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tomekantyou1
噛ませ犬ごはん息災【毎週ショートショートnote】
ごはんの残りに冷えた味噌汁の余りをぶっかけた、いわゆる「猫まんま」は私の故郷では犬に喰わせるものだ。
猫は缶詰を開けられてミルクをもらえたり、食卓の刺身などに甘え声を出しては見事お相伴に預かれたりする。
端すら欠けたプラスチックのお碗に入った「猫まんま」を、夕飯後に年老いたウチの番犬に持って行くのは私の役目だ。
かつては馬を停めていた駐車小屋の隅の地べたに、黒い毛も所々皮膚病で禿げた番犬が身をへばり付けて伏せっている。
ペットという感覚も飼い主という感覚も無い。
お互いにみすぼらしい者を前にして、憐れむ眼差しを向け合っている。
「クロベエ。ごはんだよ」
せめてそれくらいは言ってやる。私以外からは長く呼ばれてすらいない名前だ。
番犬はのっそりと立ち上がり、プラスチック碗によぼよぼと近付いて顔を突っ込みながら、食ってる間せめてしっぽくらいは弱々しく振ってくれる。
虐待であると私に言うか?
ただこの現場だけを見て?
(410文字)
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