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The rules 英語長文問題集

古本屋で見つけたので買ってみた。1と2が売ってたが、とりあえず、1だけ買ってみた。

関正生の長文問題集としては、既にポラリスが存在しているが、ポラリスが入試予想問題演習という色彩が強いのに対し、本書は、学習書としての色彩を持たせようとしている点が異なる。
本書の新しいところは、英語長文問題を解くために役立つ知識を、読解、解法、構文の84のルールとしてまとめ、それを具体的な文章を使って解説しているところだ。しかも、各ルールは、問題集のレベルによらずに出現する再現性の高いものだとされている(そんなことを言われると、4冊すべてをやりたくなるというのが人情だが、これは本を売るための戦略か?)

本書を問題集としてみた場合、ポラリスと同様、優秀な問題集だ。スラッシュリーディングにも対応するなど、ポラリスよりも進化しているところもある。

では、学習書としての付加価値の部分はどうか。これについては、言われているほど素晴らしいものではないと思っている。
再現性の高いルールを集めたと言うが、文章の論理展開の仕方は千差万別であるから、すべての場合に当てはまる万能のものではなく、「そういうことがよくあるよね」あるいは「そういう場合があるよね」程度の再現性しかないだろう。
そもそも、英語長文問題というものは、英文で書かれた文章の内容を把握できているかを試すものであり、やっていることは国語の現代文と同じだ。しかも、現代文よりも、文章の内容のレベルは落ちる。現代文と同様に、各文の意味を理解しながら、文章の論理展開を丁寧に追っていけば、自ずと正解に至るはずだ。その思考過程は、ルールを当てはめて解くというよりは、結果として、ルールが当てはまっていたと分かるというものだ。

この本は、上級者にとっては、無意識に使えていたルールを意識化させるという意味があるだろう。
初中級者にとっても、「こういう場合もあるんだ」という経験値を上げていくという意味があるだろう。
しかし、気をつけないといけないのは、この本はルールを覚えるための本ではないということだ。先にも述べたようにルールは万能ではない。覚えたルールを当てはめれば英文が読めるようになるというものではない。

この本が、無意識にやっていたこと(あるいは断片的に解説されていたこと)をルールとしてまとめたことには意味があると思うが、ルールとしてまとめたしまったせいで、間違った勉強の仕方をする人が増えてしまうのではないかと危惧している。


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