私

どこまでも膨れ上がって透明な私は、空であり、風であり、土であり、ビルディングであり、アスファルトに転がる小石であり、四輪車であり、マスカラを塗られたまつ毛であり、沢蟹であり、甘い和菓子であり、欠けたプラスチック片であり、漂う煙であり、折り紙であり、少しも弾まないゴムボールであり、小さな小さな菌糸であり、お前であり、わたしはわたしであり、無であり、有であり、どこでもあり、何であり、気合であり、始まりであり、終わりであり、だからであり、猫であり、犬であり、こんにちはであり、ぬであり、知識であり、地球であり、一杯の珈琲であり、それは全く以て宇宙であり、そこはそこで、あれはあれ。