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指輪物語TRPG 第2章『太古より目覚めしもの』第4回

前回に引き続きオリジナルシナリオです。

※『失われた王国の遺跡』のマップを一部使用しておりますが、内容は大半がオリジナルです。

前回の冒険はこちら



プレイヤー・ヒーロー

ウーナ(バルドの民の闘争者)
バルドの民の裕福な商人の娘。幼少の頃より、王の竜退治の物語を聞いて育った。大人になったウーナは必然的に戦士となり、商人たちの護衛として故郷から遠く離れた西の地までやってきた。商人たちは取引を終えて故郷へ帰っていったが、ウーナはふさわしき強敵と戦ってその実力を示したいという強い思いに駆られ、見知らぬ土地での冒険に挑戦する。

モリエル(北方の野伏の守護者)
若くしてエリアドールの民を守ることにすべてを費やしてきた。族長のアラゴルンは遍歴の旅として南方に下り、各地でサウロンの手先と戦っている。族長不在の今、より一層エリアドールの守備を固めなければいけない。モリエルは任務の合間にブリー村の踊る小馬亭に立ち寄り、各地から集まってくる情報を仕入れることにした。

アウストリ・ステイルアンブロット(ドゥリンの民のドワーフの探宝者)
アウストリは復活したエレボールで鍛冶や工芸の技を高めてきた。だが年月が経つにつれ、トーリン・オーケンシールドがそうしたように、失われたドワーフの宝をその手に取り戻したいという思いが強くなってきた。今こうしている間にも、父祖の宝が悪しき者どもに穢されているのは我慢ならない。アウストリは鎚を置き、斧を手に放浪の旅に身を投じた。

イムナチャール(荒地の国の森人の研究者)
トゥイディマールの子。リョバニオンの最北端に古くからいるアイルガルザ族の流れをくむ氏族に生まれた。
霧ふり山脈の反対側からエリアドールまで旅をしてきて、この地の文明の要となるブリー村に滞在している。そこでカンパニーと合流して共に冒険をすることになる。
厳しい土地で生きてきたためか狡猾で素早く、頭の回転が速い。

カレン(北方の野伏の伝令者)
旧アルノール王家の血を引くもの。カレン内親王。
直系王族はドゥーネダインの中でも西方の血がより強く発現し、高い能力を持つ。また野伏集団の中でも先陣に立つことを求められるため、元服前の少女であっても一人前の野伏である。その任務は主にエリアドール各地に散る野伏たちの伝令係であるが、家格の高さから各国宮廷への正式な使者としてたつこともある。
カレン(Calen)は幼名。成人後はアラノール(Aranor)と名乗る予定。

物語

君たちは助け出したドワーフから
青の山脈にオークの危険が迫っていることを知った
急ぎドワーフの館へ警告を届けなければならない。
館ではバリンの口添えで緊急会議が開かれた。
君たちは集まったドワーフたちを説得し、
バリン率いるドワーフ部隊と共に、
オークたちが潜伏しているであろう
古いドワーフの鉱山へ向かった――

一行は、青の山脈に沿って北上します。
ドワーフたちは武具だけでなく、鉱山の仕事で必要な道具も背負っていたため、大変大きな荷物でしたが、不平一つこぼさず進みます。
そうして10日ほど歩いたころでしょうか。
東からやってきた大勢のオークの足跡にぶつかりました。
足跡は山麓で何かを探し回ったかのように四方八方に広がっていましたが、やがて一つの細い道に一斉に向かったようでした。

青の山脈に沿って北上する一行

それは半ば埋もれたドワーフ道の跡でした。
道はまばらな松と柊の森の間を縫って、西へ西へ蛇行しながら続いています。
道の先は川が長年かけて侵食してできた山間の谷に繋がっていました。
最後の急な斜面を登り切った一行は、鉱山の正面入り口がとうの昔に崩落している様子を目の当たりにしました。
ここから中に入ることは到底できそうにありませんでした。

塞がれていた正面入り口

しかし、別の細い道が山の側面をかすめながら続いているのが見えます。
ここから滑落したらひとたまりもありません。
一行がその細く険しい道を慎重に進んでいくと、開けた谷に出てきました。
谷の奥には打ち捨てられたドワーフの集落の遺跡があり、その遺跡の前では多くのオークたちが休んでいました。

彼らは騒々しく話し、下品な笑い声を立てていましたが、大勢のドワーフたちが現れたことに気づき、一斉に武器を手に取って立ち上がります。
バリンもドワーフ語で掛け声をかけ、ドワーフたちに突撃の準備をさせます。
こうして、古いドワーフの鉱山の入り口で、オークとドワーフの戦いが幕を開けました。

鉱山の入り口での戦い

一行はバリン率いるドワーフの戦士たちと共に、オークに突撃します。
どちらの陣営も次々と矢と槍を浴びせます。
ウーナとカレンはそれぞれ大弓でオークを仕留めました。
しかし、オークが投げた槍が二人を負傷させます。

