お手紙のススメ。

私はわりとアナログ派である。ついったー廃人だから、ぽいぽいとたくさん投稿してはいるけれども、長文を書くときにはいったん手書きで要点をまとめないと、とっちらかった文章しか書けなかったり、まとまりがなかったり、オチが明後日の方向へ飛び去ってしまう。
予定やタスクの管理も、できればアナログでやりたい。とはいえ、常に携帯しているスマホでも確認できるのが結果的には一番手軽だったりするのだけれども。

それでもやっぱり、私は手書きが好きだ。


昨日の夕方、FMラジオで『SUNDAY’S POST』って番組を聞いていた。この番組は郵便局がスポンサーで、手紙はいいぞ、みんな手紙を送ろう、ってなコンセプトの番組だったりする。去年の終わりあたりなんかは代官山蔦屋書店とコラボして、手紙を書いて送ってみたくなるグッズや企画を展開したりなんかした。昨日はこの番組を聞きながら、やっぱ手紙はいいな、手紙を書きたいななどとぼんやり考えたりしていた。

手によって書かれた文字には、その人の気持ちが宿ると思う。急いで書いた時の線の勢いと慌て具合い。伝えたいことをゆっくりと考えながらしたためられた文字の力強さ。どきどきしながら書いたであろう、丁寧に綴られた文字の線の一本一本への思い。そういうものが全部、書かれた文章だけでなく、文字や、それを書くために選ばれた便箋や、それらをまとめて包み込む封筒、全てにその思いが少しずつ宿ってると思う。

そんな感じで、筆記具を選んで、紙を選んで、文字をしたためて、封をする、などと、ひとつひとつの手順を追っていると、まるで魔術だとかおまじないみたいだったりして。そこに、選んだ封緘シールとか。シーリングワックスを使った封緘とか。閉じ込めた思いをあなただけに届けたいです、って意味にも思えるんですよね。それって、ちょっぴり魔術的じゃないですか。

声にしろ、文字にしろ、こうした画面に並ぶフォントにしろ、人に気持ちを伝えるというのは、それだけでもちょっとした魔法を含んでるように思う。
「大好き」
「がんばれ」
「応援してるよ」
「お誕生日おめでとう」
「元気でね。また会おうね」
ちょっとした願いはすべて、思いの欠片。想いを含んだ言葉は、もう魔法を帯びてると言って過言ではないはず。……と、私は思っている。

おそらく、私が一番大量に手紙を書いた時期は、2019年から2020年頭にかけてだったと思う。
また、アイドルマスター シンデレラガールズの話になっちゃうんですけれども。2019年秋から、2020年2月にかけて、8thライブツアーが開催されてたんですよね。シンデレラのライブでは、必ず会場に出演キャストさんあてのプレゼントボックスが用意されているので、お手紙やプレゼントを投げ込むことができるんですけれども。現地参戦していた私は、一日目のライブ終了後、宿に帰還してから勢いのまま、一日目の感想を書き、二日目の現地でプレゼントボックスにお手紙だけを入れるというようなことをしていたので。大阪公演の二日目は確か十人以上書いてたと思うので(それでも、出演者が33人とかだったと思うので、全員にお手紙を書くというようなことはできなかった。時間足りなかった。力不足と体力不足(´・ω・`) )でも、めちゃくちゃたくさん手書きで手紙を書いた時期、というのは間違いない。

特に、2020年2月の大阪公演は、コロナ禍がじんわりと近づいてきていて、ライブ自体の開催が危ぶまれていた。出演者もスタッフも、現地参加者も、ここで感染者を出さないぞ、って意気込みだったと思う。
そんな大変な状況の中で、ライブが開催されたことが嬉しくて。たくさんお手紙を書いた。一日目のライブを見て興奮して、そのままの勢いで書いたから、字は荒れてたかもしれない。めちゃくちゃ丁寧できれいな文字で書けたとは思ってはいない。そこだけは本当に申し訳ない。でも、どうしても伝えたいって気持ちが先行してしまったので。一人でもたくさん、一言でも、ちょっとずつでも言葉を伝えたくて、手紙を書いて、二日目の現地でプレゼントボックスに手紙を投げ込んだ。
手書きじゃない手紙も、この時期にはたくさん書いた。関連の番組へメール、個人の番組へのメール。個人へ直接メールを送れるってシステム(チョクメ!)に登録されてる方へのメールの送信。いろんな形で、色んな人に、その時の気持ちを伝えたくて手紙やメールを書きまくった。

