![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160690177/rectangle_large_type_2_38ce546e7a8cc77e1cb32b5502ff1774.jpeg?width=1200)
指輪物語TRPG 第2章『太古より目覚めしもの』第2回
前回に引き続き、ルールブックから着想を得たオリジナルシナリオです。
前回の冒険はこちら
プレイヤー・ヒーロー
![](https://assets.st-note.com/img/1727870707-3HXEG4qCLjPZJdUoab81S0A7.png?width=1200)
ウーナ(バルドの民の闘争者)
バルドの民の裕福な商人の娘。幼少の頃より、王の竜退治の物語を聞いて育った。大人になったウーナは必然的に戦士となり、商人たちの護衛として故郷から遠く離れた西の地までやってきた。商人たちは取引を終えて故郷へ帰っていったが、ウーナはふさわしき強敵と戦ってその実力を示したいという強い思いに駆られ、見知らぬ土地での冒険に挑戦する。
モリエル(北方の野伏の守護者)
若くしてエリアドールの民を守ることにすべてを費やしてきた。族長のアラゴルンは遍歴の旅として南方に下り、各地でサウロンの手先と戦っている。族長不在の今、より一層エリアドールの守備を固めなければいけない。モリエルは任務の合間にブリー村の踊る小馬亭に立ち寄り、各地から集まってくる情報を仕入れることにした。
アウストリ・ステイルアンブロット(ドゥリンの民のドワーフの探宝者)
アウストリは復活したエレボールで鍛冶や工芸の技を高めてきた。だが年月が経つにつれ、トーリン・オーケンシールドがそうしたように、失われたドワーフの宝をその手に取り戻したいという思いが強くなってきた。今こうしている間にも、父祖の宝が悪しき者どもに穢されているのは我慢ならない。アウストリは鎚を置き、斧を手に放浪の旅に身を投じた。
イムナチャール(荒地の国の森人の研究者)
トゥイディマールの子。リョバニオンの最北端に古くからいるアイルガルザ族の流れをくむ氏族に生まれた。
霧ふり山脈の反対側からエリアドールまで旅をしてきて、この地の文明の要となるブリー村に滞在している。そこでカンパニーと合流して共に冒険をすることになる。
厳しい土地で生きてきたためか狡猾で素早く、頭の回転が速い。
カレン(北方の野伏の伝令者)
旧アルノール王家の血を引くもの。カレン内親王。
直系王族はドゥーネダインの中でも西方の血がより強く発現し、高い能力を持つ。また野伏集団の中でも先陣に立つことを求められるため、元服前の少女であっても一人前の野伏である。その任務は主にエリアドール各地に散る野伏たちの伝令係であるが、家格の高さから各国宮廷への正式な使者としてたつこともある。
カレン(Calen)は幼名。成人後はアラノール(Aranor)と名乗る予定。
物語
君たちは春になって再びブリー村に集結する。
ギルラエンが君たちを訪ね、凶報を届けた。
グラム山のオークが北の荒野を西へ進んでいるとのことだ。
君たちは野伏の助けを得てバランドゥイン川を船で北上し、
アンヌーミナスの遺跡までたどり着いた――
アンヌーミナスに辿り着いた一行は、僅かに残った地上部の廃墟の中を歩きます。
ここには、2人の野伏が住んでいるのです。
彼らの拠点に到着すると、静かに迎え入れてくれました。彼らはベイニオンとアリンという野伏の夫婦でした。
一行が彼らにオークのことを尋ねると、オークたちはアンヌーミナスを迂回し、さらに西の夕おぼろ丘陵の方へ進んでいったとのことです。
ベイニオンはこれ以上の助力ができないことを一行に詫び、代わりにエスカー谷へ向かうよう伝えました。
エスカー谷は、人間族の孤立した村で、夕おぼろ丘陵の北東の斜面にある深い谷間に隠れています。
村人たちは、エリアドールの他の住人とも、南のホビット庄の衆とも、ほとんど関わろうとせず、流れの速い小川のほとりに小さな石造りの家々を建てて住み、丘陵で狩を、湖で漁をして暮しています。
そこへ向かえば、村人たちがオーク狩りの手助けをしてくれるだろうとのことでした。
しかし、エスカー谷の住人はよそ者を嫌うため、彼らに受け入れられるには骨が折れるだろうということも教えてくれます。
