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近所のスパイスカレー屋に偉い人がいた話

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 同時に卒業シーズンの話。

(文字数:約1000文字)


 近所にスパイスカレー屋さんが出来て、

 前から気になってはいたのだが、
 「なくなり次第閉店」の店なので、
 思い立って行くのだが逃す、
 といった事が2、3回続いていた。

 いつもより少し早めに通り掛かったので、
 今日はもしかして行けるか、
 と思って覗いてみると開いていた。
 オッケー、オッケー。

 昼時の一人来店なので、
 カウンター席に座り、
 まずは店の看板メニューぽいヤツを、
 トッピングもあえて付けずに頼む。

 カウンターの隣席には、
 しっかり厚め生地のスーツを着た、
 貫禄も良くてどこかの会社の重役みたいな、
 偉い人っぽい男性がいて、
 そろそろ食べ終えるところだった。

「今日なー、卒業式やってん」

 いきなり話しかけてこられた。

「ああ。それでスーツだったんですね」
「せやねん。子供かわいいなぁ。
 あの子ら着飾ってんねやから、
 俺もええカッコしとかな言われて、
 着させられたんや。
 靴は間に合わへんかったけどな」

 カウンターの下に目をやれば、
 確かに暗めの色だがスニーカーだ。

「いつもは青い作業服着て歩いてるもんやから、
 おっちゃんどないしたん? て、
 あの子らおもろそうにしてたわ」
「お孫さんですか?」

「いやぁ。俺はただのゴミ集めやで。
 あと花の手入れとか、
 学校の中の何でも屋やな」
「ボランティアなんですか?」
「そんなんちゃう。
 俺が好きで通ってやってるだけや」
「ボランティアやないですか」

 ほなごっそさん、
 とその人は、
 私のカレーが来る前に店を出た。

 看板メニューは辛いので注意とあったが、
 私には全然大丈夫。
 4、5種類は混ざったスパイスが、
 粒々まで噛み砕き味わえてちょうどいい。
 (人によっては効き過ぎという意味での、
  注意書きだったかもしれない。)
 

 家に帰って配偶者に、
 カレー屋の話をした際に、
 隣席の人の話にも及んで、

「てっきり偉い人みたいに見えたんだけど」
 と呟いたところ、

「偉い人だね(・ω・)うん」
 と返された。

 (・□・)は。

「それは、偉い人だよ(・ω・)うん」
「……ホンマやな。
 肩書きとかじゃなく実質的に偉い人やったな」
 (・△・)間違いない。

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。


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