建築豆知識『塗装工事』
施工管理
工事中の施工環境は塗装の耐久性に大きく関係するので、施工管理は非常に重要となりますね。
危険性が高い有機溶剤を取り扱う時は有機溶剤作業主任者が、作業員にマスクや手袋を装着させるなどして安全性の確認が重要になります。
又、塗装工事中は火気厳禁です。
下地処理
下地処理は、塗装対象となる素地面の汚れ及び付着物を取り去り、素地に対する塗料の付着性を確保するとともに、素地面を塗装に適した状態に調整するために塗料に先立って実施する作業で、塗装工事の良否を左右する非常に重要は工程です。
下地処理が不適切であれば、仕上がりが良好でないばかりか、早い時期に塗膜剥離や素地の劣化を招くことになります。
シーラーの役割は
・塗装面と上塗材との密着性を高める
・塗装した際の塗料の吸い込みを抑える
・塗装面の下地を補強する
シーラーの種類には、水生タイプ・油性タイプ・ヤニ止めシーラー・カチオンシーラー・コンクリート強化シーラー等があり、上塗塗装や機能により使い訳をします。
ちなみにシーラーと似たような言葉でプライマーがありますが、プライマーは「最初に使用する塗料」という意味の下塗り材の総称で、主に金属系の下地に対して多く用いられているようですね。
シーラーの種類
シーラー:下地への密着性の向上、吸い込みを均一にするための下塗り材。
浸透形シーラー:下地の中に浸透するシーラー。
フィーラー:下地のす穴や細かいひび割れを埋めて、平滑にする下塗り材。
微弾性フィーラー:普通のフィーラーに弾性機能を持たせた下塗り材。
塗料の分類
水性塗料
水分が蒸発するだけなので臭いがほとんど発生しない。
油性塗料に比べ乾燥しにくく、気温が低い時期や湿気の多い時期は塗装に適していない。
油性塗料
耐久性が高く、仕上がりが美しい。
乾燥が早く、密着性が高い。
臭いがきつく、健康や環境に配慮する必要がある。
引火性が高いので、保管場所や管理の仕方に注意する必要がある。
塗料の種類
合成樹脂調合ペイント(SOP)
合成樹脂調合ペイント(SOP)は塗装しやすく比較的価格が安いですが、耐用年数が2~5年と短く、乾燥し難く、アルカリ性に弱い性質を持っています。
クリヤラッカー塗り(CL)
クリヤラッカーは屋内の木部の木目を生かした自然な仕上りとなる塗料で、作業性が良く、乾燥も早く、価格も比較的安いです。
アクリル樹脂系非水分散形塗料塗り(NAD)
NADはNon Aqueous Dispersionの略で、非水ですから、塗料用シンナーを溶剤とした塗料で、樹脂をエマルション化(粒子化)し、分散させた水性エマルション塗料の溶剤版みたいな塗料ですね。
NAD型塗料はさまざまな部位に使われていて塗料業界ではかなりメジャーな存在なのです。
耐候性塗料塗り(DP)
耐候性塗料(DP)とは、2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)、アクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)、常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)のJIS規格が統合されたものです。
耐用年数の目安は、3級の2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)では7、8年程度、2級のアクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)10~12年程度、1級の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)15年程度になります。
つや有合成樹脂エマルションペイント塗り(EP-G)
つや有とは、通常はつやの無い合成樹脂エマルションペイントに光沢(つや)を出すことにより耐水性や耐候性を向上させていますね。
エマルション塗料とは、油性のものと水性のものを乳化させた塗料で、水性塗料のように塗りやすく、油性の塗料のように落ちにくい塗料になります。
つや有り合成樹脂エマルションペイントは水がベースですが、溶剤をベースにしたものがアクリル樹脂系非水分散形塗料塗り(NAD)です。
合成樹脂エマルションペイント塗り(EP)
合成樹脂エマルションペイント(EP)は、水で希釈できる水溶性塗料で、作業性はよいのですが、耐候性が低いため屋内で利用されることが多い塗料です。
JIS K 5663 1種は「主として屋外用」となっていますが、耐久性からあまりお勧めできませんね。又、鉄部には適していません。
合成樹脂エマルション模様塗料塗り(EP-T)
代表的な製品ではレナコート(エスケー化研)やラフトン(スズカファイン)がありますね。
ウレタン樹脂ワニス塗り(UC)
ワニスとは木材などの表面を保護するために用いられる上塗り用の透明塗料のことで、ポリウレタン樹脂を配合したワニスをウレタン樹脂ワニス(US)と言います。
ウレタン樹脂ワニスは塗膜が硬く、耐水性、耐摩耗性に優れています。
オイルステイン塗り(OS)
ステイン塗料とは、ペンキ等とは異なり、木部に浸透させて着色する塗料で、目を生かした仕上がりとなります。
水性もありますが、油性のものがオイルステインです。
木の表面に樹脂膜が張られてつるつるした仕上がりなのがニスで、木の表面に膜ができないのがステインとゆうことですね。
木材保護塗料塗り(WP)
有機溶剤を用いる油性の塗料は、油分の多い木材ともなじみが良く、その内部に浸透し、表層近くに保護層をつくります。木材にこのように作用する塗料は、浸透型と呼ばれます。
一方、溶剤に水を用いる水性の塗料の多くは、木材の表面に塗膜をつくります。油分の多い木材には、浸透しにくいためです。こうしたタイプは浸透型に対して、造膜型と呼ばれます。