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なぜ初心者の使う「初手たすきパオジアン」は「弱い」のか
上記記事のように、公開のまま残す記事において、表現や誤字の訂正や必要と思われる追記を行うことにしました。
一度読んだ方でももしお読みいただければ嬉しく思います。
先日から複数回、ポケモンに関する記事を書かせていただいています。
以下に20本ちょっとの記事をマガジンでまとめておりますので、この記事をご覧いただいた後、ご興味がありましたらご覧いただければ嬉しく思います。
まず最初に趣旨を正しくお伝えするために確認しておきます。
この話は「初手たすきパオジアン」が「弱い」という話ではありません。
あくまで、「初心者の使う初手たすきパオジアン」が、いかに中級者以上が使う「初手たすきパオジアン」より弱いのか、つまりはいかに初心者が「初手たすきパオジアン」あるいはいってしまえば「パオジアン」の性能を引き出せていないのかという話、そしてそれがなぜかを理解することで対戦に必要な要素を説明する、というものになります。
○初心者の「初手たすきパオジアン」はなぜ弱いと思うのか
まず最初にこの点をはっきりさせましょう。
それは「処理が簡単すぎる」からです。言い換えれば、試合進行上負け筋を作らずに倒すことが簡単にできるということです。
とはいえこういうと違和感をもつ方もいるのは承知しています。なにしろパオジアンは先制技択やすばやさ、火力があり、ひるみ運ゲーがあるので、「簡単」といっても乱数こみで負けることはゼロではないですし、一切何の被害もなく突破できるかどうかは別の話ですから。
ただ、まず認識していただきたいのは、上振れ幅も確かに強さの一部であるものの、上振れ幅はあくまで上振れであり、その影響を可能な限り受けないような処理方法も用意できるし、それで処理できるということは処理が簡単だということなのです。
それを本当の意味で理解するには「処理が簡単ではないもの」を理解して頂くしかないのですが、それらをしっかり理解できていたら多分もう初心者ではない水準になっているので、そうなれるためのざっくりとしたイメージをもっていただける程度の説明をしたく思います。
○処理方法にはリスク管理がつきもの
例えばですが、コライドンミラーとして、スカーフコライドンがげきりんを撃つことで相手のコライドンを処理できるとします。ただこの場合、もし相手の後ろにハパタクカミがいたら、1ターン無償で与えるうえにテラスタルしていないとその1ターンでワンパンされることになります。
自分にとって厄介な相手のボケモンをどうやって処理するかの方法を誤ると逆に敗因になるのが対人対戦、ランクマッチです。
これをしっかり把握できていない人は、不必要な運ゲーやぶっぱプレd イを自覚に関わらず繰り返し、勝率を上げることはできません。
つまり、「処理が難しい」というのは安全な処理方法のアタリがつけにくかったり、単純に方法が少ないということ。その逆の「処理が簡単」というのは、「安全な処理方法が多かったり簡単に判別できること」ということになります。
当然ですが「処理が難しい」ものほど対人対戦では強くなり、「処理が簡単」なものほど弱いので、簡単に処理できるということは弱いということになるのです。
あるなぜ、初心者の「初手たすきパオジアン」は処理が簡単なのか
雑に言えば、「後のことをなんにも考えずに」「とりあえず置かれただけ」だからです。なお、今後は文字数を減らすためにこういうパオジアンを「無策パオジアン」と書きます。
先述のように現実として初手たすきパオジアンがなにもせずに退場することは、つららを外さない限りまずありません。しかしそれだけしか考えないのであれば、別に他のたすきポケモンと同じなだけで、たすきパオジアンであることを活かしているとはいえません。
中級者が使う初手たすきパオジアンはイ例えばこのような運用がされます。パオジアンを初手に投げた際相手のコライドンがそれを突破するために炎テラスを切ってきたら、相手は「テラスタル」という切り札を失います。相手のパーティーに他に地面タイプがいなければ、これで地面が無効にされることがなくなり、裏のじしん連打で勝てるようになるわけです。
たすきを持たせるのは、このプランを再現性のある勝ち筋とするなら初手に安定して投げることができる回数を増やさないといけないため、一番安定して出しやすいたすきにしたから、といったような話で。当然もしカイリューがテラスタルを切らなくても自分が不利になるわけではないので、問題ないですよね。
要するに、相手を倒すのは勿論倒されでもなお勝ちに貢献できる可能性を考えているということです。
これが「後のことまで考えて」I理由があって置かれる」例です。
それに対して無策パオジアンは、「パオジアンならなんもできないことはないからまあ初手はパオジアンでいいや。後2体なにだそうかなー」と、パオジアンを初手におくこととそれ以外が完全分離しているために、パオジアンを処理された後それを咎める方法がなく、そのままひっくり返せる要因もなくいいようにされる。
さらにいえば、結局つららがひるませられたかといった乱数要素の上振れがなければ十分な活躍ができないパオジアンになりがちなのです。
○「初手置き安定」は「何も考えずにとりあえず置ける」ではない
全く別の話として、いわゆる初手選出の基本技能として「初手負けしにくいものを出す」という発想があり、初手たすきパオジアンはその点非常に有能な選択肢です。
しかし初心者の方が陥りがちな誤りは、その話を「だからとりあえず初手にパオジアンをおいていい」と、一部だけを切り離して完結しまうこと、あるいは初手置き安定がゲームプランそのものだと誤解してしまうことです。
あくまで初手置き安定というのはゲームプランの「一部」で、ゲームプランというのは例えば初手パオジアンが初手置き安定の展開を作れるのでそれをしたい、「だからそのあとこういう展開をつくりたいからパーティーとしてこういう動きをするものを作ろう」まであってのゲームプランです。
