ヒト臍帯血では、CD34の発現は免疫表現型の幹細胞や前駆細胞とは相関しない
CD34 expression does not correlate with immunophenotypic stem cell or
progenitor content in human cord blood products
(Blood Adv. 2020 Nov 10;4(21):5357-5361. )
スタンフォードの小児科グループからの報告です。
多くの方は臍帯血移植を行う際に、臍帯血は抗原型と有核細胞数で決めているかと思います。同等の条件の臍帯血があれば、次にCD34割合やCFUをみる、という感じでしょうか。今回の論文ではその臍帯血におけるCD34とimmunophenotypic stem cellとは相関しない、というタイトルになっています。
背景:
HSC (hematopoietic stem cell)やHSPC (hematopoietic progenitor cell)の分化能や免疫表現型はよく調べられているものの、各個人間の多様性についてはあまり知られていない。そこでヒト臍帯血を用いて調べた。
方法:
50人分の臍帯血を使用。臍帯血をCD34のビーズでpositive selection。CD34陽性細胞を100,000個, 最低でも30000の生きた細胞をフローサイトメトリーで解析。
結果:
上記のような分布であった。HSC、MPPの個人間のばらつきが大きく、それぞれ、CD34陽性細胞割合との相関はなかった。CLPの割合は非常に小さかった。
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一言:
この研究では、CD34陽性細胞の割合からHSCやHSPCの割合を推定するには不向きであることが示されました。
臍帯血移植は生着不全が他の移植に比べて多いのが特徴ですが、移植前処置やGVHD予防などの工夫に加えて、臍帯血側の要因が明らかになってくればさらに成績が向上すると思います。
著者らはCMPやCLPの割合を測定することで好中球生着や免疫再構築の個人差に説明がつく可能性を指摘しています。