イノベーターズクラブ最優秀チームインタビュー:個々の強みと共通の関心から生まれた、ビジネスモデルとチームワーク
個々の強みと共通の関心から生まれた、ビジネスモデルとチームワーク
VISITSでは「デザイン思考テスト」の上位者を対象に、「イノベーターズクラブ」という長期的なプログラムを実施しました。期間は2019年の年末から2020年5月の約半年間。学生3〜5人がチームを組み、本質的な社会課題を発見します。本プログラムでは、その解決策を企業訪問やメンタリングを通じて事業アイデアにしていきました。今回は優勝したteam1の野田拓人さん(一橋大学)、川島里沙さん(多摩美術大学)、妹尾豪士さん(東京工業大学)、福島広大さん(東京大学)に「イノベーターズクラブ」で得た経験や感じたことについて伺いました。
異なるバックグラウンドと共通のテーマから理念を生み出す
ーー最優秀賞受賞おめでとうございます。みなさんが「イノベーターズクラブ」に興味を持ったきっかけや理由を教えてください。
野田さん(以下、敬称略):HELLO, VISITSからのメールがきっかけです。ちょうど就職活動直前で事業立案に興味があったので、一つの実践の場として参加してみようと思いました。
福島さん(以下、敬称略):私は「デザイン思考テスト」を受けるという独自の取り組みがおもしろそうだったからです。エッジが効いた学生が集まる場で良い出会いがあるといいな、と思って参加しました。
川島さん(以下、敬称略):私のきっかけもメールでした。詳細を見ると名だたる企業名が並んでいて。「このプログラムはすごそう」という興味から参加してみました。
妹尾さん(以下、敬称略):私はTwitterの配信がきっかけです。希望職種がエンジニア系なので一般的な就職活動はしませんし、起業や創業も今は考えていません。それでも将来エンジニアとして設計に関わっていく身として、テクノロジー系ではない人がどんな発想でビジネスを考えるのか知っておいた方が、今後の仕事に役立つかなと思って参加を決めました。
――team1のみなさんは、「好きから始まるイノベーション」と題して、子ども用スマートカメラ「あのねCam」を起案されました。このサービスを考えた背景や思いを教えてください。
野田:私たちは今回「誰もが好きなことを見つけられる社会を目指します」を理念として掲げています。この理念については、何度も議論を重ねました。「子どもの好奇心や興味をどう育てていけば、自分の好きなものを見つけて楽しく学べるか」は、異なるバックグラウンドを持つ私たちに共通する関心のあるテーマです。それをベースにして事業モデルを考え、個々の意見をもとに詳細を変更していきました。
プレゼンやメンタリング、初の経験は事業と自分自身を成長させた
――事業を考えていく上で、何が大変でしたか?
野田:バックグラウンドが違うからこそ、ビジョンの共有は苦労しました。それに、みんな日々の過ごし方も違うので、集まる場所や進め方は試行錯誤しました。
妹尾:アイデアを誰かが形にしなければなりませんから、一人ひとりの努力とチームでの協力の双方が必要であることが大変でした。ゼロからスタートするので役割分担すら難しい……。同じ技術や言語を持った仲間と開発するプロジェクトとは、まったく異なる経験でした。
――特に印象に残っていることはありますか?
妹尾:人生初のプレゼン経験です。研究成果を淡々と発表するときと違って、サービスの魅力や優位性を説明するのが新鮮でした。
川島:メンタリングが印象に残っています。Googleの社員の方々やVISITSの山中さん(元IBM戦略コンサルティンググループ シニア・マネージャー)からのフィードバックは、的確かつとても想いがあるものでした。時間をかけて考えてきたものだからこそ、フィードバックを納得しながら聞けました。「深く考えられていなかったんだな……」という反省もありつつ、視点の鋭さに圧倒されました。「頑張ろう」と思えましたね。
――最後に、この「イノベーターズクラブ」を通して、どんな学びや気づきがあったかを教えてください。
野田:同年代の学生だけで事業案を形にすることができ、とてもいい経験になりました。VISITSの松本社長が「これを50回、100回、200回とやるんだ」とおっしゃったことが強く印象に残っています。就職先でも何度も失敗や改善を繰り返していくんだろうな、と覚悟しました。経験を重ねてスキルを身につけ、いつか課題解決につながるビジネスを生み出せたら、と思います。
福島:異なるバックグラウンドを持つチームでは、個々の考え方や大切にしていることが違います。各々の考えを尊重しつつ合意形成していく経験は、興味深かったです。新たな出会いにも価値を感じました。普段会えない人と出会うことで視野が広がりました。今回の出会いをきっかけに、さらに広く深く、新しいことに挑戦していきたいです。
川島:知らないことがたくさんあることに気付き、言われたことを素直に受け止めようと思えました。自分のキャリアは明確に決めていませんが、今回のようにチームで何かを成し遂げたいので、今回の経験は必ず将来に活きると思います。
妹尾:今回は「完璧よりも終わらせる」「100%の正解はない」という価値観を学べました。理系の研究をしていると、具体的な数値や指標で課題設定します。でも実際のビジネスには、100%の正解でなくとも与えられた環境の中で価値を生み出すことが重要なんだと知りました。
―team1のみなさん、ありがとうございました。