コタツ靴下超えのユニクロ
今年の冬も終わろうとしている。
全然誰も興味ないかもしれないが、今年の冬のベストバイを発表したいと思う。
もうタイトルでネタバレになっているが、ユニクロの靴下である。
【パイルハーフソックス 390円】
雰囲気あったかそうだなーと見えるかもしれないが、これが結構生地がゴツくて、温かい。
セーターのようなもふもふ感もあり、靴を履く時に多少手こずるくらいである。
もふもふ力を向上させると、基本的に耐久性が弱まる。ドンキのコタツ靴下も十分あたたかいのだが、ウォーカーの私が外に履いて出ていると、結構すぐに破けてしまったりする。
だが、このユニクロのパイルハーフソックスは、結構な耐久性があり丈夫である。その分、柔軟性みたいなものが弱まっているので、履くときにすんなりいかないが、そんなこと私にとってはどうでもいい。
この靴下のおかげで、かなり冬場を暖かく過ごせた。自分が知らないだけかもしれないが、あんまり世間で話題にもなってなさそうだったので、とりあえず紹介してみた。
靴下というとまとめ買いのイメージがあるので、390円で一足となると、そんな特別高くもないが、最安で買いたすぎる人にとっては、もう1足くらい買えててもいいかなという感じでもある。
ただ、破れるとゴミ箱行きにならざるを得ない靴下にとって、耐久性が十分であることは非常に重要である。
そして3足まとめ買いすると、990円で買えるようなので、3足あれば乱暴に履いても半年は持つと思う。
前にドンキかどっかで買った暖かめの靴下は確かに温かかったが、革靴で通勤したら一発で破れたりして、それでいろんな会社を訪問したりすると、知らぬ間にかかとの部分が破けてたりして、靴を脱いで初めて気づくという状況が何回かあった。
このユニクロの靴下を履いて、ガッツリ革靴で歩き回ったわけではないので、そこらへんの細かい状況はわからないが、感覚的になんとか耐えられそうな感じはある。
ドンキは5足くらいで700円とか800円とかなので、もちろん1足390円の靴下が一発で破けてもらっては困るのだが、写真を見て分かる通り、かかとの部分など厳重に生地が充てられている。
そしてシンプルに温かい。これはもう履いたらわかる。私は冷え性じゃないと自分では思っているが、さすがにずっと家で座って仕事をしていると、血液が足にずっと溜まっているので、多分例年より血流が悪く自分の足は冷え込んでいる。
そんな中で、たまたまこの靴下をユニクロのオンラインショップで見て、配送料の帳尻合わせに買ってみたら、本当のヒートテックはこっちじゃねぇか。というレベルだった。
いろいろな靴下を試している人間ではないので、靴下に詳しい人からしたら別によくあるけど、という感じなのかもしれないが、とにかく自分はこれを買ってよかった。
最近、ずっと家にいるので特に買い物することもないし、何かの準備とか必要に迫られることもない。金を使う機会がかなり減ってきている。
日本人の給料はずっと上がっていないと言われる。それは事実かもしれないが、そんなにお金を払わなくても、それなりの物が買えるという理由は絶対にある。
ダイソーが100円で売っているような商品は、日本以外の途上国だと似たものを100円以下で買えたとしても、すぐに壊れたり細かい作りが甘かったりする。逆に先進国だと100円ではほぼ買えない。
この微妙なバランスが日本の良さではある。それに甘んじて、経済がうまく発展していないとも言える。
奇妙な構造だが、安くいい品を提供することによって、自分たちの仕事やライフスタイルを破壊してきたような側面もある。
多分だが、結婚できないしする気もない低所得者にとっては、今の日本は最低賃金が上がってデフレなので、それなりに住みやすくなっているかもしれない。
問題は中途半端なラインというか、ユニクロなんかで服を買わずにオシャレしたい、結婚して子供も欲しいし、シャンプーもインテリアもニトリじゃないものを買いたいみたいな、中間層だけどバブル時代を目指しているような人は、結構苦労すると思う。
もちろんそういう人がいるから経済は回るんだろうが、そういうものを手に入れられる人は限られているかもしれない。
