
擬人化される宇宙探査機の話
宇宙に全く興味がない人でも、この名前は聞いた事があるのではないだろうか。
『はやぶさ』
2003年に打ち上げられ、小惑星イトカワの地表サンプルを採取し、2010年 地球に帰ってきた…あの小惑星探査機『はやぶさ』だ。
地球以外の天体から地表のサンプルを持ち帰ることをサンプルリターンという。『はやぶさ』のこの偉業は世界初の快挙だ。
しかし『はやぶさ』がこれほど有名になったのは、この偉業のせいだけではないだろう。
50億kmにも及ぶ旅の最中『はやぶさ』は幾多のトラブルに見舞われながらもそれを乗り越え、満身創痍で地球にサンプルを届けた。
初めに『はやぶさ』は2010年 地球に帰ってきた…と書いたが、正確にいうと帰ってきてはいない。帰ってきたのは小惑星のサンプルが入ったカプセルだけ。『はやぶさ』本体は地球の大気圏に再突入した際に燃え尽きている。
地球に再び戻れないとわかっていながら、多くの困難を乗り越え、目的を達成した…このストーリーこそが宇宙好きのみならず、多くの人たちの共感を得た理由だろう。

最後の力を振り絞って撮影した故郷…地球の写真(JAXA)
当時『はやぶさ』は書籍やアニメ等、様々なメディアで擬人化された。
現在、宇宙探査機はしばしば擬人化されるが、思い返してみると『はやぶさ』以前、探査機を擬人化するという文化はなかったように思う。『はやぶさ』はまさに探査機擬人化の先駆けだろう。
ベンチャーや大手民間企業が自作のロケットで宇宙を目指す…宇宙大航海時代は始まったばかりだ。
私たちがアルミとチタンとプラスチックのかたまりに感情や命を感じることができるのであれば、探査機の擬人化は多くの人にとって宇宙に関心を持つきっかけになってくれるはずだ。
最後に私のイチオシの探査機を紹介。
2018年に打ち上げられ、現在JAXAが運用中の水星探査機『みお(MIO)』
この擬人化がとても秀逸で、打ち上げ1時間前のSNSの投稿には思わず涙が出そうになる。
下にリンクを貼っておくので、時間がある方はぜひ見てもらいたい。
その他の みお(MIO)さんの投稿…




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