会社員時代、男性だけど時短勤務をするに至ったわけ【複業】

「そりゃ、ふたつも仕事を抱えていたらそうなるよ」

今から3年ほど前のこと。

健康診断の時、先生に
「以前より何も出来てないのに、すぐ疲れてどんどん積み残しが……」
と相談した時、帰ってきたのがこのこたえ。

それまで何にもできていない自分を責めがちだったけど、先生の言葉がストンと入って来てすごく楽になった。

「そうか、ふたつも仕事してりゃそりゃ疲れて当然か」
と。

3年前は、会社員をしながら副業、の話題はトレンドとなる少し前だった。

そして当然ながら、当時勤めていた会社では副業は禁止されていていた。
(新しい流れにそんなに適応しない昔ながらの社風なので)

健康診断の先生は企業グループの保険組合の先生だったこともあり、もしその時僕が副業をしていてしんどい、って相談をしていたら当然ながらまずいことになっていただろう。

けど、もちろん会社で問題となることもなく、それどころか時短勤務の申請を出して業務短縮が認められることとなった。

会社の男性で時短勤務が認められている人はいないのに。

時短勤務で働いている男性は、定年後に嘱託で勤務している人くらいだ。

それなのに、なぜ僕が男性で時短勤務を認められたのか。


3歳未満の子供がいて、自身が養育者の立場である。


理由は単純で、これを満たしていたから。
法的に、これが満たされていれば申請を出せば男性でも時短はできる。
(ちなみに、3歳を超えると会社によっては別途制度が設けられていないとできない)

極端な話、実際には家で子育てにほぼノータッチ、でも問題ない。

だが、会社内の男性で取得者は皆無だった。


男性の場合は時短を取りたい、取らなきゃいけないという切羽詰まった要求が湧き起こらないからまず検討することはない。
(あくまで、僕の身の周りでの話だが)

なので、会社内で男性の時短勤務取得者は皆無となる。

まだまだ世の中的にそういった状況の会社がほとんどだろうし、男性の育休取得率が向上しても時短取得の割合はそこまで増えないだろうと思う。

本質的な家庭での育児は、女性への負担がとてつもなく大きなままなので。

なぜそう言えるのかというと、実際に自分が切羽詰まった状況に追い込まれてようやく時短を取るに至ったからだ。

勤務時間を1時間前倒しにしてもらい、朝6時台の電車に乗って会社に行く。
そして時間内に仕事を仕上げ17時に会社を出て18時前ギリギリに保育園にお迎えに行く。
(会社に時間変更の制度があって助かった)

家に付いたら間髪入れず食事の準備に取り掛かり、子供用の食事と大人用の食事を作り分ける。

妻が帰ってくる前に子供に食事を食べさせる。
(手づかみ投げしたり食べてくれなかったり、とてつもなく激しい戦いです)
妻が帰ってきたら妻に食事を出す。

子どもとお風呂に入って、寝かしつけをする。
(すぐに寝ない子だったので、1時間半くらいかかることもざらにあった)
気力が残っていれば、片づけをして洗濯などもこなす。

妻は仕事ですごく疲れていて、寝かしつけの最中横で既に寝ている。
朝5時くらいに起きて、やり残している家事を少し片づける。

こんな日々で1年過ごすことを想像してほしい。

決して、これをやってた自分すごいだろ、って自慢をしたい訳ではない。
こんな生活を1年以上、今もリアルタイムでこなしている女性はごまんといるのだから。

このような生活をこなしている男性ももちろんいるだろうが、まだまだ超少数だと思う。

で、問題なのはこれ。

会社勤務と育児をフルでこなす日々がものすごくきつくて辛い
ことを実感できる男性がほぼいない

という事実。


僕も実際にやってみてはじめて、きつくて辛いことを実感した。

最初のうちは限られた時間をいかにうまく使うか、仕事復帰してからいかにうまくやりこなしていくか、ということにモチベーションを持って何とかやれていたのだが、時間の経過とともにとてつもない疲労が積み重なっていった。
知らず知らずのうちに、着実に。

毎日毎日やっているのでやって当然なことになっているし、子供の世話を放棄するという選択肢がないので逃げ場もない。

気付かぬうちに自分自身のパフォーマンスは落ちてくるし、できないこともぽつぽつ増え、なんだか自分に情けさなも感じてきていた。

そこで、健康診断の時の相談に至る。


「気づいていないようだけど、毎日会社で働いた後にまた同じくらいの時間パートに出ていると考えてみてよ」

「当然ながら、きついでしょ」

「そりゃ、ふたつも仕事を抱えていたらそうなるよ」

単純明快なことなのだが、必死のパッチでこなしている側からはそんな感覚はなかったりする。

言われて初めてハッとする。

で、ハッとした僕はその直後、時短勤務を申請することになる。
先生のおかげで心置きなくフルタイムのギブアップを口にすることができたからだ。


あれから色々あり今は会社を辞めて主夫となっているけれど、あの時先生に気づかせてもらえてかなり助かった。

おそらくだが、健康診断で女性からの同様な相談がよくあるのですぐさま僕に的確な返答をしてもらえたのだと思う。


複業。

仕事と家事育児の複業。


大変さはやってみなけりゃわかないことだからこそ、男性にもっともっとこの複業をこなす人が増えてほしい。

そして、時短は楽でいいよなぁ、っていう能天気な男性の絶滅を切に願う。


仕事と家事育児の複業が実現できるかどうかは、上司や周りの理解が大きなガキなのだから。

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ゆうきパパ@42歳  |  カメラマンのたまご
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