お互いの距離がどんどん近づき、ついに鋼と鋼がぶつかり合う音が谷に響き渡りました。
敵味方入り乱れての激戦です。
オークの槍を受けたアウストリは、槍を引き抜きながら雄たけびを上げます。あまりの迫力にオークたちは怯みました。
その勢いに乗って、アウストリは目の前のオークの首を刎ね飛ばしました。
イムナチャールは相棒のウルフと共に連携してオークの一人を追いつめます。
モリエルは非常に大柄なオークの首領に突撃し、敵の素早い足さばきをものともせず剣を叩きつけました。
ウーナは乱戦の中でも過たずオークを射抜いて倒します。
カレンはドワーフの戦士たちを支援し、オークの攻撃を防ごうとしました。
しかしオークたちの勢いは強く、ドワーフの戦士たちは次々と負傷していきます。

イムナチャールにはオークの曲剣が当たりそうになりますが、忠犬ウルフがオークに体当たりをして攻撃を逸らしました。
イムナチャールはバランスを崩したオークに斧を叩きつけます。

モリエルは首領を上回る敏捷さで敵を翻弄し、強烈な一撃で首領の命を奪いました。
アウストリとウーナは次々とオークたちの傷を増やしていきます。
カレンはドワーフの戦士たちを鼓舞し続けましたが、オークたちの勢いは未だ衰えず、さらに4人のドワーフが重傷を負いました。

しかし、ついに勝敗が決する時がやってきました。
イムナチャール、アウストリ、モリエルは完全に場を掌握し、襲い掛かるオークどもをねじ伏せ、叩き斬り、首を刎ね飛ばしていきます。
その様子にドワーフたちも勢いを盛り返し、オークは次々と倒れていきました。
やがてオークの最後の一人が倒れると、谷には静けさが戻ってきました。

かつてのドワーフの集落だった場所で、一行は休息を取りました。
負傷したドワーフの戦士たちの手当てをし、自分たちも体を休めます。
休憩中、カレン、モリエル、アウストリは今の状況に違和感を覚えました。
なぜ鉱山を目前にして、わざわざ日光の当たる場所にオークたちがいたのでしょうか。
何かがおかしいことに気づきます。

慎重に鉱山の入り口を調べてみますと、たくさんのオークが鉱山に入った後、その3分の1ほどが慌てて鉱山から出てきた痕跡を見つけました。
一体中にはどんな危険が待ち構えているのでしょうか。

この鉱山は非常に実用的な造りで、装飾もなければ余計な手間もかかっていません。
通路はドワーフの背丈に合わせて掘られているため、人間たちは中腰になりながら進むしかありませんでした。

アウストリはドワーフらしく、先頭に立って一行を先導します。
至る所にオークが逃げ惑った痕跡があります。
アウストリとモリエルは、血の跡がべっとりついている方向を見つけました。どうやらこちらからオークたちは逃げていたようです。
警戒しながら先へ進むと、巨大な鱗が落ちているのを発見しました。その鱗はぬめぬめとした体液に覆われています。
これほどの鱗の持ち主は一体どれだけの大きさなのだろうかと皆が思案している時、伝承知識に詳しいイムナチャールがとある伝承を思い出しました。

フォルンオストは尋常の手段で落とされたわけではない。アングマールの魔王は、自分に恩義がある恐るべき怪物をこの都に差し向けたのだ。あらゆる光と命の敵であるこの存在が、都の護りをかき乱し打ち崩した。そうして幽鬼の王への恩義を返した後、この存在は逃げ出した北方王国の王を追って地の果てへと去って行ったという。

一行はドワーフの館の図書館で得た情報と照らし合わせます。
そう、まさしくこの古いドワーフの鉱山こそ、北方王国最後の王が逃げてきた場所なのです。
つまり、千年前の大戦の怪物もまた、この地に来ているはずです。
不安に駆られ思わず身震いする一行でしたが、勇気を振り絞り恐怖の源の方向へ歩を進めます。

打ち捨てられた鉱山は探索するだけでも危険で、ドワーフたちの助けがなければ無傷で進めることはできなかったでしょう。

そうして鉱山の奥の奥までやってきた一行は、やがて長い下り階段に行き当たります。
一段一段はとても狭く、踏み外したら下まで転落するほど急な階段でした。
慎重に下りた一行は、ついに鉱山の最深部に辿り着きました。

この開けた場所は自然洞窟となっており、半ば水浸しでした。
肉が腐ったような悪臭が鼻をつきます。
カレンがランタンで洞窟を照らすと、至る所に骨が散らばっていました。

不意に、暗い闇の向こうから、不気味なシュウシュウという音が聞こえました。一行は蛇に睨まれた蛙のように背筋が凍りつき、一歩一歩進むだけで大変な労力を必要としました。
そしてランタンの光を反射し、闇の中に光る目が浮かび上がります。

ついに太古の獣がその姿を現しました。
それはとても巨大な大蛇でした。
胴体の太さだけでもアウストリの背丈と同じくらいあります。

太古の獣と対峙する一行

犠牲者の骨の山でとぐろを巻いていた大蛇は滑るように動き出し、新たな獲物を求めて素早く襲い掛かってきました。

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