水蒸気
アルバム曲シリ〜ズ。
「水蒸気」は、今作の中では「ぜいたく」と並んで古めの曲で、去年の春先にはあった曲みたい。
ぜいたくも水蒸気もそうだけど、その頃僕の「趣味ソング」的な、言うなれば派手じゃない子たちが数曲できていて、そういう曲たちは僕がただシンプルにつくりたいだけの、本当に作為のないものなので、自分的にはデモができるともう満足して、しかるべきタイミングでアルバムに入ればいいかな、というくらいの心づもりでひとりで散歩しながら聴いてたりするんですが、笑
今年に入り、6ヶ月連続配信も進み、いよいよアルバムの足りないパーツを探そう、というタイミングで、水蒸気もぜいたくも、メンバーが「これいいよね」と拾ってくれたのでした。
僕的には、やった、選ばれたラッキー!ぐらいの感じでしたが、笑
今作Xanaduには、"80s"と”シティポップ”という明確なトータルイメージがあったので、アルバム曲もそこからかけ離れない曲を選ぼうとは思っていて、
奇しくも水蒸気もぜいたくも、近いニュアンスを持った曲たちだったので、無事収録された、という経緯です。
で、この水蒸気は、デモの時点でフル尺、細かいアレンジの部分までかなり完成形に近い状態でした。
でもなぜか最初のデモはベースレスでした。謎。
もうこの曲はとにかくサビで「すいじょうき〜」と言いたい、歌いたいというのが肝だったと思います。なぜ思いついたのか、この曲も全く覚えていません。
ただ、メロディーとほぼ同時くらいに、歌詞がほぼ完成形と変わらないかたちで出来ていたはずです。
僕としては勢いでつけてしまった仮の歌詞という認識だったんですが、言葉のハマりには自信もあったので、これは僕が書く、と言い、ちゃんと書こうと思い手直しをして延本に持って行ったところ、
「ぜんぜんよくない」と。笑
「元のままがいいじゃないか」と。
これは、あるあるです。。
勢いで出来た歌詞には、どうにも後から直しようのない魔力みたいなものがあることが多くて、
そういうのは、理屈や辻褄を超えてくるんですね。
そこを生真面目に直そうとすると、いつも失敗します。笑
後になって、そういう歌詞は自分でも好きになります。
2サビなんかは特に、理屈とかじゃなくなんとなくなんですが、なんだかすごく気に入ってます。
アレンジでいうと、ユーミンのNo Sideのような、曲の持つ"静寂"をとにかく大事にしようと思い、音数は極力少なくしたし、中村さんのMIXも静寂を最大限に生かしてくれる音処理で、リヴァーブとか、本当に感動しました。
この曲とぜいたくは、メンバー全員がおそらくこれまでのバンド曲史上最も繊細で大人なプレイをしていると思います。20代前半では絶対やれてなかったアンサンブルだと思います。
自分的なグッジョブは、サビのピアノのフレーズを思いついたことです。
こういう針の穴に糸が通るようなフレーズを、今作ではたくさん思い付くことができたような気がしています。
RECは確か7月、plasticと同じ日に録りました。
歌は時間が足りなくて、後日Studio DigでTellyに録ってもらいました。
あとはなんといってもアウトロを聴いてほしい。笑
Xanaduの中ではアイス、恋はじ、水蒸気、ぜいたくと、超力作の長いアウトロの曲が揃っています。
多分、僕はアウトロづくりがすごく好きなんだと思います。。
水蒸気のアウトロには、レコードノイズが徐々にかかっていきます。
これは、曲順を決める段階で、人後の鱗の長いイントロに同様の処理をしていたことを踏まえ、曲のキーも同じだし、ひと続きになるような仕掛けを、ということで思いついたのでした。個人的には今作の肝煎りこだわりポイントです。
ということで、水蒸気、これが好き!という声を、思ったよりたくさんもらうので、とっても嬉しいです。
アルバムXanadu引き続き、お楽しみください!