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点訳ボランティア員【こんな仕事です】

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 こちらの企画に参加します。↓

 (文字数:約1700文字)


  金銭報酬など得ていなくとも、
  これは仕事だと言わせてもらう!

  なぜなら結構な時間と神経を使う!
  加えてそれまでの人生で蓄積してきた、
  語彙量に読解力も必要になる!

  何より約一年間の養成講座を、
  受講しなければ働けない上に、

  受講前のオリエンテーションでは、
  業務上必要とされるだけの、
  国語力を問う試験が課され、

  及第点に届かなかった者は、
  容赦無く落とされる!

  まずこの現実を皆さんご存知ない様子で、
  「ボランティアに来て落とされるって何」
  と涙を飲みながら帰って行かれる。


  点字そのものの形状については、
  気を付ければ街角でも見る事が出来るので、
  ここでは割愛する。

  かつては点字板に点字定規で、
  1点1点打ち出していたのだが、
  さすがに点訳ソフトが開発されて、
  パソコン上で操作できるようになった。

  とは言え多くの人にイメージされるような、
  文章を入力して、
  ボタンをポチッと押したなら、
  変換されてくれるような言語体系ではない。

  点字独特の文法に表記ルールがあるため、
  結局はキーボードを、
  1キー1キー押しているのだ。
  入力と編集作業が格段に容易になったまで。


  平日1〜2時間は点訳と、
  個人校正を行い、
  毎週決められた曜日に持ち寄って、
  他のボランティア員による校正を受ける。

  なんだ実働時間少ないじゃないか、
  と思われた方は、
  今から10分程度でも、
  手元にあるどのような文書でも良い。

  一字一句に読点、句点、
  改行、空行に記号類の類も、
  飛ばさないように間違わないように、
  声に出して読み上げてみろ。

  通しでの点訳も校正も、
  2時間が限界だ。

  1時間ほど休めば、
  午後にもう2時間作業出来る。

  しかしそこそこへとへとだ。
  昼休みにはめっちゃ腹が減る。
  飯は脳が食うのだと思い知る。


  この仕事をしている利点として、

  自分だったら選ぶどころか、
  生涯接する事も無かったような、
  書籍や知識に触れられる。

  それぞれのボランティア員が、
  植物や料理、
  クラシック音楽やスポーツや、
  歴史の中でも西洋史か東洋史か、
  日本史であっても徳川か楠木正成かといった、
  自分なりの得意分野や強みを持っているので、

  年齢などは関係無く、
  互いに質問し合い敬意を払い合える。

  もちろん当事者として、
  視覚障害者も勤めているので、
  普段から身近に接し切れて、
  日常的な困り事なども相談される。


  まぁ昼休みの雑談が、
  多岐に渡って面白い!


  「バンジージャンプしに行って、
   この橋の下には一面、
   ふっかふかのクッションが敷いてある、
   って想像したら飛べたよ♪」
  なんて話……、

  おい面白過ぎんじゃねぇか。
  それ晴眼者には見えちゃうから。
  絶対想像できないから!


  願わくは金銭報酬が欲しい!

  あるいは世の中の全体から、
  金銭報酬を得ていない人々に対する、
  「働いていない」印象を粉砕したい!

  今年から、
  ようやく今年から、

  教科書担当の人員に対しては、
  スタッフさんも申し訳無いと、
  言ってくれるほどの額面ではあるが、
  支払って頂ける事になった。

  それすらも相当な議論が重ねられた。
  今後も増額を求めるために、
  相当な説得時間が費やされるだろう。

  あえて問う。

  それほどまでに、
  「ボランティア精神」とやらは、
  尊重されるべきものなのか?

  だとすれば尚も訊くが、
  尊重の表し方が間違ってはいないか?


注:ボランティアも10年以上続けると、
  企業の点字校正を依頼された際に、
  「やれます!」と即答できました。

  そちらでは枚数に応じた報酬を、
  受け取れています。

  

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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偏光
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