ミーはおフランスに魅せられて
はじめましての人も、
前から知ってる方も、
ごきげんよう。
偏光です。
Pixivに投稿してきた小説以外の文章を、
noteに移して行きます。
(文字数:約1500文字)
6月のシャンソンは
前々から「何か好きな曲ある?」と訊かれていて、
『パダン・パダン』以外で答えていた一曲。
『サンジャンの私の恋人』
ここでちょっと皆さんに想像して頂きたい。
ネットの無い時代、
そこそこ予算も限られる家庭環境に生まれ、
TSUTAYAもタワレコも無い街の中で
(準ずる施設はあったけれども)、
売れ筋ではない商品を手に入れる苦労を。
そして手に入れた者に対する周囲の反応を。
フォルクローレだの
チャルダッシュだの
民謡だのが、
幼い頃からやたらと心に響いていた私は、
楽器専門店の「世界の音楽」コーナーを覗くのが、
楽しみの一つであり、
安売りのワゴンセールで買った
『シャンソン名曲集』を、
歌詞カードも丹念に読みながら、
繰り返し聞き入っていたものだ。
同じ部屋に暮らす姉には迷惑になるので、
もちろん部屋に私一人の時に。
そんな一枚の中の、
特にお気に入りの曲であったが故に、
予期していなかったわりと大変な困り事が起きた。
好きが高じすぎる。
何度も何度も繰り返し聴き込み過ぎて、
前奏だけで心が踊ってしまい、
楽譜と伴奏に合わせ込めていない。
先生渋い顔になりながら
「うん。ええねんで。
歌は気持ちを伝えるものやからな。
好きなように考えて、
歌ってもらってかまわへんのやけども……、
まずは基本を押さえてからや」
ごもっとも。御指摘の通りで御座います。
教室では日本語版を習っているのだが、
この曲に関してだけはもう
フランス語で歌い出したくてたまらない。
こまーんぬぱぺーるどらてー
せりーぱるでぶらぞーだしゅー
かるろんくろわとぅじゅー お どぅーもだむー
かんいるそんでぃあべっくれじゅー
もわ きれめたーん
じゅるとるべるぷりゅぼーどぅさんじゃーん
じゅ れすてぐりーぜ
さんぼろんて すせべぜ
ってやりたい!!!
当然意味が伝わらないのだけれども
私の脳内でこれはこのように再生されている。
なんとふくよかな情感に、言葉の響きであることか!
流れるようでありながらしかし、
「だって 人って そういうものじゃない
(かるろんくろわとぅじゅー)」部分では、
パキッ、パキッと畳み掛けてくるし、
「もわ(私)」
この万感を込めた「もわ」が良いんだ。
「私はあの人に魅せられた」じゃダメなの。
「あの人に魅せられた私」
って言うなれば体言止めの感覚。
そして、
「あの人が最高の美男子ー
(るぷりゅぼーどぅさんじゃーん)」と、
音が舞い上がっていく見事な浮かれポンチっぷりに、
そこからのあれよあれよな落ちっぷり。
もうどこをとっても完璧ね!
全ての語句と音とに無駄が無いね!
これを3番まであるサビで必ず繰り返す。
と思いきや3番だけは最後の一行が変わる。
オチを付けつつもダメ押しでもう一度、
最後の一行だけを繰り返して余韻を残す。
いつもの遊びで訳するのが非常に難しい。
しかしこれがそこそこ叶ったならば
私は日本語の行使力にある程度の自信を持って良いだろう。
先生溜め息
「あのなぁ。
好きでも歌えてへんかったら意味無いで」
仰る通りで御座います!
次回までにもう少し落ち着いておこうと思う。
何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!