変なクレーマーがいるから技術が進化した側面もあるし、それがなぜか価格に上乗せされない文化が形成された節もある。ユニクロのように海外に工場を建てて、大量生産するようなビジネスモデルは一般的だが、やはりここまで成功させるのは難しいと思う。
アメリカや欧米であれば、おそらく日本で働くより多くの給料がもらえると思う。ただ、同じ給料でどれだけの物が買えて、どれくらいの品質のものかは細かくは比べられない。
私は東京より地方が好きだが、地方は圧倒的に家賃が安くても、県庁所在地にスーパーやコンビニが無いなんてこともないし、コンビニで売っているものの値段も変わらない。
家賃が倍違えば、給料が倍違うのかというと、そういうもんでもないし、よくテレビで出るように、東南アジアのプール付きコンドに月4万とかで住めるライフスタイルもある。
壁と屋根があればいい自分にとって、必要以上にお金を稼ぐのは自己満以外なんでも無いし、稼いだら稼いだだけ投資に回るだけの話だと思う。
お金や価格というものが、今の社会の中で単純比較できなくなっている。それは、同じ仕事をしていても給料が違うパターンが日本国内でもあるように、海外でもある。同じ品質のものでも、流通などの都合で価格が変わることもある。
優秀な人間がたくさん給料をもらうということでもない。戦争を始める強権的な大統領が、誰よりも高い給料をその国でもらうべきだろうか。そうなると、評価や能力に与えられるものでもない。全くそう単純に比べられるものではなくなっている。
変な話、自分の給料が高く、誇らしげであったとしても、意図せずに自分より遥かに働いて優秀な人を低賃金に追いやっている可能性もある。変な人間の給料が高く、そいつに金が集まっているせいで社会の多くの人が被害を被る構造にだってなり得る。
たまたま米国でGoogleやアップルが生まれたから、多くの人にとって良い影響をもたらしたかもしれない。それがまた違う軍事産業や変な公序良俗を乱す会社であれば、治安が悪化して悪影響をもたらすこともある。
金持ちに使われる低賃金の人がいなくなる世界は、全てがAIなどで自動に生産されて、お金が完全に価値を持たなくなる世界かもしれない。そうなると、お金持ちがお金持ちとして生きる理由もなくなるのだろうか。
日本でも、物の価値について、考え方が変わってきている人が増えている印象もある。ミニマリストとか、我武者羅に働く人が移住ブームに乗るのもそういう考え方の変化かもしれない。
前までは出来るだけ安く買い叩く風習が日本にはびこっていたが、きちんと作られているものには適性料金を支払うべき的な考え方も増えてきた。それは、日本メーカーが海外の安売りに負けて、安売りでは到底勝てないと確信したからだと思う。
ネットで情報が行き交って、いろいろな立場の人の情報が手に入るようになったことや、クラウドファンディングのようなお金の使い方が出てきたことで、自分が本当に欲しい物には応援料金込みで、お金をかける文化が生まれてきた背景もあるかもしれない。
経済について興味を持つ人も増えただろうし、自分が生きている世の中がいかに不思議な仕組みで成り立っているか、もっと多くの人に考えてもらいたいというのもある。
毎日毎日同じ時間の電車に乗って、同じ行動をとっている人がいるとしたら、なんでそんな事しているのか真剣に考えてもいいかもしれない。
単純に考えているだけでは、新しいモノは生まれない。クレーマーになる必要はないが、こだわりがあったり、不具合を解消したいとか、そういう熱量が必要で、言われたことをやるだけではAIに支配される側になってしまう。
世界情勢を見ていると、改めて自分が日本に生まれてラッキーだったかというのと同時に、いかに世界と断絶しているかという両面を考えさせられる。
ユニクロの柳井さんがイオンに勤めて虚無感に襲われながらも辞めずに働いていたら、この靴下を390円で買える世界線は無くなっていた。
山口の小さな呉服店を継いで、ずっと山口の呉服店として経営していても、この靴下を私が買うことはなかった。世界トップレベルのアパレル企業として成長するまでに、いろいろな試行錯誤があっただろうし、途上国のパートのおばちゃんが必死に作ってくれたから今の自分が暖かく冬を越せる。
起業して、好きなことを仕事にして、金持ちになって、いろいろな人に豊かさをもたらすことが出来るのなら、そんな人生は楽しそうではある。