世の中ってなんなんだろう、って思った体験談【#忘れられない先生】

「あんたらのせいで私は子どもの授業参観にも行けないというのに!!」

小学校の5,6年の時の担任の先生は、機嫌が悪くなってこういうことを言う先生だった。
子どもの授業参観に行けない辛さを怒りに任せて延々と話してたのは何度かあった気がする。

後先にも、自分の機嫌次第で怒り出す担任の先生はこの先生だけだったと思う。

他の先生は、機嫌が悪くてもある程度は自分を抑えてとりつくろったりするものだが、この先生はほんと自分の感情を抑えることがなかったなぁ。

先生のご立腹により、今日はもう授業しない、反省してなさい、的な自習時間となることも両手で数えきれないくらいあったと思う。

まぁその先生が怒るときには、当然僕たちクラスメイトに非があることを理由に怒っていたので、こどもながらにでも怒られるのは仕方がないか……
とも思っていた。
今思うと、ひどい話だ。

ただこの先生、暴力をふるう教師ってわけではなかったので、特に学校側からも保護者側からも問題になったことはなかったのじゃないかな。
あくまで、こどもとして知りうる範囲での印象だけど。

でも、当然こんな先生だからクラスメイトにも好かれてはいなかった。


まぁこの先生の悪口を言いたい訳じゃないので、学校での振り返りはこのくらいで。


あまり話したことはないんだけど、僕の小学校5、6年は塾漬けで、受験勉強に大半の時間をささげていた。
とにかく塾にお世話になりっぱなしな生活。

その甲斐もあってか、何校か希望していた学校の一つに合格することができた。

そのころの中学校受験って何月だったのか覚えてないんだけど、たぶん寒さが少し和らいできた頃だと思う。
自転車に乗って母親と共に自分の小学校校区よりもちょっと離れた先生の家まで母親と共にあいさつに行った。

受験合格のお礼のあいさつに。


ここが、僕にとっての大きな疑問点。

なんでこの先生に受験合格のお礼が必要なのか

と。
何かしてもらったことはない。
それどころか受験するってことを忌み嫌われてたって位なのに。


先生の家について、母親と先生が大人同士の会話をしていた。
僕は興味がないのでほぼ聞いていない。
聞いていなかったことははっきり覚えている。
その間なにをしていたのかはおぼろげだけど、横の道路を時々通る車を意味もなくぼんやりながめていた気がしなくもない。

まぁ、とにかく退屈だった。

で、話の最後の方、なんの反応も示さない僕にしびれを切らしたのか母親が先生にお礼を言うように促してきた。


しかし。
やっぱりお礼を言う要素が見当たらない。
すぐに出てくるのは、なんかクラスみんな先生に嫌がらせばっかりされてた日々だったなぁ、って記憶。

その反面、隣のクラスのひょうきんな先生には、時々だが妙に楽しませてくれたので受験とは関係なくても自分からでもお礼を言えただろうと思う。

でも、この先生には……

負の感情をぶつけられてきた嫌な記憶が大半を占めてしまう。


なんだけども、母親が本当にありがとうございます的なことを何度も何度もいうので、こちらも言わざるを得ない感じになっていた。
と同時に、母親がありがとうを伝えるごとに僕の気持ちはどんどん冷めていく。

なので、母親が言っていたお礼の言葉をまねて、お礼の言葉を発した。

まぁ、僕の言葉に心がこもってないからというからというのもあるだろうが、先生からのおめでとうの言葉は、全く興味がないんだなというのが子どもでもよくわかるような温度だった。


今思い出してもすごく思う。

これ、いったい何の時間?

って。


○○先生嫌いだったけど大人になってはじめて先生の言っていたことがわかる、ってことはすごく沢山あるんだけど、この先生からは今もない。

子どもの授業参観に行けないのは辛いことだ。
自分も親になったので、それはわかる。
わかるけど、大人になって思うこと。



知らんがな。

生徒にそれをくどくど説教して何になるのか。
聞いた生徒たちがシュンとなってすっきりしてるだけだろう。


あいさつに行った時の疑問は、間違ってなかったと思う。

何しに行ってるのかさっぱりわからない。

あれはほんと、世の中の謎なルールやしきたりに触れた瞬間だった。


皮肉なことに、この先生は僕にとって

世の中の何の意味があるのかさっぱりわからないけどやらないとしょうがないこと

があるというのを無意識の中にたたきこんでくれていた人になっている。
理解しがたい合格挨拶をしに行く、という体験をすることによって。


そんな感じなので、こうやってなんか釈然としない思い出がよみがえるときにだけこの先生は記憶から出てくる。

パッと出てきた忘れられない先生エピソードが素敵な先生エピソードだとよかったんだけど、これはこれで案外人生において必要なことだったのかもしれないと思っている。


世の中、意味のわからないことは山ほどある。

コロナの状況も、意味の分からないこと、釈然としないことであふれている。


納得いかなけいけど、しなきゃどうしようもないこと。


粛々とやっておくのが、とにかくいい。
怒りの感情で動くのはしんどくなるだけなので。

自分を大切に。

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ゆうきパパ@42歳  |  カメラマンのたまご
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