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全力で推したいダジャレ問答【毎週ショートショートnote】

「『ダジャレを言うのは誰じゃ』、という文句は真剣に考えれば考えるほど、深い迷路にはまり込むと思わないか」
「普通そんな文句誰も真剣に考え込まないんですよ部長」
 御詠歌部の部室に、部長と次期部長二人しか揃わなかった、ある活動日の夕暮れである。
「私は『普通』には従わないと」
「知ってます。充分に分かっていますけど、それって『お前やないかい』のツッコミ一つで終了じゃないですか?」
「関東出身の君がイントネーションは不完全ながらツッコミを口に出来るまでに成長した事は感涙に堪えないが」
「誉めてるんですかけなしてるんですかどっちなんですか」
「ダジャレはボケではなくツッコミどころか聞く相手すら必要としないところに、この文言の妙味があるんだ。しかるにこの話者が用いた疑問形は、答えを得る事無く永久に虚空をさ迷うものとなる」
「頭が痛くなりそうなんでそろそろやめて欲しいです」
「『迷路にはまり込む感覚』を君も理解してくれたならそれで良い」


(410文字)
 言わずもがなですが「虚空をさ迷う」=「すべる」である事を踏まえた上で、ダジャレとしての完成度と永遠性に驚嘆しています。


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