見出し画像

終末アイドル育成TRPGセイレーン TGFFシナリオ『ラストソング』

こちらはTGFF2023秋祭でGMした『終末アイドル育成TRPGセイレーン』のシナリオを公開用にアレンジしたものになります。90分でセイレーンを楽しめるよルールに大幅な変更を加えています。変更内容については「▼レギュレーション」をご確認ください。


GM用情報

▼シナリオデータ

プレイ時間:90分
PL人数:2~4

▼タイムスケジュール(90分)

・オープニング[キャラクター解説とボスとの因縁を即興でやってSP配布と成長を行う](30分)

・メインパート[乗船してから戦闘までの演出をして2回目の成長を行う](10分)

・戦闘[1人2手番目安](40分)

・エンディング(10分)

▼レギュレーション

・シナリオ付属のサンプルキャラクターを使用する

・武器攻撃なし

・装備データなし

・プロデューサー不使用。セイレーンのみ。

・オープニングでもSPを渡すことができる

・育成失敗時の能力値減少なし

▼シナリオ概要

 日本近海を航行中の豪華客船が、紛れ込んだAlgo-nautに襲われた。乗り合わせていたセイレーンである”彼女”に対処が任されたが、彼女とも船とも連絡が途絶えてしまう。
 乗客の生存は絶望的であり、日本にAlgo-nautを上陸させないことを最優先に考えた上層部の判断により特殊部隊を送り込んで、秘密裏に船を沈める作戦が立てられる。それを察知した依頼人により”彼女”を救う任務がPC達に与えられる。

オープニング

 オープニングでは各PCのキャラクター紹介を行う。この時、”彼女”との因縁も演出する。
 全員のキャラクター紹介が紹介が終了したら、場面を大型ヘリの中へ移す。これまでのキャラクター紹介をヘリ内での回想あるいは独白として演出し、ヘリに同乗している依頼人がPC達に依頼内容の詳細を話し始める。
 
 日本近海を航行中の豪華客船がAlgo-nautに襲われた。豪華客船には”彼女”が乗り合わせていたため、”彼女”にAlgo-nautの対処が任されることとなった。しかし、彼女との連絡が途絶え船からの通信も完全に沈黙してしまった。
 乗客の生存は絶望的であり、日本にAlgo-nautを上陸させないことを最優先に考えた上層部の判断により、船に特殊部隊を送り込んで、事故に見せかけて秘密裏に船を沈める作戦が立てられている。”依頼人”は作戦を知り、作戦が決行される前に”彼女”を救出するべく、ヘリを手配してPCと傭兵達を集めたのである。

 ”依頼人”は”彼女”を救出すること、それが不可能であれば人として殺すことをPC達に依頼する。
 PCと”依頼人”のやり取りが終わったらシーンを終了する。育成の処理を行い、「▼メインパート」へ移る。

●セリフ:”依頼人”
 「先刻、日本近海を航行中の豪華客船がAlgo-nautに襲われた。豪華客船には”彼女”が乗り合わせていたため、”彼女”にAlgo-nautの対処が任されたが。しかし、彼女との連絡が途絶え船からの通信も完全に沈黙してしまった。」

 「船内に生存者がいる可能性は絶望的で、最悪の場合、船そのものがAlgo-nautに乗っ取られる可能性がある。そうなれば、どこへ行くかも予想がつかない。世論の批判を避けつつ日本への上陸を阻止するため、特殊部隊を送り込んで船を沈める。それが上の判断だ。」

〈※この上(上層部)についての詳細は決めていない。MCA(ブルー・サンクチュアリ参照)か出資者かなど上の詳細についてはGMが決める。〉

 「私は、上の判断は合理的だと理解している。しかし、彼女が無事である可能性にすがってしまう。全く合理的ではないのだろうが、機械のように正しいだけの判断など受け入れられないのだ。」

「もし彼女が人ならざるものになっていて、救出も不可能だった場合は、せめて尊厳だけは守ってやって欲しい」

「作戦としては、このヘリから船に乗り込み、彼女を確保したらこのヘリで離脱する。作戦に当たって、信頼できる傭兵を雇っている。戦闘は彼らに任せてもらえばいい。君たちは彼女を確保することに集中してくれたらいい。」

メインパート

 PCと傭兵達はヘリから船に乗り込み、”彼女”を探して船内を進む、道中にはAlgo-nautに侵食されている影響からか、壁に頭を打ち付け続けたり、床に倒れながら震えるなどの奇行を起こしている人やPC達が目に入った瞬間襲い掛かってくる人などに溢れており、もはや理性を保った人間は居なかった。傭兵たちが道中の敵を無力化しながら彼女を探す。

