チョコチップ事件
※この話はノンフィクションであり、実際に体験した話ではありますが、内容がとても下品な上、衛生的ではなく、また食事中の方は閲覧をお控え願います※
これは私が小学五年生の話である。
後にこれは『チョコチップ事件』として語り継がれることになる。
小学五年生の時、我が家に犬がやって来た。
犬種はポメラニアンである。
うちで初めて犬がやってきたのと、犬は元々体が弱かっただけあって当時はそれはもう犬ファーストで暮らしていた。
犬と暮らし始めて数か月経ったある日のことである。
小学校から帰宅した後に天候が悪くなり、外はどす黒い黒雲が立ち込めてきた。
その後から豪雨が降ってきた。
雷も凄まじく鳴り響き、雷雨でとんでもない天候になった。
外では、けたたましい雷の音、窓に打ち付けられる雨の音、当時はまだ小さかった私はとてつもなく怖がった。
怒号のような雷雨があまりに恐ろしく、咄嗟に私は普段家族で食事をするテーブルの下に隠れた。
夏場だったせいもあり、テーブルの下はひんやりして気持ちよかった。
小さな避暑地に逃げ込んだ私は、荒れ狂う雷雨が去るのを待っていた。
床に寝ころび、テーブルの裏を見ながら荒れた天候が治まるのをひたすら待っていた。
地べたに寝転がっていると、ふと床にクッキーのこぼれカスが落ちていた。
実は私が帰って来る前に来客が来ていたそうで、その時に母親は来客にクッキーを出していたようだった。
チョコチップクッキーである。
残念ながら現物は既に来客に全て出していたようで、残っていない。
小学生、そして私は食欲旺盛だったのでクッキーが残っていなかったのが残念だった。
ここからとても卑しく、とても行儀が悪いのだが、地面に這いつくばっていると、クッキーの残りカスと落ちていたチョコチップクッキーのチョコの破片を見つけた。
もう読んでいてお分かりだろうが、当時小学生の私は、床に落ちていたチョコチップの破片を食べようと思ったのだ。
本当に卑しいし、衛生的におかしいのだが、小学生の衛生観念(時代もある)が緩やか過ぎて無いに等しいのはご了承ください。
チョコチップを掴んだ時に、少しウェットな感覚だった。
季節は夏。気温で溶けてしまっていてもおかしくない。
指で掴むと指から伝わる温度でもっとチョコが溶けている感覚がする。
そのまま指を舐めとってしまおうかと思ったが、指についたチョコを鼻に向けたのである。
え…………っ?
これチョコじゃない……………………?
そう、それはチョコじゃなかったのだ。
当時やってきたまだ小さな子犬(ポメラニアン)のウン…………コだった……。
思わずテーブルの下から這いずり出て慌てて指をティッシュで拭い、手を洗った。
元々の卑しさもあるが、瞬時に本能で危機回避をした危険予測のおかげで未遂となったのだが、まさかギャグ漫画さながらのチョコとウンコを間違えるなんて思わなかったのである。
あまりにも恐ろしい出来事だったので、外で吹き荒れる天候も忘れるくらいのショッキングな出来事だった。
その事件からしばらくしてから家族に「テーブルにいたらチョコがあったから食べようとしたら実は犬のウンコだった」と話したら「チョコチップ事件」と命名され定期的に「あの話してよ!!!!!!!!」とねだられる最悪な持ちネタになった。
身内感でしか受けないあまりにも下品で最悪な持ちネタだ。