ルールを知らないオーナメント怨嗟【毎週ショートショートnote】
「わっはっは」
縁を切ったはずの悪友が、クリスマスイベントを開催しやがったので、心配で心配で覗いてみたらだ。巨大なガラスケースに収まった蛍光オーナメントツリーを見て、思わず恐怖の笑いがこぼれまくったぜ。
「わっはっはっは」
「喜んで頂けて何より」
と悪友は背後から、ふざけた笑顔で私の背筋を凍らせてくれるが。
「てめぇ何も知らねぇ人々巻き込みやがって」
「私だって被害に遭うのは御免だからもちろん防弾ガラスだよ♪」
「ああぁあ? 飾り付けは一体どなた様が担当して下さったと?」
「安心して。君も大嫌いな人たちに決まってるから♪」
「自分の好き嫌いごときで非人道な真似をする趣味はねぇな私は」
「そのセリフは彼らにそのまま語ってくれないかなぁ」
改めてオーナメントを見上げると意匠も一つ一つがきな臭い。
「おい。あれ原子構造じゃないのか?」
「よく見たら繊細で綺麗な形してるよね」
「飛行機も銀色だしなぁ」
「名前はエノ……」
「言うな。人名だ」
(409文字)
まさか本物なわけないじゃないかぁ。
はっはっは。
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