 船の奥へ進むと、なぜか意識がない状態で倒れている人が目立つようになり、そうした人が多い方向へ進んでいくと、公演などが行われるホールに行きついた。扉を開けて中に踏み込む。電気が落ちていてよく見えないが、大ホールの舞台上に三角錐の天幕のようなシルエットがわずかに揺らいでいた。
 傭兵がシルエットにライトを向けると肉の塊のような物体が脈動している。その上部に下半身が埋まった状態で彼女はいた。
 彼女がPC達に気が付くと、突如として電気が付き、全容があらわになる。パイプオルガンが備え付けられた大ホールの舞台上に縋りつくような姿勢の人々が山を作り、その全体を薄い膜のようなものが覆っている。悪趣味なドレスのような人の山の頂点にいる彼女は無機質な表情のまま語り掛ける。

「(PC達の名前を呼び)助けにきてくれたの?それとも駆除されるのかしら?」

と問いかける。ドレスの中のいくつもの顔が彼女の言葉を復唱し、その声はホール全体に響き渡る。様子がおかしいが意識があるならまだ助けられるだろう。

しかし彼女は、”大切な人”がAlgo-nautに取り込まれてしまったことを嘆き、Algo-nautの中にあるわずかな”大切な人”の意識と同化することを選ぶ。さらに、ここまで来てくれたPC達も取り込もうとする。

 PCと”彼女”のやり取りが終わったらシーンを終了する。育成の処理を行い、クライマックスへ移る。戦闘の詳細は「▼戦闘ギミック」と「▼エネミーデータ」と「戦闘ルール」を参照すること。

●セリフ:”彼女”
「あの人が飲まれてしまった。でも感じるの、意識だけはこの中で生きている。私はあの人と一つになる。あなたたちもこちら側へいらっしゃい」

クライマックス

 Algo-nautの侵食により精神汚染され、Algo-nautの本能のままPC達をも取り込もうとする彼女は、ドレス状の人の山から一部の人々を分離させPC達に差し向ける。さらにPC達の歌をかき消すようにドレスの中のいくつもの顔と共に歌い始める。いくつもの顔が発する不揃いなコーラスはホール中にこの世の物とは思えない不気味さと美しさを伴って響き渡る。

▼戦闘ギミック

・神経干渉値の減少量によってエンディングが変わる。

・”彼女”を生かしたまま、歌唱により神経干渉値を50削ると彼女を引きはがして助け出すことができる。この行動は宣言するだけで、いつでも実行できる。この行動を行うと即座に戦闘が終了して「エンディングA」に移る。
”彼女”を生かしたまま、歌唱により神経干渉値を100まで削ると完全に無力化して取り込まれた人々も解放される。即座に戦闘が終了して「エンディングB」に移る。

・PC全員が合意のうえ命令すると、傭兵が彼女を銃で殺害する。この行動は宣言するだけで、いつでも実行できる。この行動を行うと即座に戦闘が終了して「エンディングC」に移る。

・どのエンディングへ向かうかの選択を取るまでにPCに与えられた猶予がプレイ時間。時間切れになると「エンディングC」へ移る。

・戦闘中もRPによりSPを獲得できる。

・戦闘時の距離と移動の処理なし。

・行動値なし。PC優先、手番の順番はプレイヤーが任意で決めることができる。

・本シナリオで行える戦闘行動については「戦闘ルール」の項目を参照すること。

▼エネミーデータ

”彼女”
神経干渉値:0
体力:10
特殊能力:絶唱
 1ターンに1回、歌唱攻撃の達成値が確定したタイミングで、「絶唱」の使用を宣言することで、歌唱攻撃の達成値を-10することができる。
 「絶唱」の使用を宣言した際にプレイヤーがSPを1点消費することで「絶唱」による達成値減少の効果を1軽減できる。一度に最大10点までのSPを消費することができ、複数のプレイヤーがSPを出し合って合算することもできる。

ステージⅡ(群体)
神経干渉値:100
達成値:7
特殊能力:群がる
すべてのPCに攻撃する。この攻撃により1点でもダメージを受けたPCは、メンタルと持久を-10して、さらに次の判定に-30される。

▼エンディングA

(神経干渉値を50以上削った状態で彼女をAlgo-nautから引きはがすことを宣言する)
 Algo-nautの活動が鈍化した隙を逃さず、力ずくでAlgo-nautを彼女を引きはがす。離れることを拒もうと彼女は手を伸ばすが、最後の繋がりが切れたのと同時に気を失った。統率を失ったAlgo-nautは無秩序に暴れながらPC達に襲い掛かる。”彼女”を抱えてホールからデッキへ逃走し、近くの空域で待機していたヘリになだれ込んで船から離脱する。病院に運び込んで手術により体内に残っているAlgo-nautの細胞を取り除き、彼女は一命を取り留めた。
 しばらくして見舞いに訪れたPC達を彼女は以前と変わらない態度で迎えた。引退はしないという彼女壊れてしまっていることを感じ取っていた。

