ハロプロ楽曲解説 Buono!「消失点-Vanishing Point-」

ハロプロ楽曲解説第14回!

Buono!「消失点-Vanishing Point-」

出典:Amazon

2009年に発売した、Buono!2ndアルバム「Buono!2」の中に収録されている楽曲。
作詞:川上夏季さん、作曲:崎谷健次郎さん、編曲:佐久間誠さん。

作詞の川上さんは、Buono!やガーディアンズ4などポニーキャニオンレーベルで出した楽曲の作詞を多く手掛ける。
作曲の崎谷さんは、ハロプロに携わった楽曲は実はこれのみ。ご本人はシンガーソングライターで、数々の有名な方に楽曲提供されている。

そのような方が携わっていたなんて…
今思えば感謝ですね。

さて、この楽曲のメロディーラインのメイン調号はこちら。

●嬰へ短調(fis-moll、F♯ Minor)
・調号:♯3個(ファ、ド、ソ)
・主音:ファ♯
・イメージ:暗いが情熱的
・色:こげ茶色

まさにこれ。
季節感でいえば秋〜冬。
(もしかしたら作られた方々は季節は特に指定していないのかも…)

冒頭のピアノ、グロッケン、ウインドチャイム。
もうこれで頭に情景が浮かんできます。
悲しさ、反省、寒い…

私の想像ですが、ところどころで出てくるチャイムがクリスマス感も醸し出して、まるでクリスマスに2人が別れてしまったかのような情景が浮かびます…

楽器の編成はピアノ、ドラム、ギター、チャイム、時折ストリングス(ヴァイオリン)。
非常にシンプルな編成で聴きやすい。

フレーズ構成もサビ→Aメロ→サビ→Aメロ→大サビ→サビという特殊な構成。
なかなかハロプロ楽曲でも見ないかたち。

サビの時に後ろでヴァイオリンが優雅に奏でているのですが、これは彼女の考えていることが分からず、それに踊らされる僕を表現しているのではないかと考察します。

本当は、彼女はそんなに深いことは考えていなかったようにも感じます。もしかしたら友達以上恋人未満が良かったのかもしれません。
深読みしすぎた僕が空回りしてしまい、どこか上手く噛み合わなかった、ちょっと切ない物語と私はとらえました。

Aメロの1フレーズ目はピアノ、ドラム、ギターのみ。
ここではどちらかといえば、楽しかったようにも思わせる内容。

2フレーズ目からチャイムとヴァイオリンが加わる。
だけど現実的にはずっと平行線だった。それがわかった時の切なさが露わになる。

そして、サビで僕の中での葛藤を表現。
正解のない正解を探して迷い込む僕。

2回目のサビ後に間奏が入るのですが、ここのギターソロ。

直前のサビの歌詞から、過去の2人での思い出を振り返りつつ、恋愛での1番の山場を思い出して「何が正解だったんだろう?」って今でも考え、「あのチャンス逃して何してたんだわたし!」と、ちょっと自分に対する怒りと困惑がこのギターソロに込められている気がします。

大サビは転調します。

●変ト長調(Ges-dur、G♭ Major)
・調号:♭6個(シ、ミ、ラ、レ、ソ、ド)
・主音:ソ♭
・イメージ:落ち着く、優しさ
・色:薄い水色

ここの部分だけ、一瞬我に帰る。
今まであんなに考えて考えて、答えが出せなかったのに、後悔してたのに。
でも「寂しい時だけに思い出すくらいの僕という存在なら、ない方がマシだ!もっと大人にならなきゃ!」と決意を新たにしますが、ギターのグリッサンド直後に一瞬だけストップがかかり、またもとに戻ります。

1番最初のサビと同じことを考えるのですが、最後に「運命は変わっていたのかな」で終わらず、「運命は変えられたのかな」とちょっと成長した姿を見せて、この曲の終わりを迎えます。

最後の最後もギターソロ!
この苦い経験、思い出を教訓にこれから頑張るぞ!の決意の表れのようなソロにも聞こえます。

あとがき

先日の段原瑠々バースデーイベントでも歌われた1曲。
るるちゃんの歌ってる時の悲しそうな顔が非常に印象的でした。
もはや、曲に入り込んで曲の中の「僕」を演じていた。

温かくもどこか悲しさの残る歌い方に、ハイトーンで上にぶわーって抜けてくるあの感覚。るるちゃんにしか出せない世界観。

大サビでマイクを両手で握って歌ってるのも印象的でした。
ここだけ両手握り。
決意を新たにではあるけれど、どこか後ろめたい、怖くて何かにしがみつきたい、そんな思いをしている「僕」を演じたるるちゃん。

人によって解釈が変わり、歌い方、表現が変わる。
初めて参加したバースデーイベントで、すごいものを見た気がしました。

また行きたい。
来年も。その先も。

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