我が闘争、あるいは【あなたに書いて欲しい物語】
我が闘争、あるいは『我が闘争』といったタイトルを選んでしまう者の心象風景
岡埜 由木古
はらはらと落ちた砂粒を掃き清める作業に追われている。
もう何年も。十何年も。いや何十年も。
「指先から砂になってこぼれ落ちて行く感覚だ」
と訴えてみたところ上司は、
「カッコいい」
と苦笑してきたのだが笑い事ではない。
掃き清めなくてはならない。
常に塵一つ無い美しさを保ち続けなくては許されないのだ。
仲間のために。家族のために。会社のため地域のため安全のため、公衆衛生のため社会秩序のために。
私を砂に変えてくれる世の中のために。
思わず自嘲して私は、砂でいっぱいにふくらんだビニール袋一つを肩に負い、使い古しのホウキにチリトリは床に放り投げる形で、
そっと思い出を捨てた。
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