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指輪物語TRPG 第1章『南方人の策略』第7回

前回に引き続きオリジナルシナリオです。

前回の冒険はこちら


プレイヤー・ヒーロー

ウーナ(バルドの民の闘争者)
バルドの民の裕福な商人の娘。幼少の頃より、王の竜退治の物語を聞いて育った。大人になったウーナは必然的に戦士となり、商人たちの護衛として故郷から遠く離れた西の地までやってきた。商人たちは取引を終えて故郷へ帰っていったが、ウーナはふさわしき強敵と戦ってその実力を示したいという強い思いに駆られ、見知らぬ土地での冒険に挑戦する。

モリエル(北方の野伏の守護者)
若くしてエリアドールの民を守ることにすべてを費やしてきた。族長のアラゴルンは遍歴の旅として南方に下り、各地でサウロンの手先と戦っている。族長不在の今、より一層エリアドールの守備を固めなければいけない。モリエルは任務の合間にブリー村の踊る小馬亭に立ち寄り、各地から集まってくる情報を仕入れることにした。

アウストリ・ステイルアンブロット(ドゥリンの民のドワーフの探宝者)
アウストリは復活したエレボールで鍛冶や工芸の技を高めてきた。だが年月が経つにつれ、トーリン・オーケンシールドがそうしたように、失われたドワーフの宝をその手に取り戻したいという思いが強くなってきた。今こうしている間にも、父祖の宝が悪しき者どもに穢されているのは我慢ならない。アウストリは鎚を置き、斧を手に放浪の旅に身を投じた。

イムナチャール(荒地の国の森人の研究者)
トゥイディマールの子。リョバニオンの最北端に古くからいるアイルガルザ族の流れをくむ氏族に生まれた。
霧ふり山脈の反対側からエリアドールまで旅をしてきて、この地の文明の要となるブリー村に滞在している。そこでカンパニーと合流して共に冒険をすることになる。
厳しい土地で生きてきたためか狡猾で素早く、頭の回転が速い。

カレン(北方の野伏の伝令者)
旧アルノール王家の血を引くもの。カレン内親王。
直系王族はドゥーネダインの中でも西方の血がより強く発現し、高い能力を持つ。また野伏集団の中でも先陣に立つことを求められるため、元服前の少女であっても一人前の野伏である。その任務は主にエリアドール各地に散る野伏たちの伝令係であるが、家格の高さから各国宮廷への正式な使者としてたつこともある。
カレン(Calen)は幼名。成人後はアラノール(Aranor)と名乗る予定。

物語

君たちはチェトの森と牧草地の境で、
襲撃してきたゴブリンたちを迎え討った。
数倍もの敵を相手に雄々しく戦うヒーローたち。
やがて、一人また一人と深手を負った君たちは、
前線で踏みとどまる2人を残して小谷村へ撤退する。
ゴブリンたちは二手に分かれ、
ついに小谷村へ足を踏み入れようとしていた。
その時、塹壕に隠れていた村人たちが武器を手に立ち上がった。
先に撤退していたモリエルとウーナも加勢し、
小谷村を必死で守り抜く。
激しい戦闘の末、ついにゴブリン軍を打ち負かした。
かくして、2965年夏の“ブリー郷の戦い”は幕を閉じた――

ブリー郷の戦い”から2週間、一行はブリー郷で戦いの傷と疲労を癒しました。今やすっかり村々の英雄です。道を歩けばすれ違う村人が声をかけ、夜になれば宿屋に村人が集まり、一行に今回の活躍の話を聞きに来るのでした。
村人たちは、毎晩聞いても飽きることなく話を聞きに来ては、大いに盛り上がるのでした。

そんな一行の下に、ハルバラドが戻ってきます。
「諸君、よくやった。ゴブリンの尖兵たちを放置していれば襲撃成功の知らせが広まり、数百のゴブリンの軍勢が風見丘陵を下りてきて、ブリー郷が襲撃を受けていただろう。残念ながら風見丘陵の怪物を一掃することは難しい。丘陵地帯は入り組んでいるし、我々も数が少ない。だが、これだけ大規模な襲撃が失敗したことが分かれば、ゴブリンたちも自分たちの領分を守ってそうそう手出しはしてこないだろう。それでも、しばらくは私たちが見回りの強化をしよう。本当によくやってくれた。」

そして、ハルバラドは話を続けます。
「それはそうとサビアンのことだが、奴を尋問したところ、南連丘に潜むオークたちの拠点が判明した。20名ほどの野伏を直接向かわせた。君たちもオーク狩りに加わってくれないだろうか。私が案内役を務める。ぜひともよろしく頼む」

こうしてハルバラド先導のもと、南連丘への旅が始まりました。

南連丘へ!

