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音楽にしてやられた 中 〜音楽の人間関係〜

こんにちは。
「音楽にしてやられた 上」の続きです。
初回の方はこちらからどうぞ

さて、前回は「音楽のあり方」と自分自身の感じたの違和感について書きました。
前回の記事は、まだ少しでも共感できる内容があったかもしれません。
しかし!

今回の記事「音楽にしてやられた 中」では、前回よりももっと
個人感情的なものを書きます。
そこを先にご了承の方はお読みください笑


この話に登場する人々
・ユウト…俺(仮名)。
・「N」…俺と同学年の男子。
・「S」…俺と同学年の女子。
・K先輩…俺と仲の良い先輩。

音楽と人々

他の人と同じように、“普通”に、音楽を楽しんでいるのならば、
わざわざ音楽に対する「不思議さ」なんて生まれてこないはずである。
純粋に音楽を楽しめていれば、それで十分だからだ。

しかしどうして「音楽にしてやられた 上」で書いたような
「音楽への違和感」を感じたのかと言えば、
それは「音楽への反感」が少なからずあったからだと思う。

その「音楽への反感」について考えてみたところ、一つ思い浮かんだのが
「音楽の人間関係」だ。

俺が「高校1年生のときは、」寧ろ人間関係は良かった。
特に、「先輩たちとの」仲が良かったのだ。

敢えて鉤括弧で強調した意味は、まぁ
あくまでも、自分が1年生の頃まではうまくやれていたというわけだ。

困り者① 「N」

しかし一応当時から、俺の周りには困りものがいた。その1人は「N」だ。
彼は同学年では、自分以外では唯一のめちゃくちゃ女子っぽい男子だった。
彼は絶賛過疎化進行中の山間部に住んでおり、
そういった場所で育った経緯か、ちょっとしたことがあるとすぐ病んでしまう。

例えば彼は、俺たちの所属している室内楽部以外に
もう一つ兼部している、軽音楽部で人間間の対立が発生してしまったとき、
病むがあまり、不登校になってしまった。
彼はその「軽音楽部対立事件」を機に、何事をするにも嫌になってしまい、
俺らの学校が誇り高き進学校であるというのに、それなのにも関わらず、
勉強することすらも放棄してしまったのである。

そんな「N」の唯一の救いとなったのは、当時の、「当時の」俺だった。
彼はこの頃、彼の身寄りは俺たちの所属している室内楽部だけだった。
そんな中で、俺が彼を励ますような言葉を日常的にかけるようになる。
お昼ご飯も一緒に食べるようになり、彼の相談に丁寧にのった。
なんと優しい人なんだ、俺は。

「N」との関係性の変化

それで彼はまるで、俺を神ないしは信仰対象であるかのように
崇める(?)ようになった。
ただ、単に崇めているうちはまだ良かった。
彼は、何故か俺に好意を抱くようになってしまったのである。

好意…というのは、親しみというよりは、恋愛的なものに近い。
しかし同性の彼が俺に好意を抱いているだなんて俺が気がつくはずもなく、
そのまま時が流れていく。

その年の暮れに彼に呼び出され告白を受けたときの俺の感情は、言葉では表すことができない。
こんなことを誰しも見ることのできるインターネット上に書き込んでしまうのもどうかとは思うが、
ぶっちゃけ意味不明だった。

今日の日本の教育では、確かにLGBTQ+への理解を促すような内容もある。
しかし、いざそういう人が目の前にいるとなった時のことを考えて欲しい。
きっと、全く動揺しない人なんていないはずだ。

ただ、「N」が言うには、性別とか関係なく一緒にいて楽しい人が好きだという。
それは誰にだって当てはまる、ごく普通のことだとは思う。
とはいえ、わざわざ夜に俺を呼び出して告白するのはえげつないとは思うが。

「N」の“逆ギレ”

別に俺のことを好きでいてくれるのは構わない。
ただ困るのは、それに対して俺がどのように反応すれば良いのか、ということだ。
今まで「友達」だと思っていた相手が、俺のことを「恋人」だと思っていた、
そうなったとき、俺は「N」に対して、どういう接し方をすれば良いのかわからない。

