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いろいろあったけど今は「自信に満ちた自分の姿」を見つめている
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館「RECOVERY 回復する」を見てきました。
『回復する』というタイトルが
この展覧会を見て、第一に感じたことは、タイトルが今にぴったりだということ。新型コロナウイルス感染症の始まりから約3年が経った現在、新たな争いや災害は起こりつづけ、平穏な日々を得ることの難しさに直面している。こんかいの展示では、猪熊弦一郎、大岩オスカール、兼子裕代、小金沢健人、畠山直哉、モナ・ハトゥム、米田知子の7人の作品を通じて、誰しもが乗り越えてきたそれぞれの経験を受け入れてくれるような、希望を宿した作品たちと出会える展覧会です。
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またいつ揺れるか分からない地面の上で、
ばら撒かれて生きる私たち。
ここ数年、それぞれが抱えてきたであろう傷が
癒されるような、そこまで大袈裟ではなくても、
すこしは希望がある方向へ向かっているような。
がんばってきた私たちを受け入れてくれるような、そんな作品たちでした。
《Mirrors of Happiness》
中でも私の心に残ったのは、兼子裕代の作品です。
2021年春、北カリフォルニア、オークランドの南東端にある
プランティング・ジャスティスというナーサリー(植物栽培園)で働き始めた作者。その地域は、ソプランテ(余り物)パークと呼ばれ、あまり治安の良くない界隈に隣接している。
2009年に発足したプランティング・ジャスティスは、リエントリー・プログラムという元受刑者が社会復帰をするための雇用を行っていて、辛い過去や厳しい背景を持ったスタッフが少なくない。
作者はそこで働くスタッフと一緒にアートを作ることが仕事だった。
様々な制作を経ることでみんなのアイデアが膨らみ、メンバーひとりひとりのポートレートを撮影し、ステンシルを使って巨大なポートレート壁画を作ろうということになった。今回の展示では、作者が中判フィルムで撮影をした現地での様子を写真作品として見ることができる。
作者のとこば
ポートレート制作を通じて最も印象深いことは、自分の肖像が完成したときの彼らが見せる驚きと嬉しそうな要図である。社会から疎外され、アイデンティティの喪失を経験したからこそ、自信に満ちた自分の姿と相対したとき、自己の回復を喜ばずにはいられないのだろう。
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作者が言うように、写真には自分がモチーフとなった作品と向き合う人々
の様子が写し出されている。みんな幸せそうで、どの姿もとても気持ちの良い写真ばかり。ポートレート壁画はまだ完成していないらしい。完成まで続く記録に、またどこかでお会いできたらと期待している。
猪熊弦一郎の公共空間における仕事
2階の展示室では同時開催常設展として、猪熊弦一郎の作品展『好奇心と素直さ』が展示されている。
猪熊弦一郎は、戦後、画家の指名として人々の生活に美を提供したいと、公共空間における壁画やデザインの仕事を積極的に手がけるようになる。
1950年にデザインした三越百貨店の包装紙「華ひらく」は、70年以上たった今も現役で、多くの人々に親しまれている。
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常設展では、そのデザインの原型が展示されている。使っているのは何かの裏紙か、スケッチをした紙か、チラホラといのくまさんのドローイングが垣間見れるのがとても贅沢!
この包装紙、今でも見るだけでワクワクする・・・!
美術館に関する過去記事です。ぜひご覧ください。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
『RECOVERY 回復する』
3月10日までです!
猪熊弦一郎のおもちゃ箱: やさしい線