アイドルヲタクが「アイドルの恋愛禁止」について改めて考えてみる
お久しぶりです。1年半ぶりの記事がこの内容で良いのか悩みましたが、先日ツイッターで投稿した下記のツイートに多くの"いいね"を頂いたので、改めて深く考えて整理した文章にまとめたいなと。あくまで個人的な意見にはなりますが、少しでもモヤモヤした気持ちが晴れる方がいれば幸いです。
なお、できるだけアイドル全般に当てはまるように考えましたが、一部は女性アイドル特有、更にはハロプロ特有かもしれません。ご了承ください。
一般人目線の「アイドルの恋愛禁止」を考える
アイドルは恋愛禁止というのがいつの時代から言われていることなのか、私は世代的に昭和のアイドルのことは知らないのですが、アイドルの恋愛がスキャンダルだという概念はその当時からあったと認識しています。
多くのファンに夢を与える立場だからダメ、疑似恋愛で多くのファンに支えてもらってるんだからダメ、清純な存在でなければダメ、アイドルの恋愛禁止を支持する意見としてよく目にするのはこの辺りでしょうか。(余談として、清純さは少し微妙かなと思いましたが、『アイドルはトイレなんてしないよ』というまさに偶像としてのアイドルを象徴する冗談のような言葉も存在したなと思い出して、その流れの意見として一応入れてみました。)
しかし時代は昭和から平成、そして令和となり、『アイドルだって人間なんだから恋愛もするでしょ!恋愛禁止なんておかしい!』という意見も強くなってきたように思います。そしてそれは正論であると、私を含め大半のアイドルヲタクが心の中では思っているだろうと思っています。
事務所目線の「アイドルの恋愛禁止」を考える
先程挙げたような意見は、ファンのためのアイドルとしての立場を考えたものでした。しかし現実としてはそれほどシンプルな話ではないでしょう。1番わかりやすいのはアイドルをプロデュースして裏で支える事務所が、事業として継続運営していくという立場です。
アイドルという職業はよくその人自身が商品に例えられますが、人気のない商品は販売が中止されてしまうように、人気がないとアイドル活動を継続することが難しくなります。アイドルは恋愛禁止という考え方には多くの人が疑問に思いつつも浸透している現状で、今後は恋愛OKですと宣言したらファンが今まで通りに応援してくれるのか、不安を感じるのは間違いないでしょうし、ファンが離れてしまったからと言ってまた簡単に元に戻せるような話でもありません。事業規模が大きい事務所では抱える人員も多いため、将来性への不安を考えると非常に険しい一歩なのかなと思います。
家族目線の「アイドルの恋愛禁止」を考える
もちろん例外は数多くあると思いますが、一般的にアイドルは未成年のうちにデビューしていることが多いと思います。まずは本人のアイドルになりたいという意志が必要不可欠ですが、家族の理解や支援も重要となります。例えば、地方に住んでいれば引っ越しや、レッスンや仕事のときの送り迎えなど、家族の協力なしには無理だという話を聴いたことがあります。
芸能界は少し特殊な仕事なので、今なお不透明な部分があるため何か危険な仕事をさせられるのではないか、目立つ立場になることで危険な人に騙されたり付き纏われたりするのではないか、不安に思って反対されることもあると思います。反対されたままアイドルになることも考えられますが、送り迎えなどの協力を考えれば、やはり納得してもらった上での活動が理想でしょう。そういう観点で考えると、もし変な人に付き纏われても、『アイドルは恋愛禁止なんです』という盾があれば恨まれることなく断れるということで、家族にとっては安心材料の1つになるのではないでしょうか。
アイドル目線の「アイドルの恋愛禁止」を考える
『私はアイドルとしてファンの皆さんに尽くします!恋愛なんて絶対にしないよ!』とか、『確かに私はアイドルだけど一人の人間、なんで恋愛しちゃいけないんだろう…』とか、それぞれのアイドルに色々な想いがあるのでしょうが、あまり建設的な考えに辿り着けそうな気がしなかったので、今回は別方向から考えてみました。