「N」自身も、俺に告白してしまった以上、やはり少なからず
「恥ずかしい」という感情はあったらしい。
(彼女?)も俺とはどのようにやっていこうか悩んだらしい。

俺は考えた結果、「今まで通りに接していけば良いじゃないか」という
結論に達した。
その一方で「N」は、「恋人として仲良くしてほしい」と思ったらしい。

ここで意見の食い違いが生じた。
俺の他のnoteを読んでいただければ分かるように、
俺は他人をイジることはよくするし、それくらいの関係が程よい。
でも「N」は、恋人として、イジられたりネタにされたりするのは
耐えられなかったらしい。

「N」は先輩達が引退したところで、なんと部長になった。
そんなヘナヘナな生き方をしている彼(彼女)が、部長になってしまったのである。
そこで「N」は、自身のことを恋人としてみてくれない俺を
懲らしめる作戦に出たようだった。

「N」は、俺が普段忙しくて部活に毎回参加できないことを知っている。
だから、彼はまず、部活の予定表の内容を増やした。
「部活に俺が参加できない」という状況を、意図的に増やしたのだ。
これで俺を部活の中心から排除することに成功した彼(彼女だろ)は、
今度は自分自身に都合の良いように部活を作り上げていく。

「N」には特別にリーダーシップがあるわけでもなかったし、
人望があるわけでもなかった。
ところが「N」は、何故か人を信頼させる力があった。
だから彼(彼女)の言ったことは、誰しもがすんなりと受け入れた。

楽器の練習に真剣に取り組み続けた「N」は、
ついに部活全体からの信頼を掴み取った。
一方の俺はそれに反比例するかのように、部活内での他人との関係性を断絶されていった。

俺はそろそろ耐えられなかった。
俺が彼(彼女)に対して何かしでかしたわけでもないのに、
彼(彼女)の「恥ずかしい」という感情一つで
俺がこうも振り回されるのに耐えられなかった。

もうそのときには、「こんな部活、退部して因縁もぜんぶなくしちゃえば良いんだ」と
いうのは分かっていた。
でも音楽自体は好きだし、
「N」に実力負けして退部していくという自分が格好悪いような気もして、
なかなか退部には踏み切れなかった。

とはいえ、自分がこの部活にいて心地悪いと感じるには明らかに彼によるものだったし、
仮に自分にも多少の責任はあるにせよ、
彼のいる部活にはもはや愛想を尽かしていた…。

困り者②「S」

「N」以外でも、「N」並に俺にとって厄介だった人がいた。
それは同学年女子の「S」。
彼女はバイオリンを10年ほど弾いているといい、当然ながら非常にうまい。
先輩たちの引退後は、部活のコンサートマスター(演奏の最高責任者のこと)を務めている。

しかしながら、さすがに彼女は自分が飛び抜けて楽器がうまいことを鼻にかけては
他人に嫌われると分かっていたらしい。
彼女はできるだけ、そこに関して「は」、寧ろ謙虚にしているようだった。

ただ、彼女は全てにおいて謙虚なわけではなかった。
彼女はどうやら、たった一度きりの高校生活を楽しまずにはいられなかったらしい。

彼女は俺に楽器を基礎から教えてくれたし、男女問わず仲が良かった。

と俺は思っていた。
しかしそれは単なる親切ではなく、
どうやら彼女は俺が好きだったらしい。

というのはさすがに、その辺の思春期の男子高校生のくだらない妄想では無いとは思う。
とはいえ一応その根拠(?)を示しておきたい。

「S」の好意

まず一つ。「S」は、俺を頻繁に食事に誘ってくる。
最初のうちはついていってあげていたが、
次第に成績が極端に落ちたことを理由に断るようになった。
いや、本当に成績の落ち込み様がえげつなかった、
学年には200人強の人がいるのだが、自分はその中で順位が140位ほど落ちたのである。

さて、「S」は食事に誘ってくるだけではない。
某ハンバーガーチェーン店に行った時、俺は金欠を理由にハンバーガー1つしか頼まなかった。
すると彼女は、ポテトだとかナゲットを俺に分けてくれたのである。
これを男子が俺に対してやってくれる分には嬉しいのだが、
普段から俺に付きまとう彼女が俺に対してやってきたというと
明らかに「そう」でしかない。

また、焼き肉を食べに行ったときはもっと強烈だった。
彼女はアルミホイルに具材が詰まったようなうまそうなヤツ(名前は忘れました)を
注文した。
ところがそれを半分ほど自分の箸で食べるのは良いものの、
その残りを俺にくれるのである。

まぁこれも同様、くれる分には嬉しい。だってうまいんだもん
ただ、敢えて食べかけのやつをくれるあたり、
間接キスを半強制的にさせてきてる。
だからといって断るわけにもいかず、仕方がないがそれくらい食ってやった。
今思い返すと、強烈に気持ち悪い。

