残り物には懺悔があるコロネ【毎週ショートショートnote】
「もうお母さんってば」
テーブルに残っていたチョココルネを、むしゃ、とやったら、新聞とか読んでいた妹が驚いて私を見たけど、
「もう私子供じゃないんだから。チョココルネなんか喜ばないのに」
青ざめて震える感じで特に理由とか言わないから、なんでかな? と思いながらそのままむしゃむしゃ食べ続けた。
「あ……、姉上……」
もっと子供の小学生の頃、時代劇にハマっていた妹は、家族をおかしな風に呼ぶ。今もよっぽどな事件が起きたみたいに、まじめくさった感じに言ってくるから笑い出しそうになったけど、
「チョココルネは、母上が、自分が食べたくて買ってくるんだ」
と言われて、
「ええええええ!」
驚いたけど私、悪くないもん。
「子供の頃の憧れお菓子で、見つけるとつい買っちゃうって」
「言ってよぉ! そんなの言われなきゃ分からないって!」
「いや。確認してくれ。頼む。私は母上が、パンを買った日に急に機嫌が悪くなるのが、どうしてかと思っていた」
(409文字)
どっかですでに書いたエピソードな気もするけど。
あと姉妹どっちも懺悔してないけど。
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