指輪物語TRPG 第3章『エリアドールに広がる闇』第2回
前回に引き続きオリジナルシナリオです。
前回の冒険はこちら
プレイヤー・ヒーロー
ウーナ(バルドの民の闘争者)
バルドの民の裕福な商人の娘。幼少の頃より、王の竜退治の物語を聞いて育った。大人になったウーナは必然的に戦士となり、商人たちの護衛として故郷から遠く離れた西の地までやってきた。商人たちは取引を終えて故郷へ帰っていったが、ウーナはふさわしき強敵と戦ってその実力を示したいという強い思いに駆られ、見知らぬ土地での冒険に挑戦する。
モリエル(北方の野伏の守護者)
若くしてエリアドールの民を守ることにすべてを費やしてきた。族長のアラゴルンは遍歴の旅として南方に下り、各地でサウロンの手先と戦っている。族長不在の今、より一層エリアドールの守備を固めなければいけない。モリエルは任務の合間にブリー村の踊る小馬亭に立ち寄り、各地から集まってくる情報を仕入れることにした。
アウストリ・ステイルアンブロット(ドゥリンの民のドワーフの探宝者)
アウストリは復活したエレボールで鍛冶や工芸の技を高めてきた。だが年月が経つにつれ、トーリン・オーケンシールドがそうしたように、失われたドワーフの宝をその手に取り戻したいという思いが強くなってきた。今こうしている間にも、父祖の宝が悪しき者どもに穢されているのは我慢ならない。アウストリは鎚を置き、斧を手に放浪の旅に身を投じた。
イムナチャール(荒地の国の森人の研究者)
トゥイディマールの子。リョバニオンの最北端に古くからいるアイルガルザ族の流れをくむ氏族に生まれた。
霧ふり山脈の反対側からエリアドールまで旅をしてきて、この地の文明の要となるブリー村に滞在している。そこでカンパニーと合流して共に冒険をすることになる。
厳しい土地で生きてきたためか狡猾で素早く、頭の回転が速い。
カレン(北方の野伏の伝令者)
旧アルノール王家の血を引くもの。カレン内親王。
直系王族はドゥーネダインの中でも西方の血がより強く発現し、高い能力を持つ。また野伏集団の中でも先陣に立つことを求められるため、元服前の少女であっても一人前の野伏である。その任務は主にエリアドール各地に散る野伏たちの伝令係であるが、家格の高さから各国宮廷への正式な使者としてたつこともある。
カレン(Calen)は幼名。成人後はアラノール(Aranor)と名乗る予定。
物語
第三紀2967年春。
英雄たちの姿は裂け谷にあった。
冬の間、エルロンドが調べた情報を聞きに集ったのだ。
太古の大蛇は、かつてサウロンに仕え
エレギオンを滅ぼしたことが分かった。
大蛇の消息を辿るため、一行はひとまずブリーに向かった。
そこでは白の手の手先であるウォレスが待っていた。
一行はサルマンからアイゼンガルドに招待されたのだ。
その招待に応えるべく、南へ向かうことを決意した――
ブリー村でモリエルと合流した一行は、アイゼンガルドを目指して出発します。
緑道を歩くこと4日、春の雪解けで増水した川が一行を阻みました。
大きく迂回する必要があるかと思われましたが、流されてきた倒木が引っ掛かっている場所をモリエルが見つけました。
一行は慎重に倒木を渡っていきます。
その甲斐あって、旅程が伸びることなく先へ進むことができました。
さらにそれから4日後、この辺りでは滅多に見ることのない大鷲がはるか上空を群れなして飛んでいる光景をモリエルが見つけました。
春になって繁殖期に入り、霧ふり山脈からはるばる飛んできたのでしょうか。
一行は心湧きたつ眺めに大いに喜びます。
その3日後、サルバドまであと1日ほどのところまでやって来ました。
ブリー村からここまで一行を引っ張ってきたモリエルは、ふと不安に駆られます。
自分のリーダーシップが果たして正しかったのだろうか。
というのも、このユールの間に年若い野伏たちを育てていたモリエルは、指導力や統率力を身に着けたと自負していました。
しかし、この旅が始まってからの仲間の反応はいまいちだったため、ここにきてその自信が揺らいでいました。
しかしモリエルは心に忍び寄る闇を打ち払い、自信を取り戻して仲間を率いていくのでした。
そうして一行はサルバドに辿り着きました。
一行は橋の両端へ続く道を守っている2つの塔を目にします。しかし、塔は荒れ果て、最上層が崩れていることが分かりました。
さらに近づくと、灰色川の北岸にある古き要塞ガルス・タウロンの巨大防壁が、そびえ立っているのが見えてきます。大昔の要塞は、大部分ががれきと化していました。
町の近くの街道は沼地に埋もれぬよう土と石を積み上げた、大昔の土手道の上を続いていきます。
土手道を歩いていくと門番小屋が見えてきました。
そこでは盗賊崩れの衛兵たちが通行料を取り立てています。
裕福な商人の娘であるウーナは、金貨を取り出して衛兵に渡します。
滅多に見ることができない金貨を見て、さすがの衛兵たちも仰天してしまいました。
彼らはすぐに通してくれました。
そうしてサルバドに入った一行ですが、早速大蛇の目撃情報がないか情報収集をしていきます。
まずはカレンが町ゆく人々に丁寧に聞いていきます。
アウストリは、灰色川にある間島まで足を伸ばして聞き込みに挑戦します。その結果分かったことは次の通りでした。
昨年の秋、まるで海から大波が遡ってくるかのように水の塊が下流からやってきた。あまりの速さに、間島の住人たちは逃げる暇もなかった。
その波はまるで意思があるかのように間島を避け、灰色川を上流に向かって進んでいった。
その勢いで川の水が間島に流れ込み、家々は浸水し、何人もの人々が転倒し、川に飲まれた。しかし、誰一人として死者は出なかった。
というのも、その大波は人間には目もくれず進んでいったからだ。
その波の下には、誰も見たことがないほど巨大な蛇が泳いでいた。
大蛇が去った後、流れ出る黒い血が灰色川に残っていた。
どうやら大きな傷を負っているようだった。
その血の影響かのか、川の水は汚れ、魚は大量に死に、サルバドの人々空腹に耐えながら冬を越したのだった。
一行は大蛇が灰色川を遡っていったことを確認しました。
そして奴が傷を負って苦しんでいることも知りました。
ですが、ひとまず宿を取って旅の疲れを癒すことに決めました。