原発性骨髄線維症に対するルクソリチニブ療法後の二次原発がん

Second primary malignancy in myelofibrosis patients treatedwith ruxolitinib

(Br J Haematol.2020 Nov 21.Online ahead of print. )

BJHに掲載されたイタリアのグループからの報告です。

後方視的な解析ではMPNでSPMが多いとは言われていました。HUの使用ではSPMが増えるという報告もありますが、関係ないという報告もあり評価が定まっていない状況です。RuxolitinibとSPMの関連は徐々に言われるようになってきています。どのような集団で特に気を付ける必要があるのでしょうか。

背景:

JAK1/JAK2阻害薬であるRuxolitinib(RUX)は、近年、リンパ腫や非メラノマ皮膚癌(NMSC)などの二次原発性がん(SPM)の発生と関連があることが明らかになってきた。

目的:

MFでRUX治療を受けた方における、SPMの発生頻度、タイプ、リスク因子を明らかにする。

方法:

2011年6月から2020年1月までに20のヨーロッパ施設に登録されたRUX治療を受けたPMF中等症患者を後方視的に解析。MFから進展するMDSとALは解析から除外された。

結果:

解析症例は700。RUX投与開始からの追跡期間中央値は2.9年。全体では80例(11.4%)の患者がRUX開始後に87のSPMを発症した。

SPMはNMSCが最も多かった(50.6%)。リンパ増殖性疾患はみられなかった。

多変量解析の結果、男性(HR:2.37、95%CI:1.22-4.60、P=0.01)、RUX開始時の血小板数>40万/μl(HR:1.98、95%CI:1.10-4.60、P=0.02)がSPMのリスク上昇と関連していた。

NMSCの危険因子は、男性(HR:3.14、95%CI:1.24-7.92、P=0.02)、HUおよびRUXの継続期間>5年(HR:3.20、95%CI:1.17-8.75、P=0.02、HR:2.93、95%CI:1.39-6.17、P=0.005)であった。

結論:

すべての患者、特に長期にHUを使用しているものでは積極的に皮膚を観察する。特に男性では、血小板数が40万以上、動脈血栓症がみられた際には腫瘍スクリーニングを行う。

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一言:

Ruxoは骨髄線維症の治療において重要な薬剤ですが、withdrawalの問題や移植前後にどうするか、長期的にはSPMの問題があったりとなかなか考えることの多い薬剤と思います。

TKIは一般的にSPMとは関係がないとされるのに対し、JAK阻害薬が関連がありそう(特にNSMC)というのは面白い現象と感じました。

また、Blood2018の報告ではMFのRUX治療群でaggressive lymphomaのリスクが16倍高くなるとされましたが、今回の試験では1例も見られませんでした。


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