ムダにハレの日
うちのバルコニーから見える裏のコンドミニアム。そこに反射する太陽のひかりがムダに鮮明で、すこしつらい。気持ちが落ち込んでいる時は、曇りか雨であってほしいと思う。
オレゴンにいた頃は、春から夏にかけての良い季節以外は、雨がいつも降っていた。最初の数年は暗い雨の日がしんどくもあり、そのころ読んだ心理学の雑誌で『オレンジ色のサングラスをすると、落ち込みがちな気持ちがあがる』と書いてあったのをキャンパスでクラスメートと話していたのを思い出す。でも、さすがに6年半もいるとしとしと降り続ける雨も懐かしくなった。
ハワイに引っ越した当初は、オレゴン大学のキャンパスの芝生がすべて緑であったことを懐かしく思った。ハワイ大学の芝生が夏の間、茶色に見えた。それでも、ひとはいろんなことに慣れていく生き物。いろんなことが当たり前になっていく。
『あたりまえってなんだろう?』
その生きている時期に変わるのであれば、あたりまえとはいわないのだろうか? ひとの気持ちは変わる。わたしの気持も変わる。
明日になったら、今日抱いていたこの気持ちも、安らいでくれるだろう。
シアトルではうつ病が多いと、オレゴンにいるときに聞いていた。オレゴンにいた時に、ふと思い立ってひとりでグレイハウンドの夜行に乗ってシアトルを訪れた。私のシアトルは、雨のシアトルではなく、夏の晴れたシアトルだった。コーヒーショップがあらゆるところにあって、早朝着いた時には、バス停から一番近かったところで、あたりの店が開くまでコーヒーをすすった。
街をひとりでぶらぶら散策していると、友達から電話。
『今、どこにいるの?』
多分ディナーのお誘いだったのだろう。
Me:『シアトル』
『友達と出かけてるの?』
Me: 『ううん、ひとりで。
いきなり決めたから。』
さて、私は明日何を思い、何を感じるのだろう?
まったくもってわからない。
『こんなことって、あなたにもありますか?』