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アルバム『1103』セルフライナーノーツ

2枚同時リリースの2枚目、「過去への祈りと静謐な美しさを求めた」アルバム『1103』。
Hello1103のもうひとつの顔であるAmbient Setの流れを汲む作品です。

またおなじ夜明け

アルバム発売を機に音源化の流れになった新曲。ライブではAmbient Setでたまに演奏していた曲なので聞き覚えがあるかもしれません。
ヒトミが睡眠障害に苦しんでいたとき、眠れずに家を抜け出して、国道沿いに見た朝焼けの美しさ。音も無く降り積もる自責と、それとは無関係に時間を進めていく世界。そういうものを憶えています。

Music Videoはイラストレーターのツチヤヒトミさんとのコラボレーションです。
彼女のライブペインティングを一部始終撮影し、編集して映像化。
絵の展開から動画の尺を決定した結果、曲のほうが伸びてロングバージョンになっています。

Evergreen

GargleとのスプリットEP『Angraecum EP』より。
このEPは「祈り」を共通のテーマとした4曲の作品集で、その1曲目である「Evergreen」は二度と戻れない過去に向けた祈りを主題としています。

Angraecum(アングレカム)は蘭の一種。森の中でひっそりと咲く白い蘭は、「祈り」の花言葉とともに栽培品種としても愛されています。

春と眠り

Takaaki Izumiさん主催のコンピレーション『sayonara compilation』収録。

初春を迎え、動き始めた街や人々を自室の中で微睡みながら窓越しに眺めている。
未だ目覚めない自分、止まったままの部屋。
内向きな世界を持った曲です。

Invitation (long version)

コンピレーション『Journey』より。
アルバムの1曲目に置かれるトラックとして、「旅への誘い」を題としたもの。

途中で入る初音ミクの音声は、誰も知らない言語で「南へ、南へ」と歌っています。
さまざまな世界へ旅をして回る、そんなイメージでくるくると展開されていく場面のそれぞれに異なる風景が設定されています。Hello1103が夢想した世界を想像するもよし、自分なりの世界を描くもよし、自由にあなたの旅を楽しんでください。

Emma

EP『Rainbow Kingfisher』より。雨上がりと虹をイメージしたピアノアンビエント。

コロナ禍が始まってから1年余りは自分に出来ることを探して困難と戦っていたと自認していますが、ただじっとやり過ごすしかない2021年の夏を通して生まれた虚無感は大きく、今も心の底に貼り付いている感じがします。

ミュージックビデオはyukako個人の目線を敢えて出すためiPhoneのみで撮影しました。
新宿を中心に夏の東京を撮った映像作品ですが、無気力で暗い精神状態の中、ほのかな希望をどこかに見出したい思いで制作していたことを覚えています。

Calling

GargleとのスプリットEP『Angraecum EP』より。
『1103』収録にあたってボーカルを再録。
「過去に向けた祈り」を歌ったEvergreenに対して、Callingは祈りを未来に捧げるイメージ。yukako曰く、これほど良いメロディはもう書けないかもしれないと思うほど気に入っているとのこと。

Hello1103初となる英語詞を敬愛する Lynne Hobdayさんに書いていただきました。希望と期待に溢れる歌詞の世界と接続し、Callingの表現が大きく拡がったと感じています。
Callingの歌詞はAngraecum EP特設サイトでも掲載しています。

Construction

シングル『Ophiopogon planiscapus Nigrescens』のカップリング曲。
「エモいもの」に食傷気味だったときに、そこから離れて構造的な曲を求めたもの。リズムとリフレインを中心に冷静かつストイックなアレンジを心がけました。

この曲から生まれた構造と再構築の発想は、2022年の作品「Deconstruction」に繋がっていきます。

雑踏のためのクワイア・ミュージック

阿佐ヶ谷 天で開催されているアンビエント企画「天ビエント」のコンピレーション『TENbient 3』のために書き下ろしたトラック。
AirPodsを付けて街中を歩いていたときに、ノイズキャンセリングによる環境音の減衰分を意図的なノイズで埋め直すことで環境音に方向性を持たせて再構築できるのではないかと考えたことが発想の発端。
通常の環境でも楽しく聴けますが、 ノイズキャンセリング搭載イヤホンなどを使って雑踏の中で再生するとまた異なる質感になります。

ほぼ初音ミクのボイスだけで構築されているので、ジャンルとしてはアンビエントあるいはミクビエントになるでしょうか。

Ark

コンピレーション『霧の塔』より。
『Hello』収録の初音ミク版Arkの方が馴染み深いかもしれませんが、こちらのyk版が原曲です。

『霧の塔』には非公開の世界設定が存在します。
Arkも専用に設定された物語…塔を宇宙船に見立て、地球を故郷にした異星人が宇宙に帰っていく話がベースになっています。
『幼年期の終わり』、さらに直接的には『Bloodborne』のエーブリエタースが宇宙に帰れていた世界を夢想した曲。

Evergreen Memories

今回書き下ろしの新曲。
昔日の良き日を懐かしみつつ、先へ進むためにアルバムを閉じる。
Evergreenのフレーズをアレンジして作られており、対をなして『1103』を締めくくる短い一曲です。

YouTubeに1103収録曲のMVプレイリストを作りました。
ぜひご視聴ください。

『Hello』のセルフライナーノーツはこちらです。併せてご覧ください。


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