整合性 
(例)三審制を採用する日本において「憲法」の番人は最高裁だが、憲法裁判所を設置 した場合どう位置付けるか 
③国会の立法機関としての意義の低下 
4.まとめ 
・私見としては、メリットが大きい 
・土着の価値観との整合を図りつつ、先進事例の良い点は採用すべき 

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