でもやっぱ、ライブ直後に、熱にあてられてふわっふわした気持ちのまま書きなぐったお手紙って、そのときにしか書けないな、という気がする。情熱にはたぶん賞味期限がある。ぱーっと燃え上がる情熱は、鮮度が命。ずーっと熾火みたいに、じりじりと温かく燃え続ける火もあるけれども。火の種類が違うんだよなぁ。それを捕まえるのは、実はそんなに難しくはないのだけれども。それを文章にするとか。手紙に書いて、誰かに送るとかってのは、ちょっと難しいかもしれない。瞬間的な衝動を文字に起こすことはできても、相手に伝えるための文章にしようとすると、こんな独りよがりな情熱をぶつけていいのかなって躊躇しちゃったりするかもしれない。悩み始めるとどんどん情熱の勢いが削がれてしまう。


それに、相手は舞台に立ったり、芝居とかパフォーマンスでお仕事をしている著名人だから。パフォーマンスを披露する側、それを受け取る側って、なんとなく溝みたいなのがあるような気がしてしまう。

でも、ここで私は、あえて、手紙を書くことをお勧めしたい。
パフォーマンスが一方通行で終わらないように。受け取ったってことを相手に返したほうがいいと私は思う。

先日の、小市眞琴さん(ステイラック所属の女性声優であり、2.5次元舞台女優でもある)がキャスでも話してたんだけれども。
ツイッターのレスもだけど、作品などの感想の言葉をもらえるのは嬉しい。手紙なんかもとても嬉しい。ライブなどのプレゼントボックスにお手紙やプレゼントを入れてくださるのはもちろんありがたいけれども、わざわざ事務所あてに手紙をくださるとか、めちゃめちゃハードル高いのにありがたいなぁって思う。今までもらった手紙なんかは全部おいてある、という話をしておられた。
個別に返事をされるということはなくても、こちらが送った言葉が届いていること、それがお仕事などの活力になってたら、ちょっと嬉しいなって思ったりしたんですけれども。

お仕事もたくさんされていて、時間を捻出するのも大変なのではないかと思ってしまうのだけれど、声優さんの中にはお手紙に返事をくださる方がおられる。
ここ何年か連続で、年賀状をくださってる声優さんがおられる。ここで名前を明かしてしまうと、お返事をもらうために手紙を書こうと煽るみたいなことになりそうなので、あえて相手の名前は伏せさせてもらうことにする。
この方からの年賀状には、毎回必ず手書きのメッセージが書き添えられている。でもその言葉はテンプレみたいなものじゃなくて、私が送った手紙や、プレゼントに添えたメッセージなどを読み返していないと出てこない言葉だったりする。こればっかりは証拠みたいなものが出せないんだけど。手紙を書いて送った本人が返事をもらってそう感じたんだからそうなんだ、としか言えない。

言葉って、こちらが思ってるよりも、ちゃんとしっかりと相手に届いてるんだよ。ホントだよ。

勢いで書いたライブの感想を書いてプレゼントボックスに投げ込んだ、次のお正月。年賀状にこんな言葉が書いてあった。

『いただいた言葉は私の宝物です』

推しにそんなふうに思ってもらえているのだとしたら、私は幸せものだ。
あなたがステージに立って、まっすぐに前を見据えて、私達にエールをくれたから。私が幸せになれたから、会えて嬉しかったって伝えたかっただけなのに。

私の友人にはクリエイターに属する仕事をやってる人が何人かいる。その中のひとりで、作品を世に送り出す仕事をしているその人に、会った時の雑談の延長で『推しが好き好き大好き』の話を聞いてもらったことがある。その時、「手紙、書きな。いいと思うよ。自分の仕事は届いてるんだ、受け取ってもらえてるんだって知れるのはすごく嬉しいことだってのはわかる。それが言葉になって返ってくることって本当に少ないから、もらえるとすごく嬉しい。もらった言葉は心の支えになるし、宝物だっていう気持ち、わかる」
そんなふうな話をしたことがある。細部のニュアンスは違うかもだけど、おおよそそんな内容だったと思う。雑談のつもりだったんだけど、そういえばこの人ファンレターもらう側の人だったわ、なんて、言われてから気づいたんだよな。あまりにも友人すぎて忘れてたけど。忘れんなやw

