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4/29夜・5/7夜【仁義なき幕末 令和激闘編】時代が変わっても、信念を持っていられるか

サンシャイン劇場で観劇をするなんて10数年ぶりかもしれない……と思いながら、サンシャインに向かった。GWの池袋、駅からサンシャイン通りの混雑もすごかったけれど、サンシャイン内の混雑はすさまじかった。
近くでやっていた“プラレール博”の家族連れ行列を横目にサンシャイン劇場へ!(千穐楽は、吉田メタルさんのアドリブシーンにプラレール博が出てきて笑った)

最初は4/29の夜公演だけ鑑賞するつもりだったけれど、どうしても東京千穐楽も目に焼き付けたくなり、結局追加で当日券を買った。仁幕で始まり仁幕で終わった素敵なGWだった! 
前半に「演出やキャラクター(役者さん)について」、後半に「ストーリーについて」書いていきたいと思う。

久々のサンシャイン劇場とっても良かった!

概要

◇日時
東京公演:2023年 4月27日(木)~ 5月7日(日) サンシャイン劇場
大阪公演:2023年5月18日(木)~ 21日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

◇特長
“映画+舞台を融合させる新時代エンターテイメント”、東映ムビステの第5弾企画。舞台の前編にあたる映画『仁義なき幕末-龍馬死闘編』は3/25に公開された。

◇公式サイト

以下、個人の感想となります。ラストまでのネタバレが多く含まれてるので未鑑賞の方は避けていただければと思います。

想像よりも、華やかでコミカルな舞台

映画はわりとシリアスだったので、歌やダンス、映像の華やかさコミカルなシーンが多いことに驚いたし、良い意味で裏切られた!

セットは変わらないのに、映像で時代がわかる

進撃ミュでも思ったけど、舞台+映像投影がすごく良いなと。簡素な建物がいくつか立っているだけでセットは最後まで変わらないんだけど、そこに映像を映し出すことによって色んな景色が見れた。カラオケとかネカフェのある現代の繁華街の街並みだったり、江戸時代の街並みだったり、youtubeの中だったり……映画のシーンも映してくれて、物語がリンクする演出もとても良かった。

歌、ダンス、ヤンキーダンス!

任侠ものと思ってたので、冒頭から歌・ダンスがたくさんで驚いた! 
主役の大友一平(和田琢磨さん)の妹の小夜(水谷果穂さん)が、組の持っているクラブの歌い手っていう設定があるからなんだけど、青いドレスで歌って踊る。
特に登場時の最初の曲と、最後の殺陣シーンで歌う曲が好きだった(でも、もうメロディを思い出せない😢)

最後の曲、カーテンコールでも同じ曲が使われてたと思うんだけど、ちょっとスーパーのお肉コーナーで流れてる音っぽかったww

△ダンサーもいて華やか! ミュージカルのようですごく楽しい気持ちに💃💕

それから、坂本龍馬(松田凌さん)と中岡慎太郎(赤澤燈さん)のコミカルなシーンが本当に大好き。ヤンキー(ギャル?)に絡まれた時に即興でダンスバトルが始まるんだけど、そのシーンが可愛くて可愛くて、しかも毎回少しずつ違ったようで、あと一時間くらいやってて欲しかった……!

殺陣に圧倒。斬るシーンのリアルさ

殺陣はあまり詳しくなくて、Twitterで見かけた感想を読んでそのすごさに注目したのだけれど……やっぱり生で見る殺陣には圧倒された。
大人数での殺陣シーンもありながら、2~3人で組んで戦い→戦いながら下手にはける→上手から別の2~3人が登場……という感じで、入れ替わり立ち代わりどんどん続くので、観ていて本当に飽きなかった。場位置と移動が完璧に練られて、フォーメーションダンスに似てるのかなと思った。殺陣のシーンがあれだけ多いと、どのシーンがどの型がわかんなくなったりしそう、めちゃくちゃ稽古するんだろうな。