「この村を見つけるには、長年荒野を放浪してきた我々野伏でも難しい。だが、村を探すのに手間取っていれば、その間にオークたちは先へ先へと進んでしまうだろう。」
![](https://assets.st-note.com/img/1730793269-pwzLyZtcPbVXfROla7HIWFM4.png?width=1200)
ベイニオンと話をしている間に日は傾き、夕おぼろ湖の湖面は夕日に照らされます。丘陵から風が吹き下ろしてくるにも関わらず、湖面は不思議なほど波が立っていません。まるで風が静かな水面を乱すのを嫌がってでもいるかのようです。
不意に、どこからともなく大きな帆船が現れました。黄昏の中、帆にいっぱいの風を受けて夕おぼろ湖を帆走しています。その姿はとても幻想的でした。
やがて一行は不気味な事実に気づきます。大きな帆船が進んでいるにもかかわらず、湖面には波一つ立っていないのです。どうやらこの世のものではない船のようでした。
帆船は岸に向かって進みますが、一向に辿り着く様子はありません。
叶うことない望みを求め続ける光景は、なにやら物悲しさを感じさせるのでした。
そうして、夕日が青の山脈の向こうに落ちると同時に、帆船はふっと姿を消しました。
その夜、アリンの美しい歌声が響きます。その歌声は澄み渡っていて、歌声の主は美しいエルフの乙女なのではないかと間違われるほどでした。
翌朝、一行は野伏たちと別れを告げ、エスカー谷の捜索に取り掛かりました。
まず、モリエルが熟練の野伏の技で、エスカー谷の大まかな場所を特定します。
続いて長年放浪生活をしてきたアウストリが、その経験と勘で次々とエスカー谷の隠された証拠を見つけ出していきます。
そのあまりの勘の鋭さに、仲間たちは思わず感嘆の声を上げました。
というのも、アウストリが見つけた痕跡はことごとくエスカー谷の住人によるもので、「熟練の野伏ですら村を探し出すのに苦労するだろう」というベイニオンの言葉などなかったかのように、一切迷うことなく歩を進めたからです。
アウストリの功績によって難なくエスカー谷を見つけ出した一行は、川を渡って舗装されていない道を歩いてきます。
石造りの建物が道の横に並び、僅かながら畑も見られます。あなた方が村へ入ると、住人たちが続々と集まってきて、警戒しながら「この村へ何しに来た」と問いかけてきます。
エスカー谷の住人は非常に厳しい目を向けています。
しかし、グラム山のオークを追っていることを伝えると、彼らの態度は幾分和らぎました。
![](https://assets.st-note.com/img/1730793321-0vpgU42Aalsdk9mJGHyeNKjL.png?width=1200)
一行は丁寧な自己紹介をし、歌を歌って場をの雰囲気を変え、礼儀正しく彼らを説得すると、村人たちはすっかり心を開いたのでした。
そして、村の狩人たちが次々とオークの目撃証言を語ってくれたのです。
村人たちの親切な助力により、一行は夕おぼろ丘陵での追跡の仕方を学んだのでした。
一行はエスカー谷で一息ついた後、村人に別れを告げ出発しました。
一行は様々な花が咲き始めた荒野の中、オークの一団を追跡します。オークが通った後は草花が無残に踏み荒らされており、痕跡を辿ることは容易でした。
一行は丘陵地帯を進んでいきます。やがて遠くの丘にゴマ粒のようなオークたちが見え始めます。丘を越え、次の丘の頂上まで来るたびに一行とオークの間の距離は縮まっていきます。
ついにオークたちをはっきりと確認できるほど近くまで迫ってきました。優に100を超えるオークたちが、その穢れた足で北の大地を荒らしながら進んでいます。彼らは太陽が雲に隠れた時には勢いよく行軍し始めるのですが、雲間から太陽が覗くと途端にのろのろとした歩みに変わり、ぶつぶつと不平をこぼしながら身を隠せる岩場を探して回るのでした。
一行が注意深く様子を伺っていると、両手を縛られた一人のドワーフが連行されているのに気づきます。泥や土にまみれて汚れており、ふらふらとした覚束ない足取りで岩陰に向かいますが、オークたちに押し出されています。再び太陽が厚い雲の裏に隠れた時、オークの一団は掛け声をかけ、今だとばかりに早足で行軍を再開しました。
先頭集団には大柄なオークたちがおり、彼らほどではないものの屈強な体つきのオークたちが後に続きます。
