机の上に
女は木製の机の上においたらしい箱を見守っている。
正面に座り、じいっと見ている。
箱の形は、30センチばかりの正方形になったり、やけに横に長い薄っぺらな長方形になったりした。
ときどき、なかに入っているものを想うと、箱の素材がそれにあわせて変わっていた。
カラフルな小さな花がたくさん散らばったフェルト生地が一番だったが、もっと胸がドキドキして興奮するような素材があるのではないかと思っている。あるときは七色に透き通ったジェルはどうだろうと思ったが、なかに何が入っているのか想像もつかなかったので、断念をした。箱のなかには入っていなければいけないのである。
箱のことだけを考えてるときが女にとって最良の時間だったが、箱について考えること以外、やるべきことはなかったので、女はいつも幸せなのだ。起きている間、ただただ机の前にすわっていることで!
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