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連日の疲れのせいか、どうにも眠気がなくならず、壁ぎわで薄い毛布にくるまってうとうとしている。
先ほどから部屋を歩き回っている猫の足音がずっと三三七拍子である。三歩歩いてふと止まり、また三歩進むと止まる。それからしばらく間を置いてトトトと勢い良く歩くのが七歩分である。それをずいぶんと繰り返しているが、こちらも夢現でどの位なのかはっきりとしない。トトトン、トトトン、トトトトトトト。トトトン、トトトン、
重いまぶたをどうにか薄く開けると、猫が窓の外を見上げている。隣家の生い茂った木々の向こう側で、青空のなかをイワシが群れながら飛んでいる。

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