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建築豆知識『防音・遮音・吸音』
音の伝わり方
音の伝わり方には、2種類あり、空気の振動で伝わる『空気伝搬音』と物体への衝撃による振動で伝わる『個体伝搬音』ます。
防音・遮音・吸音
防音
防音とは、読んで字の如く音を防ぐ概念的な総称で、具体的な手法ではありません。
防音の為の具体的な手法は、遮音・吸音・防振・制振がありますね。
遮音
遮音とは、空気伝搬音を跳ね返すことで音を遮断する手法で、面密度や質量のある物ほど性能が高くなります。
吸音
吸音とは、空気伝搬音を吸収することで音の反射を防ぎ、音が室外に透過することを防ぐ手法です。
グラスウールやウレタンスポンジを使用することが多いですね。
床の遮音
建物の室内で物を落としたり、人が動くことで床が直接振動することによって下階に伝わる音のことを床衝撃音と言います。
床衝撃音は音の特性から、軽量床衝撃音(LL)と重量床衝撃音(LH)に区別されています。
軽量床衝撃音(LL)
比較的軽い物を床に落とした時等のコツンという高音域の音のことで、カーペット等の柔らかい床材ほど性能は高くなります。
遮音等級は数値が小さいほど遮音性能が高く、一般のマンションではLL-45を使用していることが多いと思います。
重量床衝撃音(LH)
重たい物を床に落とした時のドスンという低音域の音のことで、床の剛性が高いほど性能は高くなりますので、コンクリートスラブが厚いほど、面積が小さいほど有利になります。
一般のマンションでは。LH-50を使用していることが多いと思います。
際根太を木製で固定すると、遮音性能がさがりますので注意が必要です。
壁の遮音
吉野石膏に代表される乾式遮音間仕切壁は、共同住宅の界壁などに多く使用されていますね。
遮音性能は透過損失(TL)で示され、数値が大きいほど性能が高く、2室間の遮音性能はD値という遮音等級で要求され、壁の遮音性能はTLD値で示されています。
D値は実際の建築物の2室間の遮音性能(空気音遮断性能)を表し、TLD値は、音響試験室で測定された遮音壁単体の遮音性能(音響透過損失)を表します。
D値=TLD値-音の回り込みその他低減値の合計となりますね。
ですので、D50を要求された場合は、TLD55程度(参考)の製品を用いる必要があります。
開口部の遮音性能
サッシの遮音性能はT値で示され、T-1~T-4までの4段階に分類され、数値が大きいほど遮音性能が優れています。
500Hzでの透過損失は次のとおりになりますね。
T -1 : 25db
T -2 : 30db
T -3 : 35db
T -4 : 40db
サッシの遮音性能はガラスとの組合せによりますので、カタログで確認する必要があります。
排水管の遮音
寝室周りなどの排水管からの排水音は気になることが多いので遮音処理を施す必要があります。
方法としては、
PSの壁を遮音壁にする
遮音性能が高い排水管を使用する
遮音シートを巻く
など、又は複合で定まった基準はないんですね。
音は目に見えないので、コントロールし難いですが、不具合は騒音計等で明確になりますので、事前の検討が必要となります。