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星屑ドライブ断片【毎週ショートショートnote裏お題】

 ものすごくものすごぅく小さな生物となって、身体組織を駆け巡ったならば、ヒトの細胞一つ一つは所々で、電気信号を自ら発するか外から受け取るかして、瞬間的に輝き、前後も左右も足下も頭の先も、全方位があたかも闇夜にきらめく星屑の如く見えると思うのだ。
 いやこれは、私個人の思い付きではなく、私の恩師が子供時代に読んだ科学雑誌に載っていた一節らしいのだが、と私の恩師は申し訳無さそうに付け加えた。
 無論当時の科学など、現代の眼で見ればいかにも陳腐な、読み物レベルだったに違いないが、その、全方位が星屑の中を高速で駆け巡るイメージは、いくら根拠を並べられ否定されたとしても、私の頭から消えてくれる気がしないね。
 してみるとヒトの思考といったものも、存外にそのようなものかもしれない。他人同士であれ思わぬ所で繋がり合って、暗闇の内では星屑に、見えてくれるものかもしれない。美しいと同時にその光景は、恐ろしい心地にもなるのだけれどね。


(410文字)

 昼下がりに唐突に宮武外骨を思い出しての思い付き。

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