逆に、アイドルだけど恋愛OK!ということになったとします。ファンにとっては今まで手が届かないという"ルール"だったのが、ルール変更されることで、もしかしたらお付き合いできるかもと頑張る人も出てくるでしょう。握手会でアピールしてくるようなヲタクがいたとしたら、今までだったら「ありがとう!でもアイドルは恋愛禁止だから…来世でね!」と笑顔で答えれば良かったのが、恋愛OKとなるとそうはいきません。お断りしたら自分のところにはもう来てくれなくなるかもしれない、優しくしたら勘違いされるかもしれない、今までにない悩みが出てくるのではないでしょうか。また、恋愛していることが発表(発覚)したとき、離れていくファンにも頭を悩ますかもしれません。さらには握手会などではなく、プライベートに入り込んでくるような危険人物が現れる可能性が高まる恐れもありそうです。
悩みはヲタクとの関係性だけに留まらないでしょう。最近のアイドルは追加メンバーが加入し、先輩・後輩が一緒のグループで活動していることが多いです。先輩が恋愛中で恋人にぞっこんだったとして、その恋人が他のメンバーにも会わせてよと頼んできた時、先輩は恋人に対して、そして後輩は先輩に対して断りにくいでしょう。別の人を紹介されるくらいならまだしも、その恋人が別のメンバーに乗り換えたり二股だったり、余計なトラブルでグループのチームワークに亀裂が入る可能性もありそうです。メンバー同士が仲良くやることが必ずしも良いことではないと思いますが、アイドルとして切磋琢磨するライバル関係で争う姿を見たいことはあっても、男女関係などで争っている姿を見たいというファンはまず居ないでしょう。
総合的に「アイドルの恋愛禁止」の落とし所を考える
ここまで様々な観点で「アイドルの恋愛禁止」を考えてきました。一人の人間としては、恋愛禁止というのがおかしな話という想いは当然あります。一方で、思ったほど簡単な話ではないということも感じています。恋愛発覚による脱退は受け入れがたいことですが、恋愛OKで起きうるトラブルからメンバーを守るためという観点でみれば、それなりに価値があるだろうと。アイドルには健やかに活動して欲しいという意見は、多くのアイドルヲタクに理解が得られるのではないかと思っています。
ところで、恋愛OKとわざわざ宣言しなければ良いのではという意見も見かけましたが、状況証拠だけで明確な証拠がなければ無視すれば良いと思うのですが、あまりに明確な証拠が出てしまった場合、無視しても事実上恋愛OKと認めたようなものになってしまうかなと。
そういったことを踏まえると、実際に恋愛禁止なのではなくバレないようにしろということと、グループから卒業したら解禁されるというのが、ちょうど良い落とし所なのだろうと改めて思いました。
ちなみに、未成年のメンバーだけ恋愛禁止という線引も考えられますが、やはり同じグループとして活動するのであれば、成人したメンバーが未成年メンバーの見本となる立場であることも考えると、同じ制限下にあったほうが良いのかなというのが個人的な意見です。全員が成人したタイミングで方針を切り替えることもできるかもしれませんが、その後の未成年メンバーの加入を拒む要因にもなってしまうかなと。(そもそも新メンバー否定派の方もいらっしゃると思いますが、そこは今回の件から大きく逸れるので置いておきましょう。)
最後に
『アイドルは恋愛禁止というかバレなければセーフ、だけどグループを卒業したら解禁』という"現行ルール"は、それなりにちょうど良い落とし所だろうと改めて私は思いました。(もちろん最初から恋愛OKのアイドルグループと謳って結成されるのであれば話は全く違うのですが、恋愛禁止の前提でアイドルになった人たちが所属しているグループであれば、この落とし所なのかなと。)
ただしその流れで1つ気になるのは、グループを卒業したメンバーが音楽活動を続けられる環境でしょうか。卒業後も音楽活動を続けるメンバーも居るのですが、グループ時代よりも事業的に難しそうだと感じています。グループに所属するアイドルが音楽活動と恋人を両立したいと考えたとき、素直に卒業することを選択することのハードルが下がれば、誰も不幸にはならない形で物事を進められるのかもしれないなと。OGメンバーにも興味を持ってくれる人がもっと増えたら嬉しいなと思いますね。
アイドルヲタクはアイドルの幸せを本気で願ってるんだよ!