指輪物語TRPG 第2章『太古より目覚めしもの』第1回
前回に引き続き、オリジナルシナリオです。
前回の冒険はこちら
プレイヤー・ヒーロー
ウーナ(バルドの民の闘争者)
バルドの民の裕福な商人の娘。幼少の頃より、王の竜退治の物語を聞いて育った。大人になったウーナは必然的に戦士となり、商人たちの護衛として故郷から遠く離れた西の地までやってきた。商人たちは取引を終えて故郷へ帰っていったが、ウーナはふさわしき強敵と戦ってその実力を示したいという強い思いに駆られ、見知らぬ土地での冒険に挑戦する。
モリエル(北方の野伏の守護者)
若くしてエリアドールの民を守ることにすべてを費やしてきた。族長のアラゴルンは遍歴の旅として南方に下り、各地でサウロンの手先と戦っている。族長不在の今、より一層エリアドールの守備を固めなければいけない。モリエルは任務の合間にブリー村の踊る小馬亭に立ち寄り、各地から集まってくる情報を仕入れることにした。
アウストリ・ステイルアンブロット(ドゥリンの民のドワーフの探宝者)
アウストリは復活したエレボールで鍛冶や工芸の技を高めてきた。だが年月が経つにつれ、トーリン・オーケンシールドがそうしたように、失われたドワーフの宝をその手に取り戻したいという思いが強くなってきた。今こうしている間にも、父祖の宝が悪しき者どもに穢されているのは我慢ならない。アウストリは鎚を置き、斧を手に放浪の旅に身を投じた。
イムナチャール(荒地の国の森人の研究者)
トゥイディマールの子。リョバニオンの最北端に古くからいるアイルガルザ族の流れをくむ氏族に生まれた。
霧ふり山脈の反対側からエリアドールまで旅をしてきて、この地の文明の要となるブリー村に滞在している。そこでカンパニーと合流して共に冒険をすることになる。
厳しい土地で生きてきたためか狡猾で素早く、頭の回転が速い。
カレン(北方の野伏の伝令者)
旧アルノール王家の血を引くもの。カレン内親王。
直系王族はドゥーネダインの中でも西方の血がより強く発現し、高い能力を持つ。また野伏集団の中でも先陣に立つことを求められるため、元服前の少女であっても一人前の野伏である。その任務は主にエリアドール各地に散る野伏たちの伝令係であるが、家格の高さから各国宮廷への正式な使者としてたつこともある。
カレン(Calen)は幼名。成人後はアラノール(Aranor)と名乗る予定。
物語
君たちはフィッチの復讐の手助けをした。
因縁のトロルは狡猾だったが、君たちの猛攻の前に倒れ伏した。
アーチェト村に帰ってきた君たちは、
狩猟弓を手に入れるため、狩りの腕前を示す挑戦をした。
後の話によると、この年のチェトの森の鹿はかなり減ったという。
やがて冬が近づき、君たちは故郷へ帰って
厳しい冬の寒さを越したのだった――
厳しい冬の間、一行はそれぞれの故郷で過ごしました。
やがて季節は移ろい、春が訪れました。
ブリー郷に再集結した一行のもとに、ギルラエンが訪ねてきます。
「我々の仲間から、オークの一団がさびし野を横断しているという知らせを受けとりました。奴らはグラム山から降りてきたようです。北連丘を越え、一部のオークはフォルンオストの遺跡へ入ろうとしました。我々野伏はフォルンオストで迎え討ち、敗走させることに成功しましたが、オークの本隊は依然として西へ進んでいます。急ぎオークを追い、奴らの目的を突き止め、できうる限りの妨害をしてください。」
一行はエリアドールを守るため、すぐに支度をして出発します。
ギルラエンは、ホビット庄の庄境を流れるバランドゥイン川に向かい、野伏の隠された拠点である川中島へ行くことを提案しました。
そこから野伏の協力のもと、舟で川を北に遡り、夕おぼろ湖へ進む道がもっとも早くオークたちに追いつけるだろうとのことでした。
また、夕おぼろ湖のほとりにあるアンヌーミナスの廃墟には、2人の野伏が住んでいるとのことです。
彼らに話を聞けばオークがどこまでやってきたのか分かるかもしれません。
こうして、一行はしばしの間、水の上の人となったのでした。
流れの緩やかな川を遡っていく間に見かけたものといえば、枯れている葦原の中、物音に驚いて飛び出した鳥たちだけでした。
バランドゥイン川を何日もかけて遡っていく一行は、“鏖殺の野”と呼ばれる古戦場跡の近くを通りました。そこは、かつて北方王国を滅ぼした魔王を自由の民が打ち破った場所でした。
カレンはその話をユールの間にギルラエンから聞かされていました。
その時、川辺の葦原の中から物音が聞こえてきます。
一行は何者かの接近を察知し、警戒を強めました。
現れたのはゴブリンの弓兵たちでした。
イムナチャールとカレンがほとんど同時に矢を放ちます。
1人のゴブリンに2本の矢が突き刺さり、ゴブリンはふらふらとしています。
そこへアウストリが投げた石が頭に直撃し、ギャッと叫んでゴブリンは死にました。
モリエルも別のゴブリンに石をぶつけます。
そこへ狙いすましたウーナの矢が飛んできて、声を上げる間もなくゴブリンは絶命しました。
英雄たちは揺れる小舟にも動じず、正確にゴブリンを討ち取っていきました。
しかし、ゴブリンたちも負けじと次々と矢を放ってきます。
アウストリ、カレン、ウーナは毒矢が何本も突き刺さり、重傷を負ってしまいました。
幸い毒が体を回ることはなかったものの、氷のように冷たい川の上、身動きする度に激しく揺れる小舟で戦い続けるのは得策ではありませんでした。
一行は全力で舟を漕ぎ、その場から離れます。
ゴブリンたちは後を追って弓で射かけてきますが、ぬかるみと葦原によって足取りは重く、その姿はやがて見えなくなりました。
その後はゴブリンやオークたちに見つかることもなく、無事にアンヌーミナスの廃墟へとたどり着きました。
そして、かつての王国の首都の守護者である2人の野伏のもとへ向かうのでした。