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獣ゆく細道
人生グラフみたいなので表すなら、いま谷底にいる。あらゆる困難が一気に起こって、おそらく現状の自分が体験できるかぎりのドン底に着いてしまった。
こういうときに見える世界って真っ暗だと想像していたけれど、違うな。真っ白、更地だった。
私は楽観主義者なんだろうか。
悔しさ、惨めさ、情けなさ。全部が通り過ぎて、いま。
さて、見渡すかぎり何もない。どうしたものか。
丸腰の命をいま野放しに突っ走ろうぜ
そうか、丸腰だな。
無けなしの命がひとつ
どうせなら使い果たそうぜ
かなしみが覆い被さろうと
抱きかかえて行くまでさ
借りものの命がひとつ
厚かましく使い込んで返せ
さあ貪れ 笑い飛ばすのさ
誰も通れぬ程狭き道をゆけ
聴きながら泣けてきた。
行くか。
恥ずかしくても。怖くても。
厚かましく。
どうせなけなしの命なら。
いつかの私に笑い飛ばしてもらおうじゃないか。