男子宝石砥石【毎週ショートショートnote】
「男子の宝石で作った砥石で磨くと、刃物は切れ味良く見た目も艶やかになるんだよ♪」
とまたたわけた事を私のかつての悪友がのたまってきた。
「血や汗や涙の結晶とかほざいてくれるなよ」
「違うよ。特殊能力『クリスタライ……』」
「もっとやめろ馬鹿野郎」
かつての悪友と呼ぶからには私は縁を切ったはずなのだが、悪友なだけあってそこそこ外聞の悪い弱味を握られてもいて、こうしてせっかくの休日に縁もゆかりも主催団体も謎めいた、武器・護身用具見本市に連れ出されたりする。
ちなみに外国ではない。
「現代人だろうと平和ボケと言われて久しい我が国民だろうと身を守る術は心得ていて然るべきだと思うんだぁ」
「もっともらしく人を刑法スレスレに追い込むな」
事実会場に集まった男子どもは、思い思いの軍服・武装に身を包み、まるで宝飾品を選ぶかのように、モデルガンをタクティカルをフラッシュライトを吟味していて、
私はその模様を網膜に焼き付けてしまうのだが。
(410字)
つまりは取材。ああ小説ですよ。フィクション。
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