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熊みたいな熊

警備員をしている熊みたいな熊がいる。
警備員をしている熊みたいな熊は、自己紹介をする時にいつも少し困る。
一般的な熊と同じ印象をもたれると、少し違う。一般的な警備員に対する彼らのイメージどおりでもない。
どうやって自分自身のことを適切にわかってもらえるように言ったらいいのか迷うが、どう転んでも警備員をしている熊みたいな熊なのだ。
だから警備員をしている熊みたいな熊であると説明をして、彼らが想像する警備員をしている熊みたいな熊で、概ねその通りなのかといえば、警備員をしている熊みたいな熊は制服を着てはいないが腕章はいつも右腕につけていて、耳から家が飛びだしていて、指の一本は虹なので、彼らにとっての、警備員をしている熊みたいな熊からはやはり大きくそれている。
それでは、制服を着てはいないが腕章はいつも右腕につけて警備員をしていて耳から家が飛び出した一本の指が虹になっている熊みたいな熊は、彼らが想像する、制服を着てはいないが腕章はいつも右腕につけて警備員をしていて耳から家が飛び出した一本の指が虹になっている熊みたいな熊に持つ印象通りなのかといえば、その存在は彼らができうる想像を大きく超えてしまい、訳がわからないものに対する畏敬と無関心に飲み込まれ、ゆっくりと彼らの頭の中からいなくなってしまう。
誰からも忘れられた、制服を着てはいないが腕章はいつも右腕につけて警備員をしていて耳から家が飛び出した一本の指が虹になっている熊みたいな熊は、まさに、誰からも忘れられた制服を着てはいないが腕章はいつも右腕につけて警備員をしていて耳から家が飛び出した一本の指が虹になっている熊みたいな熊であるので、自分は、誰からも忘れられた制服を着てはいないが腕章はいつも右腕につけて警備員をしていて耳から家が飛び出した一本の指が虹になっている熊みたいな熊であると自己紹介をするが、相手はすっかり興味を無くしているので、言葉は宙に浮いたまま誰にも受け取られず、時間がきて無くなっていくまでじっと耐えている。

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