グリム童話ATMサブリミナル【毎週ショートショートnote】

　ところで件の悪友とは大学時代に所属した文芸部で知り合ったのだが、
「のっけから爆弾発言を聞かせたいんだけれど」
「貴様の発言が毒も爆薬も含んでいなかったためしなど無いが、何だ」
　お互い内臓の内側まで曝け出す作品を見せ合っているので建前などなくなる。
「どうして新入部員は洋の東西を問わず、御伽話のパロディーを書きたがるんだろうね」
「あああ先輩もOBも皆が通った道だ。私と二人でいる時にしか聞かせられないな確かに」
　人類の脳内には御伽話のATMでも埋め込まれているのかと思えるくらいにだ。Automatic Teller Machine、の略である事も含めて、言い得て妙だ。
「君は書いて来なかったじゃないか」
「誰もが知っている分かりやすい話を元にしないと心がけているだけだ。もはやDNAに組み込まれていて、サブリミナル的に表出される」
　感心した悪友は全体を上手い事、「私の発言」にすり替えて話し、おかげで私は部室出禁になった。

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（410文字）

　時々出す悪友。
　いえいえ。「小説」ですってば。

　ところでグリム童話要素は全体にサブリミナル的に。