緑道を南に下っている途中、一行はエルフの吟遊詩人と出会います。
彼女はしばしの間旅の一行に加わりましたが、この陽気なエルフを相手にするのは忍耐が必要でした。
それでも根気強く彼女の話を聞いていると、彼女はメネルマカール、すなわち空の剣士座をたたえる歌を作っていることが分かります。
その夜、彼女は旅のお礼に歌と祝いで一行をもてなしました。
エルフの澄んだ美しい歌声は皆の心を震わせ、危険な街道を旅する旅人の心は希望で満たされたのでした。

翌日、一行はエルフの吟遊詩人と別れ、先を急ぎました。
ほどなく、血痕と引きずられた血の跡を発見します。痕跡は街道から離れて荒野の中へ続いています。
一行が痕跡を辿っていくと、街道から何マイルも離れた荒野の中で、食い殺された旅人の死体を見つけました。
一行はこの痕跡から、ただの狼ではなく荒地狼(ワーグ)の仕業だということを突き止めます。
ここ数十年、ブリー郷付近では見られなかった荒地狼がやってきたようです。

目的地へ到着すると、20人の野伏たちがすでに隠れ潜んでおり、丘の中腹に空いた複数の穴を見張っていました。
どうやらオークと荒地狼たちは、この丘の中を深く掘り進み、複雑な洞窟網を作り上げていたようです。
この中に立ち入ってオークたちとやり合うにはあまりにも危険で、最悪の場合、複数ある穴から逃げ出してしまう可能性がありました。
そこで一行は2つの入り口だけ残し、他の入り口をすべて塞ぎました。
その間、野伏たちはハルバラドの指示によって枯れ木を集め、風上の入り口の前に積み上げていきます。

準備は整いました。
風上側の入り口に野伏の一部隊を残し、残りは風下側の入り口の前に弓を構えて待ち構えます。
ハルバラドの合図で風上の入り口の前に積み上げられた枯れ木に火が放たれました。
最初はチロチロとした小さな火はやがて勢いを増し、風に乗って煙が穴倉に流れ込んでいきます。

静寂と緊張が広がります。
しばらくたって、洞窟の中はにわかに騒々しくなりました。オークの怒号や荒地狼の吠え声が飛び交い、風下側の入り口から次々と飛び出してきました。

そこへ、待ち構えていた野伏が弓を引き、矢の雨が降り注ぎます。
一行も負けじと矢を放ちます。
オークも荒地狼も体中に矢を受けて次々と倒れていきました。
しかしその攻撃でも敵の勢いを封じることはできず、やがてオークたちは荒地狼に乗って矢の雨を突破し、まっすぐ突撃してきました。

穴倉から飛び出してきたオークたち

ひと際大柄なオークの首領と、彼がまたがる大柄で夜の闇のような真っ黒な毛皮を持つ荒地狼、そして4頭の荒地狼と騎乗した4人のオークたちが、一行に突っ込んできます。

最初にイムナチャールの弓が鳴りました。モリエル、カレン、ウーナが続き、一人のオークが絶命して荒地狼から転がり落ちました。
アウストリの投げた槍は、荒地狼の身のこなしで簡単によけられてしまいます。
オークたちは次々と槍を投げてきて、イムナチャールとウーナに槍が刺さります。
ウーナは重い一撃を受け、すでに疲労を感じています。

モリエルとカレンは、炎を嫌う荒地狼を迎え討つため、弓を捨て松明に火をつけました。

目前まで迫ってきたオークと荒地狼

いよいよ、南連丘からオークと荒地狼を一掃する戦いが始まります!


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