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カフェ4分33秒混在【毎週ショートショートnote】

 無音、である必要は無いらしい。
 必要な挨拶に、ドリップ音くらいは耳に入る。ページをめくる音に、カップがかすかに立てる音、隣のテーブルでのちょっとした会話くらいなら許される。
 意識的に口を閉ざしておく事が苦痛にまでは至らない、ギリギリの秒数を設定した砂時計が、テーブルの片隅に置かれてあり、サラサラと砂が落ち切るまでの間に摂取した分の、飲食物代は無料。
 しかしながらこの場合、より多くを飲食できた事は何ら名誉にならない。
 来客は時間と金銭とどちらに重きを置くかに、意識的である事を求められる。正規の値段をそのまま支払える事が最上とされるが、それが出来る人もなかなかいない。カップの底に仕込まれたICチップがナノグラム単位まで計測している。どう足掻いたところで蒸発分は発生するわけだ。
 要は「Don’t think. Feel」という話であり、ここまで回りくどく設定しなくては、人は我が身の感覚に意識的になりにくいらしい。


(410文字)

 どんなカフェやねんと生真面目に考えてみた結果。

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