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オーストラリアでのワーホリ経験談!

セカンドワーキングホリデービザ取得のための冒険
チキンファームからブドウ収穫まで

11月中旬、ビザの有効期限が迫る中、私はセカンドビザを取得するため急いで農業とホスピタリティの仕事を探し始めました。本当はホスピタリティ業界で働きたかったのですが、10社以上のホテルに履歴書を送ったにも関わらず、返信が来たのは1社だけでした。その応募プロセスには動画での2次審査が含まれており、英語が母国語でない私にとってはなかなか厳しい挑戦でした。

その頃、日本への2週間の帰国が決まっており、かなり焦りを感じていました。そんな中でオーストラリア人の友人が見つけてきたのが、チキンファームの仕事でした。その友人が積極的にジョブエージェントに電話をかけ、良い関係を築いてくれたおかげで仕事がほぼ確実に決まりました。オンライン面接は日本から行う予定でしたが、技術的な問題でうまくいかず、オーストラリアに戻ってからの軽い面接と身体検査を経て、すぐに必要な書類の手続きを行いました。1週間後にはチキンファームで対面での面接が行われることになりました。このファームはシドニーから北西に車で5時間の位置にあるタムワースにあります。

ファームでは、孵化場で働き、卵からひよこを孵化させる作業をしていました。ひよこの性別を判別したり、食用にするか繁殖用にするかを区別したりしました。他には卵拾いや屠殺場での仕事などもありました。基本的には水曜日と土日が休みでしたが、突然休みになることも多々ある典型的なカジュアルワーカーの状況でした。仕事自体や同僚に対する不満はありつつも、時給が30ドル(日本円で約3000円)だったこともありそれなりにこなしていました。

しかしながら、仕事に就いてから2ヶ月ほどで、突然2週間仕事がなくなると通告され、私のビザ要件を満たすためには別の仕事を急ぎで見つけなければならなくなりました。私はセカンドビザを取れる期限ギリギリでファームに来たので二週間も仕事がストップすると期限に間に合わなくなるのです。

ここからが本当に大変でした。オーストラリアの友人中に連絡したり、ビザサポートを行っている弁護士にお金を払って相談したりと思いつく方法を全て試した結果、友人が紹介してくれたブドウ畑で2週間だけ働くことに決定。ブドウ畑のあるミルデューラというNSWとビクトリアの境界にある街へ移動することにしました。すぐに荷物をまとめ、翌日には出発し車で二日間の道のりでした。

チキンファームでの仕事を開始した後、検疫プロトコルにより最大の問題が生じました。チキンファームでの従業員は、他のチキンファームで働く人々と同じ住居に住むことが禁止されていますが、不動産オーナーからは入居前に「この家にはチキンファームで働く人はいない」と説明されていたため、その家を選んだのです。しかし、入居が決まった時点で、同じ住居には既に他のチキンファームで働く従業員が住んでおり、彼らも自分たちの住所を隠していたため、共住することになってしまいました。

この状況がさらに悪化したのは、チキンファームから全従業員に向けて、定期的な検疫確認のためのメールが送られた時です。このメールでは、従業員に現在の住所の更新を求めており、共住していた従業員も正しい住所を報告する必要がありました。正しい住所が公になったことで、ジョブエージェントや会社から問題の解決を図るための連絡が頻繁にあり、私と共住していた従業員たちの間で大きな混乱と緊張が生じました。

結局、この問題を解決するために、友人の協力を得て問題の住居から荷物を移動させる手配をしました。ジョブエージェントからは、「すぐにその家を退去できれば、チキンファームでの職を失うことなく済む」と通知されましたが、私はすでにブドウ収穫の仕事に切り替えており、ブドウファームで仕事を続ける決断をしました。しかし、この住居からの退去により、前払いしていた住宅デポジットは戻ってこないという追加の損失を被ることになりました。

ここでも新たな問題の発生です。ブドウファームでの仕事が一筋縄ではいかなかったのは、その管理の悪さにもありました。特に、給与システムです。ファームでは時給制とされていましたが、実際の支払いはピースワーク、つまり収穫したブドウの量に基づく出来高払いで行われていました。私が1日に10時間労働したにもかかわらず、給与明細には週20時間しか働いていないと記載されることがありました。たとえば、1週間で約500ドル分のブドウを収穫したとしても、その金額を時給28ドルで割ると、まるで週に20時間しか働いていないかのように計算されるのです。ビザの申請には稼いだ金額ではなく、働いた時間数が必要となります。これにより、フルタイムで働いていることを証明するのが難しくなり、ビザの延長に必要な書類提出にも影響を及ぼす可能性がありました。

加えて、ファームの管理構造は非常に複雑で、直接的なコミュニケーションが難しい状況でした。ファームには複数のチームがあり、それぞれのチームリーダーがいるものの、チームリーダーからスーパーバイザー、さらに上の管理レベルへと順に情報が伝えられていました。しかしその度に情報が歪められ、適切な対応が取られないことがしばしばありました。例えば、私がフルタイムで働いていることを証明するための署名を求めた際には、そのプロセス自体がたらい回しにされ、誰もが署名をすることを渋りました。彼らがこのような対応を取る背景には、不正や不透明な運営が明らかになるという心配があったのだと思います。そしてそれが私たち労働者の不信感を増大させる一因となっていました。

さらに、ファームの労働者は主に中国、台湾、マレーシアからの高齢者で構成されており、彼らはほとんど英語を話すことができませんでした。コミュニケーションの壁は、日常業務だけでなく、労働条件の確認や問題が発生した際の解決を困難にしました。これにより、仕事の現場ではしばしばフラストレーションが溜まり、労働環境はより一層厳しいものとなっていました。

様々な苦労を乗り越えなんとかファームでの仕事を終えたのですが、ビザ申請の際にもさまざまなトラブルが付きまといました。

特にブドウファームの会社情報が不完全で困難を極めました。申請には会社のTax Financial Number(TFN)だけでなく、「trading name」も必要でした。チキンファームでは会社やエージェントの詳細がしっかりと提供されていたのに対し、ブドウファームからはTFNの情報しか得られず、さらにチームリーダーに尋ねても「何それ?」という反応で、全く役に立ちませんでした。インターネットで検索してもTFN以外の情報は見つからず、最終的には一般的な会社名を「trading name」として入力し、そのまま申請しました。

幸いにも、その情報で足りていたようで、追加の情報要求なしに2週間後にはビザが下りました。本当に一安心した瞬間でした。

この経験から学んだ教訓は多いですが、特に「時間に余裕を持って準備をすること」の重要性を声を大にして伝えたいです。私の場合、多くのトラブルがありましたが、結局は運が良かったとも言えます。準備が整っていれば、多くの問題を回避できたかもしれません。また、他の友人からは、ファームに着いたものの仕事を与えてもらうまでの待ち時間に苦しむ例も耳にしました。これからファームで働こうと考えている方々には、大手の信頼できる会社を選び、経験者にアドバイスを求めることをお勧めします。経験者は良いファーム先を知っていることが多いので、その情報は金にも代えがたい価値があります。

また、給与システムについてもしっかりと確認することが大切です。不明瞭な点があれば、日本人コミュニティや地元のジョブエージェンシーに相談することで、より良い環境で働ける可能性が高まります。特に給料システムが不透明な場合は躊躇わずに質問してください!日本人として給料について質問するのがタブーなのはわかりますが、ここでは関係ありません!

入念に準備し、気持ちよく働ける環境を作りましょう!

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