そしてここが重要なのですが。最初にお断りしたように、初手たすきパオジアン自体が弱いわけではなく、むしろポピュラーといえる対戦相手です。
ポピュラーな対戦相手への対応策を用意するのはランクマップレイヤーの「アタリマエ」である以上、それをしない人が勝てるわけがありません。
無策でない相手に無策パオジアンがは簡単に処理され、処理された後の動きが準備されていないせいでそのまま押し切られ、結局パオジアンが勝利に貢献する働きをしない「弱い」パオジアンになってしまいます。
○「強い」は相対的な評価で決まる
「強い」という言葉は、言葉としては一つでありながら意味はその時々によって変わります。先ほどまでの「たすきパオジアンは強いが初心者の無策パオジアンは強くない」という話がまさにそれです。
ランクマッチにおける「強さ」の根拠は、究極的には「それを使えば勝てるのか」です。
単体評価のスペックが高かろうがそんなことはただのー要素であって、勝因にならないならランクマッチという競技の場においては一切全く強くもなんともありません。
ですが初心者の方はその区別がついていない場合が多いです。実戦経験が少なくスペックカタログや机上論ではかれる強さしか認識しづらいとか、理由は人それぞれの形で色々あると思いますが、共通しているのは実戦での強さを考えられていないということです。
さらにいえば、ランクマッチでいう「強くない」は必ずしも「弱い」という意味ではありません。勿論一律の定義ではなく個人や場面でニュアンスは違うものですが、「別に使えないことはないけど強くはないよね」とくらいが「強くはないかな」と言われがちです。
何が言いたいのかと言うと、同じ「強い」でも「同じ強さ」ではない。無策パオジアンが強く感じたとしても、実際にはそれより強い初手たすきパオジアンがいて、だから相対的に見て無策パオジアンが弱くなる。ランクマッチにおける強さとはそういうものです。
○初心者帯で無策パオジアンが弱いと感じにくい理由
さて、ここまで読んでもおそらく一部の初心者の方には「そうはいったって実際弱いなんて感じたことないけど」的な反応が返ってくると思います。
ただ、こうは書いたものの、おそらくその感情は一度はみんな似たような形で通る道です。なのでその理由を説まず正しく理解するべきです。
無策パオジアンを弱いと感じれないのは、おそらくこのどちらかです。
「貴方自身がその事実を認識できる実力がまだ身についていない」
あるいは
「そのレート帯で対戦できる対戦相手が無策パオジアンを咎められる実力をもっていない」
か、です。
先ほどまでの話でわかると思いますが、無策パオジアンが十分に機能できないのは、相手に策があってこちらが無策の場合であり、お互いが無策であればそこまで簡単に処理されることはありません。咎められるケースがなければ無策ゆえのマイナスは実際問題見えにくいものです。
つまり、初心者レート帯の中は、むしろ当たり前のこととして、中級者以上のレート帯よりこの「お互い無策」が起きやすい状況になりやすいわけですから、結果として無策パオジアンを弱いと思いにくい状況にあるのです。
これは非常に悪い聞こえ方をするかもしれませんが、むしろ当たり前のことだと思ってください。ただの客観的事実として、初心者の方が中級者以上と同じだけのことができるとすれば、そもそも言葉の定義が崩壊しています。ただ当然のことですが、つまりは初心者を脱するのであればそうはいかないということです。仮にレート帯がたまたま上昇できたとしても、こういった点で差がついていれば、当然レート帯は叩き落されることになります。
なお、当然この話はパオジアンに限った話ではありません。つまりは「なんとなくなノープラン」はあるタイミングから明確に咎められるようになる、ということです。
○初心者を脱したいなら正しくゲームプランを組むことをしっかり意識しよう
このように、ゲームプランをしっかり組めているかどうかは非常に重要で、実力的にもそれが影響してくるかということが、パオジアンを例題にすることで伝えられたと思うのですが。
そもそもゲームシステムを読み解けば、ゲームプランが重要でないはずがありません。
シングル対戦はTODというルールがあるくらいに長引くことはあるものの、そうはいってもこのゲームはそのTODも加味した仕様上、序盤の展開が非常に重要なゲームです。
数ターンで決着がつくガン攻めパーティーは勿論、時間切れまで戦うTODですら、序盤にそれが可能な展開を作るところからスタートすることが重要です。序盤にいかに必要最低限のターン数で確実な自分の有利を作れる状況あるいはその下地を、一定以上の再現性をもたせて作れるか。
そしてその再現性により勝率を確保できるか。
非常に大雑把に言えば、少なくとも一定程度までのポケモンのランクマッチとはそういうゲームなのです。
だからもうこの時点で、「無策」あるいは「無理すぎるゲームプラン」がどれだけアドバンテージを得ることができないことなのかがわかると思います。
そのため、「そうならないように」全プレイヤーが必死にゲームプランを練り、それを実現できるパーティーを組み、対戦に取り組んでいるのですから、それができる人とできない人の聞に差ができてしまうのは当たり前なんですね。
だからその場でいきあたりばったりに常にゼロから行動を考えればいいやと思っている人は、まずそれをやめましょう。そうすれば、そもそもあらかじめ勝てるゲームプランを用意できていないからその場でゼロから考えるハメになっていたことに気づくことができ、いかに再現性が重要かといった要素にも気づけるはずです。
パオジアンを例にしたのは、「パオジアンですらそうなのだ」ということを理解することが一番早いと思ったからですが、ぜひそういった要素を気にしながら対戦に取り組んでいただければと思います。