最後尾にはドワーフを引っ張ったり後ろから叩いたりしている部隊がありました。ついにドワーフが転びました。彼を連行していたグループは立ち止まります。ある者は叫び声を上げながらドワーフを叩き、別の者はその様子を見てゲラゲラと笑っています。先頭を行く大柄なオークたちは後続が遅れていることを気にも留めず、振り向いて一声かけただけでどんどんと先へ進んでいきます。
その時でした。厚い雲が途切れ、太陽が顔を出します。ドワーフと共にいるオークたちは慌てふためいて混乱しています。
すでに先頭のオークたちは丘の裏まで行ってしまい見えなくなっていました。
千載一遇のチャンスがやってきました。オークを襲撃する絶好のタイミングです。
一行はアウストリを先頭に、角笛を吹き大声を上げながら突進しました。
イムナチャールだけがこっそりと狡猾に立ち回って狩りに加わります。
![](https://assets.st-note.com/img/1730793359-iuFUgy5BC6sP0M4TGoD9tqIV.png?width=1200)
一行は一斉に矢を放ち、槍を投げました。
2人のオークが重傷を負い、息を切らしています。
オークたちも負けじと槍を投げてきます。
そのうちの1本がイムナチャールに突き刺さります。
鎧によってかろうじて重傷を免れたイムナチャールは、突き刺さった槍の柄を切り落とし、斧を片手に相棒のウルフと共に突撃します。
2本の矢によって動きが鈍っているオークを、イムナチャールとウルフが連携して攻撃します。
ウルフに気を取られたオークの隙をつき、イムナチャールの斧が振り下ろされます。
オークは強力な斧の一撃を受け、ふらふらとしています。
そこへウーナの大弓から放たれた矢が頭蓋に突き刺さり、オークは息絶えました。
アウストリはドワーフの捕虜が痛めつけられている様を見て、激怒してオークの群れに突っ込みます。
アウストリのあまりの勢いに、オークたちは完全に怯みます。
アウストリは長柄斧を力いっぱい振り回し、一人のオークの首をはね飛ばしました。
カレンは皆の士気を高めるため、ウーナを守りながら仲間を鼓舞します。
そんな中、モリエルは素早くオークの間を駆け抜け、オークの隊長に肉薄しました。
オークの隊長は、その巨体から想像もつかないほど巧みに素早く身をよじって攻撃をかわそうとしましたが、モリエルの方が一枚上手でした。
モリエルの剣が大柄なオークの腕を切り裂きます。傷はそれほど深くはありませんでしたが、父祖伝来の剣に込められた魔力がオークの悪意を削ぎました。
オークの隊長はそんなモリエルを無視し、力いっぱい跳躍して弓手のウーナに襲い掛かりました。
ウーナは不意をつかれましたが、素早く攻撃をかわします。
残りのオークたちも反撃し、アウストリとイムナチャールが重傷を負いました。
カレンは引き続き仲間を鼓舞し、自らも長剣を両手で握りしめ攻撃に加わります。
イムナチャールは目の前のオークに斧の一撃を与えました。
怯んだオークが反撃に出ようとした瞬間、ウーナの矢が空を切って飛んできて、凄まじい勢いでオークのがら空きの胸に飛び込みます。
オークはもんどりうって倒れ、そのまま起き上がることはありませんでした。
アウストリは戦いの疲労をものともせず、傷を負わせてきたオークを一撃で粉砕しました。
怒り狂うドワーフを止められるものは、もはや誰一人としていませんでした。
モリエルはウーナに突進したオークの隊長を追いかけ、後ろから強烈な一撃を与えます。
さすがにこれ以上無視できなくなった隊長は、モリエルに向き直って曲剣を振り下ろしました。
突然の反撃にモリエルは反応しきれず、鈍い音と共にモリエルの血がぱっと飛び散ります。
別のオークが隊長の命令でカレンに襲い掛かり、恐ろしい傷跡を次々とつけていきます。
カレンはかなりの痛手を負いました。
とはいえ、残っているオークは隊長を含めてあと2人でした。
オークたちも非常に奮闘しましたが、最後はあっけなく討ち取られてしまいました。
こうして一行は、ドワーフの捕虜を救出することに成功したのでした。
いいなと思ったら応援しよう!
![ヘルルイン](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83529210/profile_b176347754c93d701b622dbb9c0ffc61.jpg?width=600&crop=1:1,smart)