めっちゃくちゃ オモロかったけど 何やねん
タイトルは心からの率直な感想。
そもそも絵金
絵師・金蔵。
略して「絵金(さん)」と呼ばれていたけど、
本人がそう名乗った事は無いらしい。
主に土佐で活動していたため、
高知県まで行かなければ観られないかと思っていたら、
比較的私が行きやすい大阪市で、
「絵金展」が催されたので行って来た。
なぜ開催直後じゃなかったかって、
チラシに載っていて最も観たかった絵が、
5月23日からの後期展示だったからです。
大阪では6月18日まで。
興味のある方は是非。
あべのハルカス美術館
美術館、という施設単体で見た場合は、
床面積もそれほど広くなく、
展示点数も限られてしまうのだけれど、
何分ターミナル駅直結という、
立地の抜群な良さに加えて、
制限があるが故の、
見応えを増す工夫が毎回随所に施されていて、
実に良心的な美術館だと思っている。
今回もみっちり2時間近く過ごした。
正直見応えがあり過ぎて腹減ったし疲れた。
ここからが本題の感想
そもそも夜祭りで飾られる芝居絵っていう、
見世物小屋的な怪しさおどろおどろしさが、
リアル見世物小屋を見たラスト世代であろう、
私は大好物。
しかしながら、
申し訳無いのだが、
言わせてくれ。
絵のテーマになっている物語自体が、
意味分からん。
腹切りまくり胸刺しまくり首落としまくりの、
血まみれ血みどろのその原因が、
とんだ勘違いだったり、
主君の身代わりに自らの首を差し出す天晴れ忠義魂、
だったりする。
ごめん。無理無理。
アタシ認めない。(スピードワゴン井戸田さん風に)
それが歌舞伎の人気演目だった。
承知してます。
承知した上で改めて言いたいのです。
現代感覚では理解不能だと。
しかしながら絵金の絵が飾られていた、
土佐の神社を訪れた当時の人々も、
「へはぁー。侍ってぇのは大変なもんだねぇ。
俺たちぁ気楽な町人で、
貧しいながら家族みんなで暮らせて良かったなぁ」
程度で済ませていたと思うんですがね。
とは言え物語世界に言及
今回絵のそばに付けられた解説が、
おそらく展示品解説として可能な限り、
細かく書かれてあったもので、
読みこなすのは大変でしたけれども、
歌舞伎ですら大幅に省略されてあった、
細部が知れて満足度が高い。
「番町皿屋敷」のお菊は、
お皿割ったから殺されたんじゃなかったんだ。
お皿割った事にして殺されたんだ、とか。
後にお菊の夫が仇討ちしてくれた、とか。
(敵の首を持つお菊幽霊の嬉しそうな笑顔ときたら!)
「累(かさね)」の夫は何も「色悪」じゃなかったんだ。
「こういう悪い男って結局どこか魅力的だよね」
って話じゃ全然なかったんだ、とか。
え。石川五右衛門に息子いたの?
そんで一緒に釜茹でにされちゃったの?
うわぁ。釜茹で後の二人の死体悲しすぎる、とか。
うん。
やはり物語は細部だよ。
省略されて短時間で済めば済むほど、
分かりやすくはなるけど何かを失うよ。
あと売店で売られていたチロルチョコが、
絵金の絵を使ったLINEスタンプで包装されていて、
「すきあり❤️」とか「そういうのムリ」とか、
めっちゃ面白かったけど、
それはLINEスタンプそのものが欲しいなぁ。
というわけで見出し画像は
「すきあり❤️」に使われていた、
「花上野誉石碑 志度寺」の一部
(を使った高知県の絵金ガイドブック表紙)。
確かにこの少年のこの表情は可愛い。
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