そして「S」は、俺の恋愛事情にも詳しく聞いてくる。
それは偶然だとかそういう話の流れだとかそう言うのじゃなくて、
日常的に関わってきた。

冬は「ね〜ユウト、寒いよ♡」(ユウトは私の仮名です)
とか言って、物理的にくっついてくる。
俺と仲の良いK先輩は俺ばかりがそうやって女子にくっつかれているのが
ちょっと不快だったのか、たまに
「Sの絡み方ってさ、エッチーよな」とか俺に言う。

彼女に限った話ではないのかもしれないが、
いちばん激しく突っ込んできたのは髪型についてだ。
俺は高校1年生の途中くらいまでは、適当な髪型だった。
ところが高1の秋くらいに、偏差値低めチャラ高校のヤツに
髪型をセンター分けにすることを勧められる。

よくわからないままやってみたのだが、これが「S」にとっては強烈過ぎたらしい。
「S」は俺が髪型を変えたのを見るなり、
俺を100mくらいは弾き飛ばすんじゃないかという勢いで飛んできて
「え〜♡ねぇ、ユウトめっちゃイケてんじゃん♡んh♡」
とか言ってめっっっっっちゃ興奮しているのだ。

この興奮はいつまでもおさまらなかったようだ。
彼女は部室でお昼ご飯を一緒に食べようと誘われるので、
「俺はNとSに争われてるのか…くだらね」と思ったのだった。

Sが2月14日に何故かいきなりチョコレートをくれたので、
俺は世の成り行きから、3月14日にお返しをした。
彼女はもう興奮で壊れそうなくらいに興奮していた。
一方の俺は、というと、
正直女子とそういう関係を持てること自体は嫌いじゃなかった。
だがそのころは、ちょうど俺の恋愛事情もそう一筋縄にはいかないような状態に絡まっていたので(=Sと同じ様に俺に関わってくる人が他にも数名いた)、
そう簡単にそれをほどくこともできなかった。

そんな感じで、俺の周りを「ピンクと黒が混ざった様な色」が
取り巻く様な時期が半年ほど続いた。

そうした時期がまるで嘘だったかのように一瞬で途切れたのである。

それは、俺がとある事情で髪をバッサリと切りたくなったときのことだ。
別に「失恋したから髪切って心機一転」とかいうものじゃなくて、
登山でテント泊するときに髪が短い方が都合が良かったからである。

それで、過去にないほどに髪を短くした。
どれほど短いかと言えば、幼い頃に頭を切ったときの傷跡がくっきりと見えるほどに
髪を短くしたのである。

さて、それに対する「S」の反応はというと、
初めてみた時は、まるで世の中の色が反転したかの様な表情だった。
最初の頃は気持ちの整理がつかなかったのか
「今日から毎日写真を撮って、ユウトの髪の成長記録取るね」みたいな
意味不明なことをされていたが、
ある部活帰りの夜、ひとこと言われた。
「私、ユウトの前の髪型の方が良かったな…」

俺はそのときどう返したか覚えている。
「登山で髪が短い方が都合が良かったからね。」
そんな話じゃないのに、という表情の彼女に、追い討ちをかけてやった。
「まぁ別に、Sのために髪型やってるわけではないし、。」

それ以来、「S」は俺に対して一気に関わらなくなった。
「N」同様、俺と話すことすら気まずくなったらしい。
俺もそれで良いと思った。
俺がセンター分けにしたときもそうだが、
人を髪型だけで判断するやつと深く関わらなくて良かったと思えた。

「S」&「N」連合軍

「S」はやっぱりバイオリンがうまかったから、
先輩たちが引退するとコンサートマスターになった。

それと同時に「N」は部長に就任。
これで、部長とコンサートマスターの両方が、
俺とはまともに話もできない様な人になってしまった。

仲の良かった先輩達も引退し、もはや俺は部活内での行き場がなかった。

そうした中で、「そもそも音楽ってなんだろう」と
疑問さえ感じるようになってしまった。

この時には既に、俺はもうこんな部活退部すれば良いんだと思っていた。
男女問わず好かれて、それを気持ち悪がって弾き飛ばしたらこの様。
やっぱ高校生なんて、所詮気持ちのままに動くくだらねぇやつらしかいないんだな。


「音楽にしてやられた 下」に続きます。


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