初日以来、話題になってた沖田総司(本田礼生さん)の殺陣は本当に綺麗だった。坂本龍馬(松田凌さん)の重心の低さもすごくて、体小さいのにダイナミックだし、たまに足元に刀が来たときに「ヒョイッ」って飛んで避けるんだけど、その「ヒョイッ」が軽やかですごく良くて、何度も何度も観たくなってしまう。笑 
人を斬るシーンは本当に刺すわけにいかないので、斬られている人の体で刀を隠して斬っているように見せるんだけど(←うまく説明できない)、これも本当にうまい! 喉あたりに刺すときはちゃんとその位置になってるし……(喉に刀を突きさすシーンはビクッとなってしまう)

どのキャラクターも魅力的でみんな好きになってしまう

それぞれのキャラクターが、両時代を一生懸命に生きていて愛おしい。映画も観たし、舞台挨拶まで行ったので、役者さん自体にも思い入れが……。以下、特に気になったキャラクターについて。

坂本龍馬(松田凌さん)

龍馬については後述。ひとつだけここに書きたいのは、松田凌さんの白スーツパンツがわりとパツパツで……ww 殺陣のシーンとか、足開いたり、お尻向けて突き出してくると、今にも破けそうで裂けそうでハラハラした。もうワンサイズ大きい衣装にしてあげてほしい……けど、あえてなのかな?🫶ww

沖田総司(本田礼生さん)

重心の低い殺陣が本当にきれいで、刀をふるときは一本にまとめた髪の先まで美しい。幕末を生きていても、結局病気で死んでしまうこと&原田左之助が新撰組を去ることを知って、苦悩する姿がとても良かった。

桂小五郎(岡宏明さん)

映画ではあまり出てこなかったけど、舞台ではフューチャーされてた。「逃げの小五郎」として歴史に残ったことを知ったからこそ、令和では功績を残そうと迷いがなかった。
途中で「長州が幕府に勝つなんて誰が思った?」ってセリフがあるけど、これすごく好き。何かを成し遂げようとするとき、常識をベースに考える必要はないなと思わせてくれるいいセリフ。そして岡さんの超小顔&等身がすごすぎて…… 生で見ると「人間?」となった。笑

伊達唯臣(鈴木勝吾さん)

「ミュージカル薄桜鬼」で、風間千景役を演じた役者さんだと知っていていたのだけど、あの狂気とはまた違う狂気が印象的だった。唯一「殺し」にエクスタシーを感じ、敵味方とか、仁義とか誠とか関係ない人。笑 二度目観たときには、狂気っぷりと刀さばきがパワーアップしていて、より楽しそうに人を斬っていた。

尾崎水月(木津つばささん)

「舞台 東京リベンジャーズ」の花垣武道役で知った役者さん。タケミッチーと似た部分があるなあと思ったんだけど、兄貴を慕う「子分感」と「ツッコミ力」がピカイチだった。幕末入門のくだりとか本当に面白くて、中岡慎太郎と同様にコミカルで良かった(マイキーも同ステージに立ってるの面白い)

大友小夜(水谷果穂さん)

何気に感情を追うのが一番難しいキャラクターだったと思う。兄と恭次をどっちも大事に思っていて……そんな兄が恭次さんを殺してしまったと知ったからといって「兄を殺して」となるものなのか。そのあたりの感情が、私はあまり理解できなかった。
それから、小夜は衣装変えがあったら良かったなと思った!笑 水谷さんがとっても可愛らしいので、単純に他の衣装も見てみたかったし、ずっとクラブで着てるドレスなのもちょっと不自然? ただ舞台映えしていたし、青いドレスはヒロイン感あったけど👗

誤字確認でお名前は調べたけど、調べなくても大体のキャラ名を覚えているのは、舞台横のビジョンに名前が出たのが大きいと思った。肩書き、誰が死んだかが文字で読めたのはすごく分かりやすかった。

ここからは、ストーリーについて。

時代が変わって戸惑う人、切り拓く人

幕末の時代から、令和にタイムスリップするというファンタジー。土佐藩士の龍馬・中岡、新撰組の土方・沖田・原田、長州藩士の桂、そして令和→幕末→また令和に飛んだ伊達唯臣の7人が、令和の時代でそれぞれの反応を見せるのがとても面白かった!

