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ミーはおフランスにつかれはて

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivで公開してきた小説以外の文章を、
 noteに移して行きます。

(文字数:約1700文字)


 いやホンマに毎回疲れまんねん。
 レッスン終わりは毎回ぐったりで、
 近くの喫茶店でコーヒーと甘菓子しばいてまんねん。
 分かってはいたけれども気の休まる所が一切無い。

 楽譜上の話な。

 特にこの、
 『私の心はヴァイオリン』

 「難しいで」
 と言われながら渡されたけどマジで、
 マ、ジ、で!
 一音たりとも気が抜かれへん。

 かと言って一生懸命になって歌ってもあかんねんで。
 ムリして聞こえんように顔にも喉にも腹にも、
 気ぃ遣い続けていなすぐに聞き苦しくなんねん。

 「それでな。
  私ら実際のところステージでは、
  楽譜通りに歌わへんねん」

 はい。

 「こっからはその歌い方に入っていくからな」

 おおレベルアップ!
 実生活で脳から聴こえる
 「♪チャララチャッチャッチャー」は、
 ハンパやないでアドレナリン溢れ出るで。

 「伴奏から心持ち、遅らせ気味に」

   ♪私は
   ブチ

 「遅らせたら心持ち早め! 算数や算数!
  おんなじ小節の中で計算せえ!」

 はい分かってますけど算数苦手ですぅ!

 「あんた先週から変なクセ出て来てんな。
  伸ばすところでコブシ入ってんで」

 あ。
 ご詠歌や(汗)。

 すごいなホンマ切り替えて臨まんとクセ出るな。
 もう話のタネみたく、
 先生に言うてしもうた方がええのかも分からんけど。

 とりあえず気を付けてやり直して。

 「セクシーにとは言わへんけども、
  歌い上げるとこもうちょっとやわらかく。
  あと早めた分間に合うから途中で息吸ってええで」

 え。あ。ああ。お。

 「いっぱいいっぱいやな」

 すみません一個を気にしたら一個が抜けてしまいます。

 「そしたら次はテンポの速い曲いこか。
  『ピギャール』とか」

 何ですかその今の脳からの悲鳴に似た響きの歌は。

 モンマルトル近くの一街区を歌ったもので、
 歌詞がまぁ何と言いましょうか微笑ましいと申しますか、
 現代では放送禁止用語なんかも使われていまして、
 正直私好みでございます。

 しかし「夜の女ハダカ女嬉しそうに」
 だけはもうちょっとどうにかならんかったものか。

 なので書き換えてみました。

    ピギャール
           岡埜 由木古

  ちっちゃな噴水 呑み屋だらけの駅の名は ピギャール
  金が有ろうと身分が無かろうとそれなりに ピギャール

  あっちの通りで歌手が鳴らすヒット曲
  こっちじゃ筋肉自慢が担ぐダンベルを

  家具付きアパート灯りもまばら がら空き ピギャール
  夜になれば地獄からの甘い歌
  ピギャール

  いつもの顔ぶれ 刺激を求めて
  聞こえる言葉はバベルの塔並み
  恋の競り市に早変わりの街
  ここじゃ夜と昼が みんなあべこべだよ

  踊らない踊り子 ふところを見る手相見  ピギャール
  道で寝る奴 物を売る奴 何でも屋    ピギャール

  可愛い娘がにっこり笑って「ウチに来て」
  そっちの角ではこっそりヒモが見張ってる

  ちっちゃな噴水 呑み屋だらけの駅の名は ピギャール
  夜になれば地獄からの甘い歌
  ピギャール

  ちっちゃな噴水 呑み屋だらけの駅の名は ピギャール
  生きろ 騒げ ケダモノほど心地良い
  ピギャール

 更には今回先生にも見せてみました。

 「……。

  もうちょっと言葉削って分かりやすくせな。
  フランス映画とか見てない初めて聴く人に
  ピギャールの雰囲気伝わると思う?」

 ええ分かりにくくなった感は否めませんが
 あまりに分かりやすいのも如何なものかと。
 こちらとしてもフランス語の歌詞に寄せただけでして
 初回で即OKとは思っておりませんが、
 せめて「夜の女ハダカ女嬉しそうに」だけは!

 「でもホンマにコート脱いだらハダカの女立ってんで」

 でしょうねでしょうけれども!

 「努力は買います」

 ありがとうございます。

 結局8割以上は元の歌詞で充分と確認した。
 ただやはり残りの2割は変更を試みたい。

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偏光
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