●セリフ”彼女”
「大丈夫。私はまだ歌える。あの人はここ(頭を指差して)にいるから」

▼エンディングB

(神経干渉値を100削りきる)
 Algo-nautは完全に活動を停止して乗客は解放される。”彼女”も”大切な人”も気を失っているがまだ息があるようだ。他の乗客は後から来るであろう部隊に任せて”彼女”と”大切な人”をヘリに載せて脱出する。病院に運び込んで手術により体内に残っているAlgo-nautの細胞を取り除き、2人は一命を取り留めた。
 しばらく経ってPC達は2人の見舞いに訪れた。”大切な人”は、まだ意識が完全に戻っておらず朦朧とした状態が続いているが、”彼女”は復帰に向けてリハビリに励んでいた。自分の歌が”大切な人”の意識回復への刺激になると信じて。

●セリフ”彼女”
「私はセイレーンだから。歌で魂を取り戻して見せる。」

▼エンディングC

(”彼女”を殺害する)
 傭兵が”彼女”の額を打ち抜く。”彼女”は鮮血を散らしながら、ドレス状の塊からのけ反り落ちて物言わぬ骸となった。統率を失ったAlgo-nautは無秩序に暴れながらPC達に襲い掛かる。PC達はホールからデッキへ逃走し、近くの空域で待機していたヘリになだれ込んで船から離脱する。
 依頼人はPC達の様子から全てを察して何も言わなかった。PC達が帰還したのち、Algo-nautに占拠された船が事故により沈没したというニュースが日本中に発信された。世間の”彼女”の評価は最期まで乗客のために戦ったトップスターという内容に落ち着き、尊厳だけは守られることとなった。


戦闘ルール

歌唱攻撃

 歌唱攻撃は通常の物理攻撃とは異なり、Algo-nauts などの神経干渉値を持つキャラクターに対してのみ効果がある攻撃手段で、対象の神経干渉値を減少させることに特化しています。神経干渉値を持つキャラクターは神経干渉値が0 になると、機能を停止します。

 歌唱攻撃を行う場合、以下のステップで処理が進みます。

1. 歌唱判定:
 次に、【歌唱】に判定修正を加えて達成値を求めます。判定に失敗した場合、達成値は0 となり、歌唱攻撃は失敗します。判定が成功すると、対象は回避を行わずダメージ計算の処理に移ります。

2. ダメージの適用:
 歌唱判定の達成値が発生するダメージとなります。発生したダメージだけ敵集団の合計神経干渉値を減らします。

3. 持久判定:
 歌唱攻撃を行った後、持久判定を行います。失敗すると全ての能力値が10 下がります。成功したなら変化はありません。【持久】か【メンタル】が0になると戦闘不能になります。

その他の戦闘中の行動

かばう:
 味方キャラクターが攻撃の対象になった時、回避判定を行う前に対象になっているキャラクターのうち1 人をかばうことができます。かばったキャラクターは、回避判定を行わずに、味方キャラクターへの攻撃を引き受けてダメージを受けます。自身とかばう対象が同時に攻撃を受けた場合、かばわれたキャラクターはダメージを受けませんが、かばったキャラクターは受けるダメージが2 倍になります。1 ターンにつき、かばうことができるのは一度だけです。この行動は手番を消費しません。

SPの獲得と使用:
 戦闘中も他のPCのRPにSPを渡すことができる。戦闘中のSPは”彼女”の特殊能力「絶唱」の効果を軽減するために使用できる。彼女が「絶唱」の使用を宣言した際にSPを1点消費することで「絶唱」による達成値減少の効果を1軽減できる。一度に最大10点までのSPを消費することができ、複数のプレイヤーがSPを出し合って合算することもできる。


サンプルキャラクター

 各プレイヤーはゲーム開始前に以下のキャラクターシートから1つ選び、名前・年齢・性別・国籍・出自と動機・関係(”彼女”とPCの因縁)を決める。
 出自と動機及び関係には表が用意されているので、そちらからロールorチョイスで決定しても、プレイヤーがオリジナルの設定を考えても良い。ただしいづれの方法で作成しても最終的にはGMの許可を得る必要がある。

キャラクターシートの見方

・灰色のスキルは解放済(基本スキルはLv3まで解放済)
・能力値の右側の()内の数字が上限値、左側の数字が初期値。ゲーム開始前は初期値から始まる。
・ゲーム開始時のSPは0。ヘルスは100。
・所持金の欄は使用しない

ラストソング専用キャラクターシート-歌唱特化
ラストソング専用キャラクターシート-バランス型
ラストソング専用キャラクターシート-回復特化
ラストソング専用キャラクターシート-歌唱サポート型
ラストソング専用キャラクターシート-火事場型

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?