時代が変わっても、信念を持っていられるか

映画で令和→幕末へ、舞台で幕末→令和へ飛ぶんだけれど、「時代や価値観がかわっても、何を信念に生きていくか」みたいなことがテーマだったのかな、と思いながら観てた。
これは私だけかもしれないけど、映画「龍馬死闘編」では、主役の坂本龍馬よりも大友一平のほうが魅力的に見えた気がして。松田凌さん推し推しフィルターをかけても、和田さんの役のが輝いて見えた。
でも、舞台「令和激闘編」だと逆に思えた。主役は大友だけど、龍馬が魅力的だった。龍馬の圧倒的存在感。なんでだろう? と帰りの電車で考えてたんだけど……映画版の大友は「絶対に令和に帰る」「時代に飲み込まれるな」という信念があったのに対し、舞台版の大友は最初から最後まで迷いがあったからじゃないかと思った。タイムスリップした幕末で、ずっと親友だった村田恭次を殺してしまったという感情。

どの時代にいても、信念がブレないキャラクターがより魅力的に見えたのかな。迷っている大友も人間らしくて良かったけど。

村田も竜馬も「前を向いて切り拓いて行ける人」

土方(石黒英雄さん)の「あんたの誠はなんだ」「戦うに値する組織なのか」というセリフも印象的だった。突然、知らない時代に連れてこられて戸惑うのは普通で、何を信念に戦えばいいか誰にもわからない。切り替えて生きていける人なんているんだろうか? と思う。

そんななかで、
映画版の村田→「俺が竜馬に成り代わって、日本の未来を切り拓く」
舞台版の竜馬→「令和の日本を変える。世界へ出ていく」(日本のことを、こん国、と連呼する土佐弁が可愛かったw)

二人だけが切り替えて、置かれた環境の中で次の目標を見つけていたように思う。入れ替わった二人は、偶然にも似ているのかなと。
舞台版で、信念が一番強いのが龍馬だったんじゃないかと思う。だからきっと、最後まで生き残った。

△令和に来ても前向きで、Youtubeで幕末~令和を学ぶ龍馬さん!笑 本当にタイムスリップしたら、こんな人だったんじゃないかと思ってしまう。

大友-村田と、龍馬-中岡の対比

大友-村田のバディ感と対比で描かれているのが、龍馬-中岡の関係性なのかなと思った! 相手に対して「自分たちの時代に戻らずに、この時代でやっていくつもりなんじゃ……」と不安になる部分が同じだったように思う。
中岡が斬られて死ぬシーンで、龍馬(松田凌さん)がボロボロと涙を流す演技をしていたらしく。オペラグラスとか持ってなかったので、私は残念ながら見えなかったんだけど、泣く演技を毎回するってすごい。

大友→村田への、憎しみのような、でも強い愛情のような感情は、全部理解できたわけじゃないんだけど……「相手のことが好きでたまらないから、違う方向を見るようになったのが許せない」ってことは、幕末じゃなくてもあるよなぁと思った。同じ学校の友人だったのに卒業したら違う方向を向いてしまったとか、人生のステージが変わって話が合わなくなったとか。(だからといって殺しはしない。そこが仁義ない……w)
尾崎→大友、沖田→原田も、同じものを目指していたはずなのに、相手が変わってしまった、という感情を持っていたように思う。

20列目センターから見えた舞台の美しさ

観劇一回目は一階席の12列目だったのでわりと近かったんだけど、二回目は1階席20列目というほぼ最後列。あんまり見えないかなーと思ってたんだけど、この20列目、ド・センターだったのもあり、定点カメラのような気持ちで舞台全体を観ることができてすごく良かった!

