命を繋ぐ手術
母が救急車で運ばれ、自宅に帰ってきた後、すぐに病院から父へ電話があった。
「再度出血をしているため手術をします」
手術の説明を聞くために父1人で病院に行った。
手術をしても血が止まらなければ、亡くなる可能性があることと、手術をして一命を取り留めたとしても、意識がないことや重い後遺症が残ることは覚悟してほしいと言われていた。
私はただ言葉を失い泣くしかできなかった。
「ママは死んじゃうの?」「もう会えないの?」
昨日会ったばかりだったのにどうしてこんな急に…
まだやりたいことも伝えたいことも
たくさんあったのにこんな別れってあるのかと
何度も何度も繰り返し考えていた。
その後治療の説明を受けた父が自宅に帰ってきた。
脳に溜まった血液を抜くことと、
頭の中に溜まった水分を抜くこと。
2箇所脳に穴をあけて手術をすることになった。
母が搬送されたのは日曜の夜の7時ごろだったが
手術開始予定は夜中の12時からとなった。
手術を始める前に様子が急変するかもしれない。
手術しているとき出血が止まらないかもしれない。
手術中に亡くなってしまうかもしれない。
あと何時間生きられるんだろう。
そんなことをずっと考えていた。
残された私たち家族に今できることはなく、
ただ母の無事を願うことしかできなかった。