贈りたいと思った言葉は、相手に届く。投げれば届く。
受け取るかどうかは、相手次第ではあるけれども。
幸せとか喜びとかの成分を多く含んだ言葉は、相手に届きやすいと思うし、受け取ってもらえやすいと思う。
逆に、傷つけようとか、泥を塗るような言葉は届かなくていいと思うし、そんなもの送ることがすでに悪意だし。受け取る必要ないから受取拒否して捨てちゃっていい。むしろ捨ててくれ。
そのへんは、ウェブのコメントとかより、アナログの手紙のほうが収捨選択しやすい気がする。
手紙は相手に直接、他の人に見られずに届くから良い。(もしかしたら、本人が読む前に事務所チェックがあったりするのかもだけれども、危険物が交じってたら怖いから。そればっかりは致し方ないことだと思う)

今はコロナ禍でライブもなくなってしまって。現地に行ける機会もなくて。先日、緊急事態宣言が施行される直前に開催された(シンデレラガールズではないけれども)アイマスシリーズのライブでは、プレゼントボックスが廃止されていて。お手紙やメッセージカードを渡すってことが、今まで以上に難しくなってしまった。

SNSで「よかった!」ってつぶやくのももちろん大事だけれども。SNSの投稿やレスはあっという間に流れ去って埋もれてしまうので。ぜひとも、良かったって言葉を相手に伝えてほしい。コロナ禍という、人と人の距離が離れている今こそ、言葉を相手に伝えるってことは大きな意味を持つんじゃないかと思う。

「お誕生日おめでとう」の一言だっていいと思う。
カードを選んで、一言書き添えるだけでも、十分だと思う。それが本当の気持ちならば、なんらためらうことはない。相手に伝えてほしいと思う。
ツイッターのレスなら埋もれるかもだけど、その方が関わっておられる番組宛てのメールならばご迷惑にはならないだろうし。たとえ読まれなくても、メールはたくさんあったほうが番組的に助かる、ってな話を以前、青木瑠璃子さんがしてたからな。メールはためらわずに書いて送るがいいと思う。メールの書き方指南は、るりこのこれを見るといいと思う。これはめっちゃ勉強になった。
あと、声優さんだったらたいてい、事務所あてにファンレターが送れる。お花とか生鮮とか、賞味期限があるプレゼントや、持って帰るのが大変なでかいものはやめたほうがいいとは思うけれども。(事務所に取りに行って、持って帰るという手間については、送る側が考えたほうがいいと思う)

舞台とかは、目の前に客がいて、反応が見えるから良いんだけど。オンライン配信のみとかになると、反応が見えないもんね。カメラの向こうに視聴者がいると信じてくれてるとは思うけど、虚空に向かって喋ってるような気持ちになってしまうかもしれない。そこを、ちゃんと受け取ったよ、って返せたらなと思うし、できたらなんかの形で返してあげてほしいって思う。

私の方こそ、たくさんのキラキラした宝物のような素敵な気持ちをもらえました。この幸せだなって気持ちへの感謝を、どうやったら伝えられるだろうって思ったりします。
でも、伝えようとしないと、伝わらないから。

会えないあの人に、手紙を書こうと思う。
元気でいてください。応援しています。また、会いたいです、って。

手紙を書くのは心理的ハードル高いわーって人は、バースデーカードがお勧め。ひとこと書き添えれば、十分お手紙になるし。プレゼントがなくても全然おっけー。幸せな贈り物、お手紙になると思います。
あとは年賀状とか。最近流行りじゃないけど、暑中見舞いとかの、季節の挨拶はがきね。すごく素敵な場所に行ってきたなら、写真をポストカードに仕立てて、一言「応援してます」みたいなことを書けば十分じゃないかなとかとか! 自分の得意な技を使えば、いくらでも素敵な手紙が作れると思うの。文字は読みやすいように丁寧に書くことを心がけたら、あとは込める気持ちだけ。

オチを考えずに流れで書いてるから『ファンレターを書こう』みたいな話にになっちゃってるけど。手紙を書いて送る相手は誰でもいい。ふと「会いたいな」って思ったその人に宛てて書けばいいと思う。会いたい、喋りたいって人へ言葉や気持ちを、カタチにして、その人の手元へ送るのが『手紙』ってものだと思うので。

うん。そうだな。毎日のようにツイッターで会話してる気はするけど、友達やふぉろわーさんにも手紙書くかな。まずは、便箋と封筒を探しに行きたいな。


ナイショの追記。
今年は、声優さんからいただいた年賀状、去年よりすごく多かったよ。今年初めて年賀状送ります、って方が何人か。コロナ禍でお家時間が増えてる影響なのかしら、と思ったりとか。

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