特に、うわ~きれいだな! と思ったのは、後半でこの二人が並んで決意新たにするシーン。煙草の火を貰い、二人並んで吸うシーン。

△ 照明が、少しずつ白く明るくなったのが遠目だから分かった!(日本の夜明け感があった) ものすごく綺麗だった。

ラストシーンの桜の演出は「薄ミュ」由来?

ラストシーンで桜が舞い続けるけれど、「ミュージカル薄桜鬼」(※1)の演出と、かけてるんだと思う。演出が同じ毛利さんなのでね(って言ってるけど、薄桜鬼は最近観たばかりのド初心者。薄ミュも相当グッときたので、改めて記事にしようと思う!)
桜が散る中での殺陣、その後ろで小夜が青いドレスを纏って歌うシーンの美しさは結構くるものがあった。これは11年前の薄桜鬼から応援してる人は、本当に胸熱だろうな……。

無音のラストシーン

ラストの場面は無音にこだわっていたのかな? と思った。下手にいた蘭月童子(荒川ちかさん)が、笑顔になったのが見えて、“ここであの高笑いが入ったら雰囲気ぶち壊れるぅ!!!!” と一瞬ひとりで焦ったんだけど、ちゃんと無音で笑ってた。

「元土佐藩士 坂本龍馬死亡」のテロップが出たときだけ効果音がなかったのもすごく良かった(他の人が死亡した時には、必ずシュッて効果音が入った)。セリフ通り「ゆっくりおやすみ」ってことなのかな。桜が舞う中で、竜馬と大友がほとんど線対称に倒れているのは綺麗な絵だった。

そして、仁義なき結末へ!

舞台を観ながら、なんとなく、大友が親友の大切さに気付いて、すべて元通りになるハピエンなんじゃないかって予想してたんだけど、裏切られてびっくりした。最終的にみんな死んじゃったよ……という。
やっぱりこのシリーズは“仁義ない”。それが、小夜の「ヤクザなんて大嫌い!」に繋がっているのかな。小夜はきっと強く生きていくんだろうな。

みんな、まっことよう寝て欲しい。

パンフレット読み応えがあった🥺
恭次も龍馬も良かった🫶
なんで同じシリーズなのにサイズ同じにしないんだ! と突っ込んでたんだけど、もしかして江戸時代の人の身長を考えて作られてる???


カーテンコール、松田凌さんの口いっぱい広げて言う一生懸命な「ありがとうございました!」が素敵だった👏👏👏

大阪公演も盛り上がりますように。


※1 「ミュージカル薄桜鬼」(以下、薄ミュ)

2012年4月に上演された、ゲーム薄桜鬼のミュージカル版。“歌って踊る新撰組”という新たな試みが話題になった。作・演出が、仁幕なき幕末と同じ毛利亘宏さん、シリーズ最初の『ミュージカル薄桜鬼 斎藤一編』の主演・斎藤一役に松田凌さん、風間千景役に鈴木勝吾さん、その他に矢崎広さん、小野健斗さん、柏木佑介さんなど、多くのキャストが被っている。
さらに薄ミュの初日が、11年前の同じ日・2012年4月27日、同じ池袋サンシャイン劇場だったことにより、当時を知るファンからはエモいとの声多数。薄ミュメンバーだけのアフタートーク会も用意されたほどで、特に薄ミュが初舞台・初主演だった松田凌さんは「感慨深い」という発言をいたるところでしている。(小野健斗さんは、仁幕でも薄桜鬼でも原田左之助というプチ情報)

△ 有料だけどこちらで観れます! めちゃくちゃ良かったのでおすすめ。新撰組に特に興味なかったのに、仁義と薄桜鬼により新撰組を好きになりそう……笑

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