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心にいつもけろけろけろっぴ(エッセイ#01)

人生はじめての推しの存在。

未だ現役で追っている人。
ときどきふと見かけ懐かしむ人。
いまnoteを読んで思い出した人。

ひとりひとりエピソードは違えど、素敵な記憶に間違いないと思う。せっかくなので、はじめて推しに触れたエピソードを書いてみます。




私は幼少期、母とサンリオショップに行くのが大好きだった。キティちゃん、マイメロ、キキララ…今も現役バリバリ大御所たち。社宅に住んでいたけれど、子どもたちはみんながま口ポーチをぶら下げて駄菓子屋さんにいってたっけ。

今も昔もキティはやはり強い。子どもながらに優劣があって、私の中でキティやキキララは上位。けろけろけろっぴやバツ丸は下位だった。

サンリオを網羅してくると、大人を気取ってマロンクリームに手を出す。いや、いいんだけどね。でも、子どもの頃はどう考えても「マロンクリームを手に取るあたし」がカッコイイと思ってた節がある。周りとは違うのよ、ふふん。みたいな。

そんなマセガキだった私は、どれかひとつを推し続ける事はほぼなかった。




はじめて推しに触れたのは、ハーモニーランドに行った日だった。

「たっちゃん、けろっぴがいい!」

たっちゃんとは、3つ離れた弟のこと。当時5歳くらい。今ではカチューシャスタイルが定番だけれど、当時被り物といえばスポンジ製のサンバイザーが主流だった。

たっちゃんは、沢山のキャラクターの中からけろっぴを選んだ。

え?けろっぴなの?なんで?

意気揚々な弟を尻目に、私は愕然としていた。私が絶対に選ばないものを弟が選んだからだった。「みかづきちゃん、みかづきちゃん」と私を師匠のように慕う弟が。「みかづきちゃんと同じのにする!」と言っていた弟が。信じられない。

それからというもの、かばん、ハンカチ、えんぴつに至るまで、弟は緑のたぬき…じゃなかった緑のかえるに侵食されていった。

「ママ!たっちゃんへん!けろっぴ可愛くないのに!」

弟をけろっぴに取られたような気持ちになっていた。サンリオショップは市内に一つしかなく、月1行ければいいほうだった。それでも弟は毎回、コツコツと、けろっぴのグッズを集めていた。お菓子のカンカンにノートやシールをつめて、大事にしていた。

可愛くないものを集める弟が不憫でならなかった。緑だから、男の子っぽいから、惑わされているのかもしれない。相手はかえるだ。絶対にへん!(当時の気持ちなのでけろっぴ推しの皆さまお許しください)

「ママ!へんだよ!」

「へんじゃないよ。たっちゃんが可愛いと思うならいいのよ」

たしか、そんなことを言われた。まだまだ理解は出来なかったけれど、「ほら、けろっぴ被ったたっちゃんは可愛いでしょ?」は分かった。

ハーモニーランドで買ってもらったけろっぴ帽を、たっちゃんはいつも嬉しそうに被ってみせた。いま思い出しても涙腺がゆるむくらいには、とびきりの笑顔で。畳の上で、ぴょんぴょん跳ねる。可愛い可愛い、我が家のけろっぴだ。天然くるくるパーマがはみ出て、踊っていた。

その後もけろっぴ撲滅運動しちゃうのが子どもなんですけどね。

でも、大人になって思い返してみると、懐かしくもあり、良い経験だったなって。

可愛い、カッコイイ。
好きなものは人それぞれ。
それがいい。


けろけろけろっぴ。
教えてくれてありがとう。
今ではすっかり大好きです。


推しはぽちゃっこだけどね。(オイ)




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